永上裕之のネタ帳

「メンズファッションプラス」、「非モテ+」と言うサイトを運営しています。日々、奮闘して頑張っております!

Web業界からEC業界に行ってブチ当たった、皆が教えてくれない「EC業界の見えない壁」の正体を、もやっと掴めました!

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皆さん、あけましておめでとうございます!永上裕之です。

2015年は、引き続きメンズファッションプラスと非モテ+の運営を頑張っていきたいと思います。

2014年はweb業界とEC業界の違いを実感

昨年1年を振り返ると、2012年に始めたメンズファッションプラスの「EC業界」としての壁にぶち当たった1年でした。

先月、私は28歳になりましたが、私は中学生から25歳までは主にコミュニティサイトやニュースサイト等を運営してきました。私は、こういうサービス運営のノウハウを「webサービス系ノウハウ」と呼んでいます。

メンズファッションプラスを始めた時は、この「webサービス系ノウハウ」で、「どこまでEC業界で通用するのかなぁ。」というのは正直興味がありました。

そして現在、メンズファッションプラスを始め2年半ほど経ちました。1年目はサービス立ち上げでやることに追われる年でしたが、2年目というのは昨年との比較もできるようになり、色々と挫折も学ぶことも多かったです。

42.195キロのフルマラソンを走ると体の悪いところが全て分かる

昔、ラジオで「42.195キロのフルマラソンを走り切ると、体の悪いところが全て分かる。」という話を聞いたことがあるのですが、私にとっての昨年は、会社経営やECサイト運営という規模での「自分の未熟な部分」が、全てあらわになったイメージでした。

未熟な部分の中には、経営的なもの、人事的なもの、会計的なもの、EC特有なものなど色々とありました。ただ、その中でも特に頭を悩ましているのが「集客」の部分です。

この部分が、「webサービス系ノウハウ」ではどうやっても乗り越えれない、EC業界ならではの1番ドメスティックな部分だと思っています。

「アクセス解析」や「アドテクノロジー」や「A/Bテスト」で乗り越えれないEC業界の壁

アクセス解析、アドテク、A/Bテストなどは、私個人としても非常に好きです。こういった集客やCVR向上のノウハウは、「webサービス系ノウハウ」での経験を駆使すると非常にスムーズにドライビングができる局面が多かったです。

ただ、EC業界は奥が深く、上記のような「テクノロジー系の集客」では、乗り越えられない、「マーケティング系の集客」というものがあると、2年半の経験で、うっすらと、そのぼんやりとした、「壁」の存在をつかむことが出来てきました(笑)

 まだ、その本質をしっかりと理解出来たわけではないため、正確に説明は出来ないのですが、「マーケティング系の集客」について簡単に説明しますと、「人の気持を揺さぶる数値化できない施策」という風な感じだと思います。

EC業界は、簡単に言うと、全員が同じフォーマットで「如何に人を集客し、販売するか」のみに特化し、凄く大人数の優秀な大人たちが研究している業界

「webサービスを作る!」というと、表現手法が沢山あります。まずは、アプリかブラウザーかも違いますし、同じバーティカルメディアを作る。と言っても、たぶん、100社が作れば、まったく形の違う100サービスが出来ます。

その為、もしかすると、「webサービス系ノウハウ」にも、深く掘り下げていくと「マーケティング系の集客」に関するノウハウは存在する項目なのかもしれませんが、webサービス運営においては、まずは「どんなサービスを作るか。」や「どのようにサービスを作るか」などが議論の始まりです。

しかし、EC業界は非常に面白くて、基本はマーケットプレイスなどへの出店が多くですし、そこまで通販サイト自体で差別化を図るということはありません。(そこで、差別化を図るというのも、面白さの1つではあるんですが。)

その為、色々な小売店、広告代理店、コンサルティング会社などが「どうやって集客をし、どうやって売ろうか」ということのみを徹底的に考えます。しかも、「めちゃくちゃ沢山の企業や人たちが」です。(楽天モール出店企業だけでも、2014年12月現在で、4.1万社もあるようです。)

そうすると、自ずとEC業界に身を置かれる人は、「どうやって集客するか、どうやって売るか」を全員が語り出します。

集客でやれることが少ないから、「マーケティング系の集客」だけが異常に進化

その時に、webサービスの運営と違い、「テクノロジー系の集客」というのは非常に選択肢が少ないことに気づきます。モールやマーケットプレイス自体を、私が運営するならばやれることは多いのですが、イチ小売店としてはやれることが非常に少ないです。(理由は色々ありますが、イチ小売店では、商売の性質上なかなかプレスリリースを出すような大きな企画をすることが難しかったり、実物の「モノ」を販売するため、商品開発にも限りがあったりします。)

そこで、競合も似たような商品を扱っている、プレスリリースも出せない、広告出稿先も限られてくる、不特定多数に大量に露出するようなことは難しい。などのNGの縛りが非常に多い条件の中で、「数少ない人に、より多く買ってもらう」という無理難題のような条件に置かれ、それでも何とかしなくては!ということで「ぎゅーーーっ」と追い込まれ、苦肉の策として生み出され、極限まで研ぎ澄まれた手法が「マーケティング系の集客」だと、私は解釈しています(笑)

