ナタリー PowerPush - DIR EN GREY

薫が考える“次の一手”と“ライブのあり方”

3月8、9日に約4年ぶりとなる日本武道館公演を控えたDIR EN GREYが、ニューシングル「SUSTAIN THE UNTRUTH」をリリースする。シングルとしては「輪郭」以来1年1カ月ぶり、新作音源としてはミニアルバム「THE UNRAVELING」以来9カ月ぶりとなる本作。グルーヴィなリズムとヘビーなギターリフ、そしてメロディアスなボーカルが絶妙に絡み合った、DIR EN GREYにしか作り出せない独創的なミディアムナンバーとなっている。

ナタリーでは今回、メンバーの薫(G)にインタビューを実施。新曲制作を通じて浮かび上がってきた現在のモードや来たるニューアルバムの話題、さらには最近のライブに対する姿勢などを語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一

“遊び”や“のりしろ”がある感じ

薫(G)

──DIR EN GREYは昨年の夏くらいから制作に突入したそうですね(参照:DIR EN GREY「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」インタビュー)。

はい。次のアルバムに向けての制作ですね。今回の「SUSTAIN THE UNTRUTH」は次のアルバムの制作過程で生まれた1曲です。

──そうなんですね。この曲はグルーヴ感のあるリズムにギターリフが複雑な絡み方をしていて、聴き始めたときはとても独特なノリを持った曲だと思いました。でも曲の構成自体は複雑というわけではなくて、メロディも耳になじみやすく、聴き終えたときにはストレートな曲だなという印象が残るんです。そのへんは意識したんでしょうか?

ほんとに今言われた通りで、できるだけストレートにしようというのは意識しました。まあでも、ストレートっていうよりは、シンプルと言ったほうが正しいのかな。

──シンプル、ですか?

そう。でもシンプルといっても、ただ3コードを鳴らすとかそういうシンプルさじゃなくて、曲全体が印象に残りやすい、覚えやすいという意味でのシンプルさ。とは言ってもこの曲を特別シンプルにしようと思っていたわけではなくて、単純に今はよりシンプルな楽曲をやりたいモードなんです。あんまりこうひねたものにしたくないというか……それはまあ前作からの反動も大きいとは思うんですけど。

──前作というのは「DUM SPIRO SPERO」(2011年8月発売の8thアルバム)のことですか?

「DUM SPIRO SPERO」もそうだし、「THE UNRAVELING」(2013年4月発売のミニアルバム)もそう。そのへんの作品はわりとこう、きっちり構築して作った印象が強いので、次はそういうものではなくて、もうちょっとこう“遊び”や“のりしろ”がある感じというか、そういうものをやりたいねってみんなで話してたんです。

──でも「THE UNRAVELING」の前に発表されたシングル「輪郭」(2012年12月発売)は、「SUSTAIN THE UNTRUTH」とはタイプが違いますが曲全体の覚えやすさという意味でシンプルな楽曲だと思うんです。「輪郭」制作の頃から、その片鱗はあったんでしょうか?(参照:DIR EN GREY「輪郭」インタビュー)

どうなんですかね……そのへんは今はまだわかんないです。次のアルバムが完成したときに「あー、つながってたんやな」って気付くかもしれないし。

──それは1年前の時点では次のアルバムに向けて制作をしていたわけじゃないから?

そうですね。感覚的にまだアルバムには向かってなかったし。だから現時点では「輪郭」が次のアルバムのパーツになるかはわからなくて。

原曲から離れずにどれだけアコースティックでやれるか

京(Vo)

──そしてカップリングには「流転の塔」のアコースティックバージョンが収録されています。DIR EN GREYは今までも過去の楽曲の再構築バージョンやアコースティックバージョンを発表していますよね。

実はこの「流転の塔」はけっこう前に録っていて。「輪郭」と「THE UNRAVELING」の制作の間に京(Vo)の喉のことがあってちょっと時間ができて、何もしないのはアレなんでアコースティックアレンジで何曲か録ってみようかということになったんです。今回の「流転の塔」はその中の1曲で、まだ数曲残ってるんですよ。

──そうだったんですね。アコースティックアレンジをするとき、何かこだわってる部分はありますか?

