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■2009/08/11 (Tue)
シリーズアニメ■
全巻までのあらすじ(第7集より)
マディソン群のはしか
原作128話 昭和83年2月20日掲載
原作128話 昭和83年2月20日掲載
「麻疹流行か。免疫、つけておかないと
霧は思いついたように、台所でうろうろしている交を振り向いた。
交は「俺のこと?」みたいに霧を振り向く。
「三丁目のみよちゃん(5)が麻疹にかかっているそうよ。今夜そのうちにお泊りして、伝染されてらっしゃい」
「何で、わざわざ伝染されに行かないといけないんだよ!」
でも交は意味がわからず、反抗的な声をあげる。
宿直室に、ぞろぞろと女の子たちがやって来る。
「大人になってからだとつらいから、昔はよく「子供のうちに麻疹か
日塔奈美が普通な意見で対話に入ってきた。
「今はきっちり予防注射しなきゃ駄目よ。」
千里が厳しそうに追従した。
音無芽留もやってくるけど、特に何も意見しない。
最後に戻ってきたのは、教科書を風呂敷に包んだ糸色望だ。
「医学的にはその通りみたいですが……」
「先生?」
奈美が振り向いた。宿直室に集った女の子たちも糸色望を注目する。
「交だけではなく、あなたがたもむしろかかっといた方が良かった「麻疹」があるんじゃないですか? 「麻疹」たって、病気のほか、色々あるでしょう。精神的に!」
糸色先生はいつものように捲くし立てる調子で一同に言い放った。
「どういうことですか?」
千里が意味を理解しかねて首をひねった。
「例えば今までゲームなんかしたことなかった人が、大人になって始めると、急に楽しさを知ってのめりこみ、仕事が手につかなくなってしまったり。そう! 大人になってからかかる麻疹は質が悪いのです!」
病気の麻疹に関わらず、あらゆる麻疹は子供のうちに経験しておくべきなのである。
例えば「萌アニメ」。大人になってから急にはまりだすと、経済力にまかせて良いも悪いもわからずグッズを買いまくり、生活を破綻させかねない。(骨董趣味なんかもそうだけど)
スポーツ一筋で女性に免疫のない者がプロに入ってから急にモテ出すと、女遊びに溺れて練習もせず、選手生命を絶つ切っ掛けになってしまう。
少年時代は「アイドルなんてくだらねー」と斜に構えているも、大人になってハロプロの楽しさを知ってしまい、グッズを買い漁るわハッピ着てツアーに帯同するわの大騒ぎ。
読書経験のない人が、ケータイ小説なんかで「チョー感動」とかいうのも、やはり麻疹経験がないためである。
絵コンテ:龍輪直征 演出:近藤一英 作画監督:原田峰文 色指定:大谷和也 制作協力:スタジオイゼナ
夜の多角形
原作157話 昭和83年10月15日掲載
冷たくなりかけた風に、落ち葉がひらひらと舞い落ちる。風景はそろそろ秋の紅葉に移りかけている。原作157話 昭和83年10月15日掲載
その日の放課後、糸色望は風浦可符香と一緒に、小石川の街を歩いていた。特に言葉も交わさず、辺りの風景に気持ちを委ねる風情で、肩を並べて歩いていた。
「あら、このお家、大浦さん家ですよ」
望も足を止めて振り返った。家を囲む塀に、大きく“日本働民党”のポスター。望は、落ち着いた気持ちがざわっと騒ぐのを感じた。
「大浦さんが応援している政党ですか?」
「そ、そうですかね?」
でも望は、断定しかねて意見を曖昧にした。
いや、よく見るとポスターは他にもあった。自悶党、免主党、共嘆党、斜面党、教明党、女系党、UFO真党、脱サラ党、新漫画党、超労働党、大田党、下山党、日本転覆党 こきん党、プロレス党、キャツ党、文明党……。
ポスターの列はどこまでも続き、塀を完全に覆い尽くしていた。
誰かが大浦家のインターホンを押した。
伸びやかな声で、大浦可奈子が顔を出した。
「これ、貼らせてもらってもいいですか?」
男が持ってきたのは、新しい政治ポスターだった。
「はーい。いいですよぉー。どーぞー」
大浦はのどかに伸び切った声で、了解した。
「これ貼らせてもらってもいいかしら?」
大浦が家に引っ込む前に、別の政治活動家の女がやってきて、声をかけた。
「どーぞー」
大浦はだらしないくらい伸びやかな声で、許可を与えた。
「ああ、ただの心の広い、大らかなご家庭のようですね」
望はそんな様子を見て、納得して頷いた。
「角を増やしてみてはいかがでしょうか?」
角が少ないから、角が立つ。自分ともう一点だと、するどい槍になり刺さってしまうが、角が増えると滑らかになり、角が立たなくなる。例えば一党だけのポスターだと、ざわっとしますが、色々貼ってあると、偏りがなく、ただの心の広い人なんだな、と思えてくる。
コンプレクスも「ハゲ」一つだったら攻撃されるが、五つも四つもあると、あんまり言われなくなるし、
罵倒も、五つも六つもあれば一つ一つの言葉の痛みは減る。事実、ある国では人を罵倒する言葉が日本語の何倍もあって、挨拶のように罵倒するから、いちいち気にしていられないという。
だからきっと、男女関係も角を増やせば、ややこしい三角関係や四角関係に陥らずに済むに違いない……。
結局どれだけ角を増やしても、滑らかにならずすべてが角になる、という結論だが。
絵コンテ:龍輪直征 演出:宮本幸裕 作画監督:守岡英行 田中穣 色指定:石井理英子
