え~、2週間ぶりの更新です・・・すみませんでした(^^;)
まあ、仕事が割と忙しく、どんなに考えても夏まで暇にならない状況です・・・
ただ、何とかレコ屋にはちょいちょいと行ってますので、ご安心を・・・レコ屋に行って、空気を吸わないと、どうやら生きていけないようです(^^;)
では、今週は、故人を忍び、この作品を紹介します・・・
今週は、先日、57歳の若さでお亡くなりになられた
「ECD」 さんの功績を称えるために、ECDさんが作成したミックステープを紹介したいと思います。
● ECDさん死去 57歳 日本語ラップの先駆者 まず、ECDさんですが、日本語ラップが好きな方ならお世話にならなかった方はいないでしょう・・・
私自身、高校生だった1996年ごろ、初めて買った日本語ラップが「ECD feat K-Dub Shine / ロンリーガール」の12inchで、日本語ラップが好きになったきっかけを作ってくださった方だと思っています。
ECDさんにおいては、日本語ラップの功績だったり、このHipHop~クラブカルチャーにおける功績は、色々な方が指摘し、ほんと重要なお方だと思っています・・・
何が重要だったかは、私よりもっと好きな方々が、愛を持って追悼記事や追悼ミックスを掲げられており、このことだけでも十分に分かるかと思います・・・ほんと、重要なお方でした・・・
きっと、ECDさんの人生は、失礼かもしれないですが、
順風満帆な人生では無かった かと思います・・・
ただ、ただ、、、
紆余曲折はありながらも、音楽や文化、そして人に支えられ、ECDという世界を描きながら、短い人生を駆け抜けられた んだと思います・・・
近年は、闘病をしながらの活動で、心も体もお疲れだったでしょう・・・今は安らかにお休みください・・・
そして、私として、ECDを追悼するべく、
ECDさんの音楽感を表す「ミックステープ=DJ作品」 を通して、ECDさんの素晴らしさを紹介したいと思い、今回の作品紹介に至りました。
まず、ECDさんについては、一般的には「ラッパー」のイメージが強いかと思いますが、いい意味で
イルな音楽センスの元で「DJ」の活動 もされていて、結構、影響を受けた方が多いかと思います。
特に
「和物」 はECDさんの代名詞ではないでしょうか?
ECDさんのことを、僭越ながらDJ的な視点でカテゴライズすると、やっぱり
「異端」な人 で・・・結果的に音楽シーンの本流ではない部分を突き進み、結果的に周りから観ると「異端」な存在だったかと思います。
その意味で象徴的なのが「和物」で、相当早い時期から傾倒しており、名誉のために説明すると、
今となっては異端ではなく、むしろ先見の明があり、やっぱりセンスがあった と言わざるを得ないかと思います。
それこそ、前述したロンリーガールは和物ネタ(佐東由梨ですね)で、周りが全く和物に理解を示さなかった90年代中ごろから選んでいる時点で最強ですよね・・・
まあ、世代的に80年代のアウトサイダーな文化感(和物であれば「よい子の歌謡曲」とか?)を受け継いでいるとは思いますが、こういうのをチョイス出来る時点で「異端」だけど「早かった」と思います。
そして、その和物や、自身の原点でもあるロック~パンク、更に他のイルな音楽を武器に、一時期はDJ活動も積極的に行っていました。
その功績が分かるモノとして、数は少ないですが、いわゆる「ミックステープ」を残されていて、これが好き者にはタマらない内容になっています。
一番有名な作品であれば、手刷りCDでリリースをしていた
「Private Lessonシリーズ」 が有名でしょうか・・・割と打ってないフォーク~ロック~歌謡曲を中心に選曲した内容で、若かりし頃に聴いて「この人は大丈夫だろうか?」と思ったほど、恐ろしい和物選曲ですね(^^;)
ただ、聴いていると、どこか緩く、気持ちいいグルーブがあるのが不思議で、独特なラウンジー感が、最高です・・・後には、メジャー作品でも出していることから、やっぱり「和物」の切り口は上手かったと思います。
なお、写真では、おまけでレアなアドバンステープも・・・ECDモノのアドバンスはちょくちょく買ってたので、こういう時に披露をしないと・・・
ただ、あのDJミックス入りのは、まだ持ってないんですよね・・・当時から高かったけど、買っておけばよかった・・・
そんな背景がある中、今回紹介するテープは・・・
まったくもって謎な作品 になります。
制作時期は、収録曲から判断するに、2003年~04年ごろで、副題から勘案すると、活動の拠点の一つだった下北沢で行われた、何らかのイベントで配布されたテープなのかな~と思います。
