ネトウヨに絡まれたことについて(閲覧注意)
在日朝鮮人であることをあきらかにしてSNSをやっていると、いわゆる「ネット右翼」に絡まれることは珍しくない。
わたしも、御多分に洩れずよく絡まれる。女性だということも明らかだと、さらに絡まれる頻度はあがるようだ。
在日朝鮮人の知人・友人たちも毎日のように攻撃されている。
※ここから差別発言を伏せ字なしで書きます。被差別当事者はとくに、気分が悪くなる可能性がありますので、ご注意下さい。
内容は、知性のかけらもない罵詈雑言が大半だ。
いわく、
朝鮮人のくせに日本に文句を言うな。
文句を言うなら帰れ。
朝鮮学校はスパイ養成機関だから補助金などとんでもない。
「チョン」などの差別用語だって百花繚乱だ。
差別されるのが嫌なら帰化すればいい、などという多少上品なことばなら、極端なネトウヨでなくても突然リプライをよこしてきたりする。
わたしは、あまりにも頻繁なので、もうある程度絡まれることは想定内と言おうか、慣れっこになってしまっている。慣れてしまうという状況自体が異常なのだが、これはなかなか差別的な攻撃をされる立場になってみないとわからないかもしれない。
とはいえ、慣れているから傷つかないというわけではない。
一年くらい経ってようやく振り返れるようになったので、わたしの特に酷かった体験を記録しておきたい。
そのとき、わたしはたまたまTwitterで、アイコンを自分の写真にしていた(ただし、口から下は隠したものだった)。最近社会問題となっている差別デモなどについての話題で、
「なんでこの日本で在日朝鮮人として生まれただけで、ゴキブリだの殺せだのレイプしろだのいわれなきゃいけないのか、ほんとうにいくら考えてもわからない。でも、現実として投げられる汚い言葉に出会えば、傷つくんだよ。在日朝鮮人は人間だから。」
ということをツイッターで書いた。
はじめは共感してくれたひとがRTしてくれていたのだが、しばらく時間をおいて(確かその時わたしは出張中だった)iPhoneを確認したら、ひどいリプライの嵐だった。
「朝鮮人をレイプしろって?何かの罰ゲームでしょうかねw殺せ、レイプしろと言われて行動に移すのが朝鮮人なんだけどね」
「常識的に考えてチョンとセックスとか無理だろ」
とか、こうして文字にするのもきついひどいリプライが飛んできた。
あげくのはてに、当時のアイコンのわたしの顔写真を貼り付けたうえで、
「肝心の、もとい韓人のソニさんは日本人に『在日』というだけでレイプされたのかな?これで」とか、
「『朝鮮人をレイプしろだって。私怖い。どうすればいいの?』日本人『安心していいよ。君は防御力の高い外見を持っているから。』 」
というようなリプライがとんできていたのだ。
要するに、わたしの容姿をあげつらって民族差別発言に女性蔑視をからめた醜悪な発言だった。
これらは、すべて実際にあったツイートをいまコピペして貼り付けている。これらの言葉を検索すれば、おそらく当該ツイートを見ることができると思う。
つまり、これらの醜悪なツイートを、このリプライを飛ばしてきたアカウントはいまだに削除していないようなのだ。
そのときは初めに上記のような攻撃をしてきたアカウントのほかからも、
「 在日三世とか言っている時点で何かの特権被差別意識の利用者に聞こえる。だから嫌われる。将来は十世とか百世とかまでやるの?」
とか、
「何故こんな風に言われるか考えた事ありますか?もしかしたら貴女や貴女のお仲間に問題があるのかもしれませんよ」とか、
「他人の口を塞ぎたいなら北朝鮮にでも移住したらいいんじゃないかな。在日の理想って結局そこなんだろうな」とか、
「あなたがゴキブリだと言われてる理由が一連のあなたの返信ツイートでよ~く理解できた」とかいうメンションもあった。
いまコピペしたりタイプし直しながらも、ひどく胸が苦しくなる。
このときで懲りて、顔写真をアイコンにするのはやめた。
当時のやりとりを思い返すと、これらの差別発言に対して、憤りながら一部リプライを返したが、「ゴキブリ」などと言われる正当性が、どこにあるんだろうか。
実際わたしは美人でもなく、容姿に自信なんかない人間だ。客観的にみたら不細工かもしれない。でも、こんなことを他人から言われる「理由」など、あるだろうか。