アコースティックの場合は基本的な流れやフレーズ感っていうのはそのままに、原曲から遠く離れずにどれだけアコースティックでやれるかですね。まあ、さっき話した何曲か録った曲の中には「その曲をアコースティックにしたの?」っていう意外性のあるものもありますけど(笑)。

──あ、そうなんですね。

はい。それはいつ世に出すか、まだわかんないですけど(笑)。

──でも今回の「流転の塔」は今の話の通り原曲のイメージに忠実で、かつシンプルなアコースティックサウンドにしたことでメロディのよさがより前に出ましたね。

そうですね。今回のシングルはまず、メロディのよさを強く打ち出したシンプルな作品にしたかったんです。バンドとして今、こういう統一した世界観を求めてたのかな。

──確かに「SUSTAIN THE UNTRUTH」から「流転の塔」への流れってすごく自然で、統一感がありますよね。

ありがとうございます。今回は個人的にアコギの音がすごくいい感じに仕上がったんで、気に入ってます。

──でもこの2曲から次のアルバムの方向性を占うことはできないですよね。あくまで「SUSTAIN THE UNTRUTH」はパズルのピースの1つというだけで。

現時点では本当にどうなるかわからないんで。まあ完成したときのお楽しみにということで(笑)。

──ちなみに現時点でアルバムはいつ頃リリースできそうですか?

まあ今年中には出そうと思ってます、はい。

ニューシングル「SUSTAIN THE UNTRUTH」/ 2014年1月22日発売 / FIREWALL DIV.
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / SFCD-0130~1
通常盤 [CD] 1260円 / SFCD-0132
完全受注生産限定盤[CD+DVD] 4725円 / SFCD-0128~9完全生産限定盤の予約申し込み受付は終了いたしました。
CD収録曲
  1. SUSTAIN THE UNTRUTH
  2. 流転の塔 (Acoustic Ver.)
  3. 凱歌、沈黙が眠る頃 [LIVE]
    *Live Take at YOKOHAMA BLITZ on September 18, 2013
完全受注生産限定盤 DVD収録内容
MINI ALBUM『THE UNRAVELING』【完全受注生産限定盤】購入者限定LIVE
TOUR2013 TABULA RASA -揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹- 2013.5.24 渋谷公会堂
  1. Unknown.Despair.Lost
  2. 輪郭
  3. INWARD SCREAM
  4. mazohyst of decadence
  5. Deity
  6. MACABRE
  7. Unraveling
  8. 冷血なりせば
  9. JEALOUS -reverse-
  10. 羅刹国

<IN-STUDIO FOOTAGE>
SUSTAIN THE UNTRUTH(Scenes From Recording)

初回限定盤 DVD収録内容

<IN-STUDIO FOOTAGE>
SUSTAIN THE UNTRUTH(Scenes From Recording)

DIR EN GREY(でぃるあんぐれい)

DIR EN GREY

京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)からなる5人組バンド。1997年に現メンバーが揃い「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志の元に結成。ミクスチャー/ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され、日本のみならず海外でも大ブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2000年代後半からは海外でもアルバムを発表しており、2008年のアルバム「UROBOROS」はアメリカのBillboard Top 200で114位にランクインした。2011年には約3年ぶりのアルバム「DUM SPIRO SPERO」をリリース。発売直後からヨーロッパや北米、中南米などで海外ツアーも行った。2012年2月からは京の声帯不調を理由に表立った活動を休止していたが、同年10月よりライブ活動を再開。12月にはニューシングル「輪郭」、翌2013年4月にはミニアルバム「THE UNRAVELING」をリリースした。同年6月には2年ぶりとなるヨーロッパツアー、10~11月には同じく2年ぶりの北米ツアーも実施。2014年1月にニューシングル「SUSTAIN THE UNTRUTH」を発表し、同年3月8、9日には4年ぶりとなる日本武道館公演「DUM SPIRO SPERO」を行う。