テープも、完全手刷りな仕様で、テープ世代には懐かしい64分テープを使用するなど、やっぱり「異端」ですね・・・
※追記 2018/02/07 00:30 このテープは、2003年にECDさんが自主でリリースした CD「失点 In The Park」という作品、または、 2005年に発刊した自伝「失点・イン・ザ・パーク」という本において、 下北沢ヴィレッジ・ヴァンガード限定のノベルティーとして配布された ものになるそうです。 ただ、私の中ではこの作品が一番
「ECDさんの音楽感を表したミックステープ」 だと思っています。
ECDさんにおいて「ミックステープ」として認知されている作品は、どれも「和物」メインな作品になり、残念ながら「ECDさんの一部」だけを切り取った作品になっていると思います。
その意味で、以下で詳細説明を行いますが、
この作品では「幅広いイルな選曲」が最高で、私としては「これこそECD!」と思える選曲 になっています。
では、簡単にですが、紹介をしたいと思います。
まず、ある程度、音楽に詳しい方なら、この写真を見て
「これが一本のテープに収まっているの?」 と思う内容かと思います(^^;)
この作品は、DJミックスはせず、選曲だけをしているテープになるのですが、とにかく
「イルで幅広い選曲」 が最強で、これらが同居しているのが最高です!
それも、英語の曲もあるけど、実は大半
を「日本の曲」で構成した「和物テープ」 になっており・・・何層にもヒネリ倒している所にヤラれてしまいます!
選曲を深く紹介すると、まずはECDさんが熱心に追いかけていた
ロック~パンク~ニューウェーブ~ハードコアの選曲 が白眉で、80年代ロックのカルト盤である
「ガセネタ / 宇宙人の春」 をチョイス・・・和物のセールでたまに見かけるノイズ系の曲(?)で、DJ文化の我々の耳には刺激的なノイズ・グルーブです(^^;)
その一方で、これが平均的に見えてしまうソウル歌謡な
「クック・ニック&チャッキー / 可愛いひとよ」 のような70~80年代の和物、
「キミドリ / 自己嫌悪」 のような日本語ラップ、そしてナイスなロックステディーである
「The Ska Flames / 星に願おう」 等、もうわけの分からない選曲が炸裂しています!
ただ、ただ・・・何度も聴いてると、しっかりと
「一つの音楽」 になっており、それが
「ECDという音楽」 になっており・・・大変、不思議な気持ちよさがあります!
今回、下にトラックリストも掲載しますが、選曲は本当にイルですね・・・
それこそ、前述した
ロック~ハードコアの選曲 は、全く馴染みがないし、これ以外の曲とは異質も異質なんですよ・・・ほんと、星井七瀬や今田耕司(豆腐氏より早い!)の選曲が可愛く霞んでしまうぐらい、イルすぎます!
ただ、ECDさん自体、これらのロック~ハードコアといった
「バンド音楽」に理解と 愛があり、聴いていると「その愛」が分かるんですよね・・・
実際に、ECDさんはハードコアのギグに観客として出向き、モッシュも決めている位、こういった音楽が好きだった・・・いや、
音楽に壁を作らず、気にいった音楽をひたむきに追い続け、更に作り続けた「姿勢」が、結果的に「音楽愛」として、このテープに表れている のだと思います。
うん、クラブ系の曲と、こういったバンド系の曲は、なかなか混じり合わない中で、
ECDという「音楽」の中で不思議と混ざっている のが最高で、気づいたら首をオイオイと言いながら振っていました(^0^)
また、深く聞いてる気づくのですが、一見して荒い選曲に見えますが、要所要所で
「ミックステープ」 を意識した選曲、つまり
「音楽が繋がることで生まれる音楽」 があり、
ECDさんのDJとしての腕の良さ が分かります。
個人的には、明らかにロック~ハードコアの「ヤサグレ感(?)」を踏まえての
「キミドリ / 自己嫌悪」 がパーフェクトで、この曲のもつ「魅力=ダウナーな部分」を上手く出しているな~と思いました・・・
実際にはKrush Posseの後にオールドスクール日本語ラップ繋ぎでのプレイですが、こんなに上手く「自己嫌悪」がプレイ出来る人はいないですよ!
また、その後も最高で、自己嫌悪のトラックにおいて、エンド間際で登場するロックステディー的なネタを見逃さず、日本のスカ~ロックステディーの大御所である
「The Ska Flames / 星に願おう」 に繋いでいくのには、ほんとヤラれました!