ライ麦畑で見逃して パート2
原作第105話 昭和82年8月8日掲載
原作第105話 昭和82年8月8日掲載
千里が振り向いた。
「いろいろスルーしてあげる、優しい生活だよ」
可符香が微笑みと共に、今回のお題を説明した。
千里は、何か考えるように宙を見上げた。
「スルーライフ? なんか同じようなネタ、昔やらなかったっけ?」
望と可符香が言葉を合わせた。
「先生もスルーライフがわかってきたじゃないですか」
可符香は嬉しそうに望に微笑みかけた。
「ああ、今のですか。悪くないですね。私も少し、スルーライフを実践してみましょうか」
望も納得いったように、可符香に合わせて微笑んだ。
そんな時、望達のそばをバスが通り過ぎた。バスが、がたんと傾ぐ。何だと振り向くと、バスが通り過ぎた後に、少年が一人倒れていた。少年の体に、はっきりとタイヤの痕が残されていた。
「ひき逃げ!」
望が悲鳴をあげる。
「やだなぁ、ひき逃げなんて、身近にあるわけないじゃないですか。これは、運転中のできごとをスルーする、ドライブスルーですよ!」
「うまいことを言ったつもりか!」
可符香は何が起きても、朗らかな微笑と確信を崩さなかった。
藤吉が、顔を青くして走ってきた。
「先生! 千里が産地表示の徹底を始めました!」
「なんですか、これは?」
「生産者表示ですよ。いまや野菜や生産者の顔が見えるのが常識。すべてのものを、生産者の顔が見えるように。」
千里が現れ、自信たっぷりに説明した。
「ああやめて! なんかがっかりする!」
藤吉が引きとめようとするが、火のついた千里は収まらない。
そんなとき、可符香はすべてを包み込むような明るい笑顔とともに現れた。
「違うよ千里ちゃん。人はみな、神の子。八百万の神の国、日本だから人それぞれ作った神様が違うの。千里ちゃんの創造主はこの神様だよ」
と可符香が持ち出してきたのは、神の姿が描かれた神シールであった。
絵コンテ:龍輪直征 演出:宮本幸裕 作画監督:岩崎安利 色指定:佐藤加奈子
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作品データ
監督:新房昭之 原作:久米田康治
副監督:龍輪直征 キャラクターデザイン・総作画監督:守岡英行
シリーズ構成:東富那子 チーフ演出:宮本幸裕 総作画監督:山村洋貴
色彩設計:滝沢いづみ 美術監督:飯島寿治 撮影監督:内村祥平
編集:関一彦 音響監督:亀山俊樹 音楽:長谷川智樹
アニメーション制作:シャフト
出演:神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 谷井あすか
真田アサミ 小林ゆう 沢城みゆき 後藤邑子
新谷良子 松来未祐 上田耀司 水島大宙
矢島晶子 高垣彩陽 後藤沙緒里 杉田智和 寺島拓篤
斎藤千和 阿澄佳奈 中村悠一 麦人 MAEDAXR
この番組はフィクションです。実在する藤林杏、神尾観鈴、古河渚、伊吹風子、一之瀬ことみ 坂上智代 月宮あゆ 美坂栞 水瀬名雪 大ショッカー党、今後発売する神シールとは一切関係ありません。
さのすけを探せ!
なんだかこの顔を見ると、ひどく不吉なものに思えてしまうのはなぜだろう。
詳しく確かめると、原作に書いてあったから、そのままトレースしたらしい。
産地表示
声を当てたのは高垣彩陽。
しかし、厳密には、今回が初登場ではない。
第6集54話に、日塔奈美から「可奈子ちゃんは大場さんと結婚したら、大バカな子だね」と失礼なことを言われるキャラクターとして登場している。(ただし、ルックスは大分違うので、別人説がある)
その他、気になったもの
……と思ったら、これも原作どおり。
ネタ解説
「ライ麦畑で見逃してパート2」のエピソード中、羅列ネタの中に「スタッフ6人で公開録音に行って全員で楽屋まで挨拶に行ったが、ラジオではスルー」と書かれているものがある。これは原作未収録のネタで、少々意味がわかりづらい。実は以前、WEBラジオ版「絶望放送」において、公開録音のイベントが開催された。そこで、アニメ製作スタッフ6人が関係者ゲストとして招待された。しかし、この6人のアニメ製作スタッフは実際にはラジオパーソナリティーである神谷浩史と新谷良子の二人には会っていない。詳しく事情を確かめると、アニメ製作スタッフは、番組制作を担当する音響スタッフ数人に顔を合わせ、挨拶。そのまま、帰ってしまったそうだ。それでも、当アニメスタッフは、「楽屋まで言って挨拶に行った」ということにし、知らなくて当然の神谷浩史、新谷良子がラジオ番組で取り上げてくれなかったので「ラジオではスルー」と書いてしまったのである。
どうやら行き違いがあったらしく、ラジオパーソナリティーの神谷浩史と新谷良子はこの一件に機嫌を悪くし、DVD版には削除するように要求している(まあ削除されないだろうけど)。
絶望絵描き歌
右:井上麻里奈
松木未裕はなんとか、人間の形を描くところまで完成。一方の井上麻里奈は……いったいなんだろう? さらに終了際、矢印が描かれ……。
いきなりコレ。
絵はきっちりしているが、流れとしてはきっちりしていない絵描き歌であった。
エンドカード
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