The Seekers(シーカーズ)その1…Judith Durham 1963 W&G EP "Judy Durham"
Judy Durham with Frank Traynor's Jazz Preachers (W&G WG-E-1706) ※Circa 1963
A1.Moan You Mourners
A2.Jelly Bean Blues
B1.Pa Pa De Da-Da
B2.Just A Closer Walk with Thee
※本国オーストラリアでリリースされた、
当時19才Judith Durham ジュディス・ダラム
(ジュディス・ダーラム,
又はジュディス・ダーハムと表記されることも)の
プロ歌手としてのデビューレコードとなる、
4曲入りEP盤(録音は1963年)。
シーカーズ・デビュー以前のソロレコード。
内容はFrank Traynor's Jazz Preachers
をバックにしたジャズ、ブルース、
ゴスペル(スピリチュアル)などの
黒人音楽を歌ったもの。
Judy Durham with Frank Traynor's Jazz Preachers (Sailor-Boy SB-002) ※NEW ZEALAND盤
A1.Moan You Mourners
A2.Jelly Bean Blues
B1.Pa Pa De Da-Da
B2.Just A Closer Walk with Thee
※これはニュージーランド盤だが、
内容は上記のオーストラリア盤と
まったく同内容(ジャケットの色合いが異なる)。
ジャケットに"The Seekers Girl"と
銘打ってあるので、シーカーズが
レコード・デビューしてから
リリースされたと思われます。(いつ頃かは不明)
The Seekers at
”The London Palladium Show”
(1966.3.20)
1.Nobody Knows The Trouble I've Seen
2.Someday, One day
3.Open Up Them Pearly Gates
オーストラリア出身のThe Seekers(シーカーズ)は
僕の最フェイバリットなグループなのですが、
今後、記事として頻繁に登場することにもなります。
マニアックでお堅い内容も多分にありますので、
よほど好きでもない限り、ご覧になっていただく方は
ウンザリな状態になると思いますが
なにとぞご了承ください。
シーカーズはビートグループではなく、
なおかつイギリスのグループでもないが、
ブリティッシュ・インヴェイジョンの一角と
同じようにアメリカにも進出したので、
ビート・グループと同じような扱いをされる事もある。
僕のなかでもBeatlesやRolling Stones、Searchers、
Gerry&Pacemakers、Hollies、Kinksなどと
ある意味同系列に位置している。
シーカーズの初期のレコーディング歴を
大ざっぱに書くと
※1963年
1.オーストラリアのW&Gレーベルから
Judith DurhamのソロEP盤発売。
2.Judith DurhamがSeekersに加入、
SeekersとしてW&GレーベルにLPを1枚制作。
(シングルも発売)
※1964年
イギリスに渡り(当初は短期間の予定だった)、
イギリスのThe World Record Club(1965年にはEMIが買収)
からLPを2枚発売させた。
ここまでがColumbia期以前の活動となる。
Columbia時代の色づけされた音とは違い、
原石のようなプリミティヴなサウンドだった。
ここまではメジャーなヒット曲は存在しない。
この後Tom Springfieldの曲提供とプロデュースで
1964年暮れ~1965年初頭、
生まれ変わったような
洗練されたサウンドでColumbiaより
新たなデビューを遂げ、ここからは一時代を築く。
上記You tubeの映像は
そのColiumbiaからのデビュー後、
3枚のシングルをそれぞれ
UKチャート1位、3位、1位と、大ヒットを連発し、
最も脂が乗った時期である頃の映像だが、
具体的にいうと1966年3月に4枚目のシングル
Someday, One Dayを出した直後に
出演したテレビ番組よりの映像です。
(注目は1曲目と3曲目がゴズペル・ソングだということ)
で、きょうご紹介するレコードは
時代が一気に逆戻りして
1963年、シーカーズ以前のジュディス・ダラムの
本国オーストラリアでのデビューEP盤で、
かなり珍しいレコードですが、
僕の最も大事にしているアイテムの一枚です。
ここに収められている曲はCD化されてないばかりか、
60年代以降、編集盤LPなどにも収録されなかったので、
このオリジナルEPでしか聴けない貴重な録音なのだ。
(記事の下の方に一曲アップしました)
ここでJudithの略歴を。
Judith Durham(ジュディス・ダラム)は
本名Judith Mavis Cock(Judy Cock)といい
1943年7月3日、オーストラリアの
ヴィクトリア州に生まれた。
メルボルン大学の芸術学部で
ピアノを学び、優秀なピアニストとなった。