全然知らない曲でしたが、ほんと好きになっちゃった・・・うん、ミックステープって、選曲やプレイした曲を「光らせる」ことが重要な中、この繋ぎは最高ですね・・・クラブで聴いてたら、事情によっては泣いちゃう(?)ぐらい、最高です!
う~ん、あまり上手く紹介が出来ませんでしたね・・・
ただ、今回、このテープを聞いたことで、私の中で改めて「ECDが伝えたかった音楽」が理解できましたし、その音楽が大変好きになりました。
だけど、その音楽は、残念ながら言葉では説明できません・・・
不器用で異端、シャイだけど過激、だけどなぜか温かい・・・なかなか上手くまとまりません・・・
でも、これで「イイ」のかもしれません・・・
音楽や文化は、全てを言葉で定義する必要はないんですよ・・・もう
「ECDの音楽」で十分 ですね(^0^)
改めて、天国におられる故人に伝えたいです・・・素敵な音楽と文化を残してくれ、ありがとうございました!!
<Release Date>
Artists / Title : ECD 「Fuck You !! We Are From Shimokitazawa」
Genre : Rock、Hardcore、Soul、日本語ラップ、和物、Breakbeats・・・
Release : 2003年~04年ごろ?
Lebel : No Lebel No Number
Notice : トラックリストについて
ECDさんの世界観を分かりやすくするため、下記に記載します。
なお、書くところが無いので、ここで書きますが、このテープ、ドマイナーすぎて市場に殆ど出ないです・・・手刷りなので、本数も30とか50とか、そんなレベルだと思います。
A面
BREAKfAST / Violent Grind
The SS / 恋のダイヤル6700
ガセネタ / 宇宙人の春
シーナ&ロケッツ / You May Dream
クック・ニック&チャッキー / 可愛いひとよ
Krush Posse / Chain Gang
キミドリ / 自己嫌悪
The Ska Flames / 星に願おう
U.G. Man / Punk Rocker Still Standing
Mark / Five Yerars
B面
星井七瀬 / 恋愛15シミュレーション
小川みき / マイ・ロスト・ラブ
MC Joe / ジョーの日常
スチャダラパー / サマージャム'95 (Remix)
KZA / La Previsione del Tempo
koji-1200 / 宇宙人
Notice : この作品が出来た理由
(2018/02/07 01:00追記→02/11 21:25写真変更)
なんと、このノベルティーを企画した張本人である
「金田謙太郎」 さんからTwitterでコメントを頂き、このテープが出来た理由を教えて頂きました!
まず、このテープは、文中に追記をしたとおり、2003年にECDさんが自主でリリースしたCD「失点 In The Park」という作品、または、2005年に発刊した自伝「失点・イン・ザ・パーク」という本において、
下北沢ヴィレッジ・ヴァンガード限定のノベルティー として配布されたものになるそうです。
そして、金田さんは、この下北沢ヴィレッジ・ヴァンガードのバイヤーとして、ECDさん側にオファーしたことで、このテープが生まれたそうです。
金田さんは、下北沢にあるヴィレッジ・バンガードの名物バイヤーさんとして有名で、独自の視点でCDを仕入れ、かつ、魅力的な企画でCDを売りまくり、金田さんの後押しで有名になったアーティストが多くいることで、業界では有名なバイヤーさんです(参考記事は
「こちら」 )。
また、ECDさんとの出会いは明確には分かりませんが、金田さん自体、もともとele-kingの編集者もやってたり、ユニオンに勤めてたり、割とクラブ~DJ的なスタンスがあったそうなので、それで出会ったんでしょうね・・・きっと下北沢が引き寄せたんだと思います?
んで、教えていただいた情報で衝撃的だったのが、このノベルティーテープを企画する際に、ECDさんには
「下北沢をテーマにしてください」 とリクエストしたそうで、完成した内容が、
下北沢にあった名物クラブ「SLITS」を意識した内容 になっていたそうです!
もう、この話を聞いて、今回のテープの内容に合点しました・・・だって、SLITSといったら、Ska Flamesも、キミドリも、Krush Posseもいた、ジャンルに関係なくグッドミュージックが同居していたクラブなわけですよ・・・
そして、ECDさんもホームベースにしてたクラブでもあるので、このテーマからこういった内容になったことは、当然なことだと思います・・・きっと、ECDさんのパーソナルな部分も含みながら、ECDさんがSLITSに通い、SLITSで愛した曲たちを、素直に選曲したんだろうな~と思うと、愛おしくてたまりません!