イメージとしては、Web業界は総合格闘技、EC業界はボクシング。総合格闘家が、「俺はパンチはもちろん、キックも寝技もいけるし、ボクシングも余裕だろう。」と思って、ボクサーと戦ったら、ジャブという物凄い研ぎ澄まれた技(マーケティング系の集客)1つに圧倒されて負けてしまう。というような状況だと思っています。(格闘技詳しくないので、ニュアンス違っていたらすみませんm(_ _)m)

具体的には、webサービスが得意とする「テクノロジー系の集客」の多くは、いかにマスを捉えるために面で攻めるか。ということが、肝になりますが、「マーケティング系の集客」は対象者も少ないため、「点で攻める」ということに特化している風に感じます。その為、施策の濃度は非常に濃いと感じます。

調べたら腰を抜かすぐらい奥が深く、練り込まれているEC業界のマーケティング手法に圧巻

マーケティング系の集客は、調べてみると沢山出てきますが、テクノロジー系の集客と違って、なんか凄い「戦略が深く練り込まれていて濃い」んです(笑)マーケティング系の集客は、ジュースで例えるなら「マックシェイク」。というぐらい、1つだけ非常に異端な感じがします。

私は、この状況を分析すると「お金が凄く動く業界 ☓ 選択肢が限られている」 という条件が満たされると、異常なほど研ぎ澄まされたノウハウが生み出されると思っておりまして、例えば、「ソーシャルゲーム」です。

ソーシャルゲームの解析をされている方にお話を聞いたのですが、ソーシャルゲームの解析は、webサービス系やEC系の解析ノウハウの進化系ではなく、独自進化を遂げた形になっていると聞きました。ただ、1から始まったソーシャルゲームの解析のノウハウの成長スピードは他の解析のノウハウ蓄積の速度と違い、異常なスピードで進化を遂げていったようです。

「お金を生み出す分野 = それだけ沢山の優秀な大人が集まって研究する = 期間に限らず、異常な濃度で進化する」

ということだと思います。その為、研究をされだした「期間」よりも、「濃度」が重要です。そして、その濃度の対象が狭ければ狭いほど、それは異常なほどノウハウが蓄積されると思っています。

そして、少し大げさですが、EC業界においては、集客手法はこの「マーケティング系の集客」の1点に全勢力が結集し、さらに期間も非常に長く研究されているというような驚異的な状態です。

その為、Web業界の人間(一応、私もそのつもりです)が、いくらWebサービス運営について手広く勉強をしていたとしても、この極限まで研ぎ澄まされた1つの武器には対抗できない。それがつまり、「Web業界から来た人がぶち当たるECの壁」なんじゃないかなーと思っている次第です。

すみません、なんか壮大に胡散臭い話になってしまいましたが(笑)

「そもそも、マーケティング系の集客ってなんだよー。」という点については、またいつか、このブログに詳しく書いていければと思いますが、現時点での私の理解としては、「心理学」や「人間の習性」みたいなものを深く理解し、それに適応した集客の仕組みを作る。ということなんですが、こうやって書くとかなり胡散臭いなーと思います(笑)

ただ、一方で非常に売れているECサイトの人とお話しても、「アナリティクスのイベントトラッキングで、メニューバーのクリック率を測定して、メニューバーのA/Bテストで最適なボタンを見つけて、CTRを1.3倍上げて・・・」というような話よりも、「どういうタイミングで、お客さんはあなたの商品を欲しいと考えると思いますか?」というような話が大半でして、謙虚にその現実と向き合うと、テクノロジー系の集客だけでは難しい壁があるなーと思わされる次第です。(この話をすると、「物事の本質を捉えろ!」と言われそうなんですが、ちょっとニュアンスが違うのですが、言語化できずに悔しいです><)

ただ、私は法則化していくのが好きなので、定量化はできなくても、私なりに定性化をしていければと思っています。

 

(まとめ)

ということで、私のように「Web業界 → EC業界」という形で、EC業界に行くという人は少ないです。その為、EC業界では当たり前とされていることも、すっと腹落ちしないことも多いです。ただ、2015年はその自分の中での乖離の部分をいい意味で、繋ぎあわせていければと思います!今年も、なにとぞよろしくお願いします!

追記(2015年1月4日)

記事中に出てくるソーシャルゲームのアクセス解析の話などについて教えて頂いた、前職の先輩でもあり、メンズファッションプ+のアクセス解析やサイト運営全般についてコンサルティング契約をしていただいている小川卓さんに言及いただけました!

analytics.hatenadiary.com


普通だと、アクセス解析を専門とされている方に、「アクセス解析では踏み込めない領域がある」というニュアンスの記事を書くと怒られるぐらいの勢いだと思うのですが、逆に、記事の土俵の上で分析をいただき、非常に感謝しております!