残された音源やフィルムから
ラグタイムピアノの腕前も一流だという事がわかるが、
19世紀から20世紀にかけての
アメリカのKing of Ragtimeである
Scott Joplin(スコット・ジョップリン)の作品なども
達者に弾きこなしたりする。
Judith Durhamは歌手である以前に
まずプロのピアニストなのだ。
(シーカーズ時代はピアノを披露する事が少なく残念)
程なくして、18才でヴォーカルの
トレーニングもはじめて、こちらでも頭角を現し、
ジャズ&ブルース歌手としてクラブにも出演する、
レコーディングのチャンスにも恵まれ、
オーストラリアの一流ジャズバンド
Frank Traynor's Jazz Preachaersをバックに
ここでご紹介している4曲入りの
ソロEP盤を発売させるまでに至った。
このW&Gからレコード・リリースの際には、
本名のJudy Cockではなく
母親の旧姓を使用し、Judy Durhamと名乗った。
上記のようにピアニストとして
ラグタイムにも精通していて、
19世紀後半から20世紀初頭、
そして1920~30年代あたりの
アメリカのオールド・タイミーな音楽に関して
造詣が深そうだが、
特にジャズやブルース、あるいはゴスペル・ソング
(スピリチュアル)に関しての黒人音楽への
尊敬の念と執着は並みはずれている。
特にゴスペルに対するこだわりの強さから、
信心深さも相当なものだとうかがえる。
実はシーカーズがメジャーな存在となり、
アイドル的な面も持ったポップ・スターとなった
Columbia時代のシングルでも
B面はいつもゴスペルやスピリチュアルソングという
徹底ぶりだった。
これはアメリカのルーツとなる音楽に精通していた
シーカーズのメンバー全員の好みもあると思うが、
基本的にJudithの意向が強く反映されているはずだ。
このEP盤で聴かれる歌唱スタイルは
Judith Durham自身が尊敬し、お手本とする
Bessie Smith(ベッシー・スミス)
Mahalia Jackson(マヘリア・ジャクソン)、
Sister Rosetta Tharpe(シスター・ロゼッタ・サープ)
などのクラシック・ブルース・シンガー
やゴスペル・シンガー、あるいはジャズ歌手である
Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)などの黒人歌手を
ストレートに再現しようとしている。
白人である以上、
黒人のフィーリングとは明らかに違うのだが、
19才白人女性Judith Durhamの
初々しさの中にも堂々たる歌いっぷりは見事だし、
お手本とするアーティストや音楽を
実直に再現しようとする姿は心打たれるものがある。
それは同時期にイギリスの若者Rolling Stonesが
マニアックな姿勢で、敬愛するブルース・アーティストに
あからさまに尊敬の念を表したのとよく似たものがある。
ちなみにシーカーズとして活動するように
なってからは、フォーク畑である
The WeaversのRonnie Gilbert(ロニー・ギルバート)や
Joan Baez(ジョーン・バエズ)などの影響も
感じられるようになるが、ここまで書いてきたように
音楽キャリアのスタートとなるこのEP盤では、
ジャズなどの黒人音楽とゴスペルへの
リスペクトでかためられている。
※容量などの都合により音源削除しました。
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コメント
「ジョージー・ガール」の彼女しか知らなかったので、ただのアイドルだと思ってました。
こんな背景があったんなんてびっくり。
以前教えてもらうまで、英国出身だと思い込んでいたくらい。
19歳でこれだけ歌えたことにもびっくりだし、ピアニストとしても一流だというのにもびっくり。
思い込みはいけないですね。反省します。
ブーンは天候に左右されるのか、聴ける日と聴けないときがあって、聴けないときは何も書き込まずに帰るので、コメントが遅れがちになります。すみません。
投稿: showhanng55 | 2010年3月12日 (金) 17時54分
showhannさん
いつもコメントありがとうございます。
Seekersが名声を手に入れたのはイギリスに渡って活動したからこそなので、イギリスは第二の故郷みたいなものです。イギリス人と間違えるのも無理ないと思いますよ。
彼らは当時イギリスでヒット曲がたくさんあり、ビッグな存在のはずですが、今や話題になる事もほとんどないですね。特に日本では「ジョージー・ガール」だけしか知られてないようなありさまです。
VOONってつながらないときはホントにまったくつながらないですね。ご迷惑おかけしまてすみません。
コメントは、いつもでなくても気の向いた時にいただけるだけで大歓迎です!毎度感謝しております。ご気楽にどうぞ!
特に今後は同じアーティストの同じような記事が続く事が多くなると思いますので、退屈なことも多いかと思います
ちなみに来週はホリーズの記事が連続で続く予定です。
投稿: seimei | 2010年3月12日 (金) 20時13分