今後、総額５兆円～10兆円に上る復興支援事業が発注されることから、向こう３年間は陸上土木や海上土木を中心に官庁工事が大幅に増加することは決定している。

こうした震災特需に既に建設労働者の確保が難しく、遠方から要員を確保しているのが現状で、労賃が大幅に上昇している。

 

また、震災復興の土木工事の進捗により、その後は同事業の建築工事の発注も始まる。こうした大型公共投資により、建設業界は東日本を中心に活況を呈していく。

ただ、国の財政事情からすれば、西日本の公共投資は、現行、計画が決定しているものは別として、更新工事が中心になってくるものと思われる。県や市町村の財政事情も厳しく、被災地以外の地方公共団体の建設投資は、前年度並みで推移すればよい方だろう。

 

震災復興事業においては、復興計画の統一性などからも大きな単位での一括した発注形態になると思われ、受注ではスーパーゼネコンが優位に立つ。当然、ＪＶ工事主体となることから、大手ゼネコンや地場ゼネコンも受注を享受することになる。当然、下請企業も大忙しになる。

 

今回の震災復興の大型投資は、日本全体に及ぼす経済波及効果も期待され、更に世界経済もリーマン・ショックから回復途上にあるものの、ギリシャ財政危機問題なども抱えながらもこれ以上は落ち込まず、欧州の財政危機も暫くすれば時間が解決する。その後は緩やかな回復局面に至るものと判断される。

そうした世界経済の景気回復を背景に、国内の設備投資も上昇、震災復興特需も重なり、民間投資によるマンションなどの住宅建設やオフィスビル建設なども回復してくる。そうしたことから、建設業界の先は明るい見通しが鮮明となってきている。