彼らはただ、わたしが「在日朝鮮人」であり、「女性」であり、日本社会に対する不安、不満を口にしたというそれだけで、こういう差別発言を投げかけてくるのである。
多くの人は、こんなことを言う人は一部だ、気にするな、などという。これが日本人の全体だと思わないでと。
そんなことは言われなくてもわかっている。だってわたしは日本に生まれ育って、日本で仕事をして、多くの日本人と交わってきたし、友人もたくさんいるし、これからもつきあっていく。付き合っていかざるを得ない。
でも、在日朝鮮人は日本人の総人口に対して、たったの0.5%程度しかない。「日本人の一部」だとしても、十分に脅威なのである。そして、事実、毎日のように、ネットでは差別的な発言を目にする。目にしないようにしたいが、不可能なほど、ネットには朝鮮人を蔑視し、貶める発言にあふれている。
幸いにも、このときも、見ていたひとのなかには、声をかけてくれたひとや、わたしに矛先がこれ以上向かないように、それらのアカウントに抗議してくれたひとたちがいた。
わたしはそれにすごく救われた。
ただ、ネトウヨに絡まれたことが直接の原因ではないが、一時アカウント名を変えてTwitterをやっていたら、以前のアカウントをネトウヨに乗っ取られ、このときの写真のアイコンをコラージュしたセクシズム丸出しの卑猥なアイコンを使ったアカウントになってしまった。Twitter社に報告したが、取り合ってもらえずいまもそのままだ。これはすごくすごく気分が悪い。いまでも、気にしないようにしているが気になってしまう。
ネットだけではなく、路上にも数年前から差別主義者たちが現れ、毎週のように差別デモが行われ、醜悪な差別発言をまきちらしている。
それにも反対する人たち(カウンター)がいて、その姿にも少なからずわたしは勇気をもらっている。
でもそんなことをしなくても、あのような差別発言を、社会が許容しなければ、ここまでの事態にはならなかったはずだ。
最近、ニュースにもなったのでご存知の方も多いと思うが、在日朝鮮人ライターの女性、李信恵さんが、在特会や保守速報を相手取り、裁判を起こした。
彼女は、ネットでも、街頭でも、わたしが受けたのとは比較にならない量の差別発言を毎日毎日受け、彼女個人を標的にした誹謗中傷を信じられないくらい受けて来た。
裁判を起こすということは、費用の面でも、時間の面でも、そして何よりも、精神面でも、想像できないほどのコストがかかる。つまりは、ものすごくハードルが高いのだ。
彼女が、裁判を起こした想いというのは計り知れないが、わたしを含めた、多くの被差別当事者に、勇気を与えたと思う。
しかし当事者が表に出て、あまりにも多くのリスクを背負って裁判を起こしてやっと、加害者を表舞台に引きずり出せるというのは、あまりにもあまりにも非対称だ。
こんなひどい差別発言を取り締まる法律や、条例がないのはやはりおかしいと思う。
日本政府は表現の自由との兼ね合いが云々と言うが、国連でも勧告されたとおり、「ヘイトスピーチ(差別を扇動する表現)」は表現の自由などではない。
ヘイトスピーチによって、被差別者の表現の自由こそが、破壊されている。それこそが重要だと思う。
とはいえ、現行法ではなかなか取り締まることができないという現実があるなかで、被差別者の表現の自由をまもれるのは、マジョリティの、ヘイトスピーチに対する抗議であると思う。
ネットでも、路上でも、もしもマイノリティが差別発言を受けていたら、多くのひとが声をあげて、抗議をしてほしい。それがひとりひとりのマイノリティに勇気を与えるのだ。
わたしはまちがっていないんだと。
自分を卑下しなくていいんだと。
ここにいていいんだと。
そう思わせて下さい。
※昨日も、アイコンに胸を露出した朝鮮人らしき女性の写真を使ったプロフィールからして醜悪なネトウヨから、「こいつシャブ中か」と言われた。意味がわからん。「シャブ」が何処で売ってるのかも知らんわ。こんなのばかり目にして疲れるのでしばらくTwitterを閉じることにした。なんでこんな目に合わなければいけないのか本当にわからん。アホみたいだけど本当に腹が立つ。