もう、このテープは、
ECDさんを表すテープでありながら、下北沢の奇跡を表したテープ なのかもしれません!!
金田さんには改めて御礼を申し上げます!!
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<オマケ>
VIDEO 【You The RockのNitgh Flight 1997/04 ゲスト:ECD】 久しぶりに蔵出し音源ですが、ECDさんが1997年にアルバム「Big Youth」を出されるタイミングで、
YouさんのNight Flight にゲスト出演をされた回がありましたので、音源をアップしてみました。
この番組自体、YouさんとECDさんが所属していたCutting Edgeがスポンサーとも言えるので、こういったゲストは当然なのですが、ECDさんが元気にしゃべられている姿は貴重かな~と思い、アップしました。
ただ、この時点でECDさんは37歳で、20代前半のYouさんたちから比べたら世界が違く、ちょっと浮いているんですよね・・・この点が日本語ラップにおける異端だったりするのですが、逆に、世代が違うからこそ、
Youさんたちの若い世代を影から引っ張っていた事実 は忘れてはいけません。
なお、やっぱり、大人としてYouさんたちを引っ張っていた
中尊寺ゆつこさん (この番組の本当のスポンサー)も出られてて、感慨深いです・・・
こうして若くして亡くなられた方が並んだ音源であることは、色々と考えさせられます・・・
ただ、ここでは
「文化を引っ張ることの重要性」 だけ指摘します・・・こういった方々の活躍があって、文化が引き継がれていることは忘れてはいけないし、自分たちも実践すべきですね(^0^)
コメント
SUGI
ECDさんはスタートからお皿を回していて、MTTさんが上げたような聞いたことの無いような和モノ、ロックを主にプレイしていたのを覚えています。当時はどうしてラッパーなのにヒップホップをかけないんだろう?と思っていましたが、、、
その後のライブパフォーマンスは大盛り上がりで、自分の初クラブ体験として忘れられない記憶として心に刻まれました。
イベント後、ECDさんはまたDJブースに入り、レコードをかけていました。自分がクラブを出る際にブースの真横を通る形になったので、思い切って「ECDバイバイ!」と声をかけたら、笑顔でこっちを向いて手を振ってくれました。。。
彼の死はここ数年の日本のヒップホップ、クラブ関係者の訃報の中で一番ショックです。今はただ悲しみに浸るだけです。合掌。
2018/02/05 URL 編集
mixtapetroopers
コメント、そして貴重な情報を頂き、ありがとうございます!
まず、やっぱり現場でも、それも90年代からオルタナティブなDJをされてたんですね・・・
私自身は、現場でのDJを聞いたことがなく、作品単位や聴いた話ばかりでしたが、やっぱりそうなんですね・・・そう、当時からしたら「どうしてラッパーなのにヒップホップをかけないんだろう?」と思いますよね~
ただ、紹介でも触れたロンリーガールや、笠井紀美子のバイブレーションなど、ネタ単位でも和物のチョイスは鋭いし、今回のテープもヤバいし・・・やっぱり選球眼があったんだろうな~と思っています。
あと、これは本文では書けなかったのですが、日本のHipHopやラップって、気づいたら始まって25年ぐらいは経過していて、文化の成熟がある半面、活動している人は年を重ねて・・・今回のような訃報があってもおかしくはないんですよね。
なんか、上手くまとまりませんが、音楽というモノは、音源として残したものは、その美しさを実は保って後世に残るけど、それを作った人は、残念ながら同じ美しさを保てない・・・という事実を、少し痛感したりもしました。
ではでは、今後ともよろしくお願いいたします!
2018/02/06 URL 編集
ワンタ
上の凄い考え深いの表記は感慨深いの誤用では無いでしょうか?
http://kimanity.blog53.fc2.com/blog-entry-737.html
あと凄い考え深いと書くなら、凄く考え深いと表記する方が良いのではないかと思いました。
2018/03/06 URL 編集
mixtapetroopers
ご指摘、ありがとうございます。
そうですね、感慨深いが正しいですね・・・すみませんでした。
ここ最近、書いても時間がなくて、あんまり校正せずに公開してるんですね・・・反省します。
ではでは、今後ともよろしくお願いいたします。
追伸(皆さんへ)
3週間、沈黙をしていましたが、無事に仕事地獄を乗り切りました(^^;)
今日は久しぶりな休みなので、レコ屋&風呂ですね~
ブログの更新も、明日の夜ぐらいにアップ出来るように頑張りますね~
2018/03/10 URL 編集