Safariでせつなくならないために何かしたい
Safariについて言いたかったことを言えてなかったので、もう一本だけ。
ひとことで言うと、「バグ見つけたら報告して、5月までに直してもらおう」と。
5月を逃すとせつない
なんでSafariに気をかけてるかというと、モバイル端末での影響力(シェア)が大きいから。WWDCではモバイルWebでのマーケットシェアのうちiPhoneが60%、タブレットWebではiPadが82%と言っていた。ソースわかんないけど、デスクトップみたく低くないことは確実かと思われる。
影響力があるけど、リリースサイクルが長い。ここがとても気にかかる。
Safari 7予想エントリで、Safariの元になるWebKitが5月にブランチされていることを書いた。これはMac portの話なのでOS XのSafariの予想だったんだけど、iOSのSafariもこれまでのバージョンのUA文字列から判断するに、WebKitのバージョンはOS Xのものとそんな変わらない。なので、同じ時期にiOS portもブランチされてると予想している。
iOSのリリースは秋(9月とか10月とか)なので、ブランチから半年ほどかかる。リリースされたiOSが十分に普及して、古いSafariを無視できるようになるまで1年半くらいかかるとすると、ブランチから2年経っていることになる(WWDCでiOS6のシェアがiPhoneでは93%と言ってたので、そこまで長く考えなくてよいかもしれないけど)。その間にもWebKitはたぶん進むけど、それが製品に反映されて使えるのは、次のサイクルになる。
5月というfeature freezeのタイミングを逃すと、そこから結構な時間、レガシーなものと付き合わないといけない。
せつなくなる前になんとかしたい
機能がまだ実装途中とかならべつにいいんだけど、接頭辞外せる状態なのに外れないとか、パッチあるけどレビューされてないとかがあるので、だいぶせつない。
たとえば、Safari 6ではBlob.slice()
がBlob.webkitSlice()
として実装されている。他のブラウザはもう接頭辞なんてないのに。
2012年2月に報告されたんだけど目に止まらなかったようで、結果Safari 6のブランチをミスしてしまった。治ったのは、直後の6月。こういうの、なんとかしたい。
接頭辞はまあ、たぶん今よりは良い方向に向かうけど、バグがこんな感じでミスされてしまうと、とてもつらい。とくにiOS Safariナイトリービルドなんて仕組みがないので、ふだんから検証できない。そのくせモバイルでシェアが大きいので、リリースされた後にバグが見つかると、みんな不幸になってしまう。
リリースから次のバージョンのブランチが切られるまでは、半年くらいしかない。この間に報告して直してもらうのって、バグの大きさやAppleの興味・持ってるリソースによりそうだけど、けっこう大変なんじゃないかと思う。
iOS 6の最初で、XHRまわりのでかめなバグが2, 3あった。べつにSafariの品質保証体制みたいなのにけちつけてもいいけど、あれとか、iOSのベータ期間中に開発者が見つけられてたら、リリース後みんな不幸せにならなかったんじゃないかななと思う。もちろんAppleが知ってろよって話だけど、Web開発者だから見つけられるバグだってあると思う。
なので、とくにiOS Developer Programに入ってて、端末余ってたりシミュレータアップデートできて、ちょっと時間があるひとは、新しいiOS入れて、作ってるものチェックしたり、いろんなサイト見たりして、そこでバグを見つけたら報告してほしい。新しい機能を入れろ、っていうのはたぶん通らないだろうけど、バグならWebKitで修正されて、マージされる可能性がまだありそうだから。
バグを認知させるには
バグ報告なんだけど、iOS Developer Programでたぶんフィードバック先についてなんかあると思うので、そこからAppleのバグレポート経由で報告すればいい。
WebKit nightlyでも再現するならWebKit Bugzillaから投げたほうが透明性があってよいかなと思う(iOS7で動かないとか、NDAに触れそうなことは省かないといけないけど)。けど、AppleがWebkit Bugzillaのバグから動くかは疑問。というのは、ブランチへのマージにはだいたいradr://problem/***というアドレスがついてるから。なのでちょっと悔しいけど、Radar経由のほうがいいと思う。
余談:SafariSafari言ってきたけど…
これ、べつにiOS Safariに限ったことじゃない。Chrome/OperaであれFirefoxであれIEであれ、デスクトップであれモバイルであれ、デッドラインに間に合わなければ、期間や大小はばらばらだけど、せつないことに変わりはない。
Chrome, Firefoxは6週間でバージョンが上がる。間にBeta, Stable/Releaseという段階(channel)があるので、ブランチからリリースまでは3ヶ月。強制アップデートもあるし、Safariよりもずっと深刻さはない。あと、モバイルにおいてまだシェアが少ないからそんな問題でもないというのもある(いいのか悪いのか…)。
IEは違って、Safariとおんなじ感じで、リリースサイクルが長い。また、最初のプレビューが出たあたりで大まかにfeature freezeされてる感があるので、機能についてのフィードバックは厳しそう。ただWebKitと違って自分たちのみでfeature setを決められるからBlob.webkitSlice()
みたいにちぐはぐなことは、そうないと思う。
Androidブラウザは、ベータプログラム的なものはあるのかな。あれば報告できるけど、なかったら絶望的だ(今に始まったことではないけど)。Chromeとの関係もよくわかんないし、メーカーがなんか手を入れてるし、Chromiumを一部つかってそうな独自ブラウザにしてるケースもあるようだし、もうこれはよくわかんない。
ただ、Androidについてはブラウザ選択の自由があるから、Mozillaコミュニティが過去にやった“Take back the Web”キャンペーンみたいなのとか、そういうのとかできないのかなあ。GingerbreadにはOperaがあるし、Firefoxもだんだん良くなってる気がするし、Chromeだけに任せる必要もないし。
WebViewについては…どうなるんだろうね……GeckoViewに期待すればいいの……?
発散してきた…ここまでにしよう。
なんでこんなこと書いたかって言うと、ソーシャルソーシャルなところでブラウザの愚痴とか見るの本当につらいんでなんとかしたいわけですよ。効率悪い、というかなんにもならないこと多いし。