2010年6月30日 (水)
「駒野3人目の理由、大久保、魂こもった試合ができた」駒野、本田、大久保、中澤、長谷部、岡崎、森本、長友、闘莉王、川口、川島、遠藤、サポートメンバー香川、岡田監督 コメント
「岡田監督は退任示唆、後任監督はW杯終了後に」
駒野友一は両目を真っ赤に腫らしながらミックスゾーンを通り過ぎた。記者から、「駒野さん、御疲れさまでした」と声をかけられると、深々と頭を下げて、テレビインタビューも受けずにバスに向かった。駒野は、24日のデンマーク戦後に毎日行ってきたPK練習で、一本も外さなかったためその安定感で3人目に蹴ることになった。5番目は闘莉王、6番目は中村憲だった。岡田武史監督は試合後、「この後のことは、今はとても考えられない。おそらく、もうやることはないと思う」と、監督を退任する意向を改めて示唆。2007年12月、98年フランスW杯以来の日本代表監督に就任。指揮下(07年以降)通算成績は26勝13分け11敗(ベンチ入り禁止の1分け含む)。日本協会・原・技術委員長は試合後、後任の監督人事はW杯全試合終了後に技術委員会が、世界的な流れを見た上で「日本がどういうサッカーをしていくのか、その考え方を上に出したい」としており、南アで決勝まで観戦するとし、日本サッカーの方向性を決めてから人選するとの考えを明らかにした。
岡田監督 選手たちは、すばらしいすばらしい、誇りを持って闘ってくれた。その選手たちを勝たせてやれなかったのは、私の執念が足りなかったからだと思う。最後に点が取れなかったが、その原因をひとつに絞ることは難しい。もともと点を多く取るチームではないが、数少ないチャンスをものにしていくそういうチームでここまで来ている。きょうは戦術的な分析をするよりも、私の執念が足りなかったということ。彼らに何をしてやれるか、といえば、自分がもっともっと勝ちたい、という思いを出して闘うことではなかったか。
「ファンの皆さんにありがとう、と書いて欲しい」=本田圭佑
外した駒さんを責めることはできない。内容をどうこう言っても仕方ない。何を言っても敗者なんでね。あした皆さんが新聞に記事を書くときに、ファンの皆さんに有難うと書いて下さい。批判の中でここまで来られたのは、批判してくれる人がいたからこそだった。これからもサッカー人生は続くし、それはみんなそうです。この大会で、何が必要か感じることができた。それをどう4年積み重ねていくか、生半可じゃできない。今回のようにやるのか、内容にこだわって勝ちに行くのか。日本のサッカーを見せることはできたけれど、もっと攻めて行くことを考えないといけないし、もっとオレのところにボールが入るように(戦術を)考えないと、そこを突き詰めていきたいと思う。もしオレが、日本人かパラグアイ人じゃなかったら、この試合は見ていないし、日本人とパラグアイ人じゃなかったら、知っている選手は一人もいなかった(もっと国際レベルで闘うべきという意味)。
「さ、帰ってカレーを食べましょう」=中澤
PK戦が終った瞬間、ああ、もう終ったな、W杯はこれで終ったと。それ以外何も思わなかった。ベスト16の壁を破って、スペインでもポルトガルが来てもいいように準備していた。高い壁を越えることができなかった。PK戦はどっちに転がるか分からないので、その前に決めたかった。誰かがPKを外すわけだから、駒野一人の責任では全くない。これからのことは帰ってゆっくり考えますし、悔いがないように時間を使いたいとも思う。ここまで来られたことに胸を張って帰ります。さ、帰ってカレーを食べましょう(中澤の大好物)。
「魂こもった試合ができた」=大久保
終った瞬間、オレも泣いた。何かね。試合が始まってからパラグアイが強いとは思わなかったし、相手よりもきょうは自分たち次第、自分たちが折れないようにした。前半は回させている、という(相手のポゼッションが高かったことに)考えだったし、怖さもなかった。チャンスがあればカウンターで点を取ろうとずっと考えていた。延長の(交代の)最後のほうはもう足がつってしまっていたけど、本当に楽しかった。W杯が終って欲しくなかった。PKは運だけ。ここまでやれたことに自信を持っていきたいし、大会前にはあそこまで悪かったけれど、やれるんすね、こんなところまで。円陣の中では、PKで勝とう!と岡田監督が強く言っていた。今回、大会前からほとんどぶっつけ本番で臨んだが、勝って自信をつけていった。この自信に、これからも親善試合や色んな試合で磨きをかけて成長していきたい。これからのことは少しゆっくりしてから考えたい。この1ヶ月、思えばあっという間だった。気持ちよく終れたと誇れるし、最高だった、悔いはない。
「規律と団結、これが日本の強みだと分かった」=長谷部
(PK戦はコイントスで表と裏を主審が決めて表が出たパラグアイが先行に)この敗戦を受け入れなければならないし、120分で決着できなかったことが全てだった。PK戦は時の運でしかない。得点というのが最後までできなかったが、パラグアイに差を感じることは全くなかった分、余計に悔しい思いがある。大会前の準備期間、うまくいかなかったが岡田監督が踏ん切りをつけてくれて、違う形で(守備重視)行くと決めてからうまく行き始めた。短期決戦での強いまとまりを感じたし、何よりの収穫は、試合に出られなかった選手たちのすばらしいサポートだった。攻撃も試合ごとによくなっていった。個人的には、まだまだ世界で戦うには自分のレベルを上げないといけない、と強く感じた大会でした。(主将として)チームは能活さん(川口)、ナラさん(楢崎)、佑二さんが引っ張ってくれたし、佑二さんは今でもゲームキャプテンだと僕は思っている。僕は本当に何もしていない。もっともっと、このみんなと試合をしたかったのであした解散するのは寂しい。4年後はまだ考えられないが、若い選手もどんどん海外にいって、今の代表を追い抜くことだ。今回、しっかりしたディスプリン(規律)があれば、やられることはないという自信を持てたし、チームとして闘うことができた。これが、日本の強みだと分かった。
「サッカーを止められない、そう思った」=岡崎
PK戦に入る前に試合を決めるゴールをとりたかった。パラグアイを強いとは思わなかったし、自分たちのやるべきことは最後までやっていたと思うが、ああいう試合で、何とかする能力、が自分になかった。駒野さんのPKのせいじゃない。本当に厳しい試合だったが、本当に楽しかったし、試合が終って欲しくなかった。サッカーを止められない、悔しさと一緒にそう思った。この1ヶ月、正直、色々考えることもあった。悔しい思いをしなかったわけじゃないが、吹っ切ってからは楽しかったし、自分の考え方とか大きく変えることのできた1ヶ月だった。現状維持、誰かのパス待ちじゃなくて、自分で打開してシュートを打って、強気で発言して・・・海外とか高いところでも、そうやってゴールを狙っていく強い気持ちを持ち続けることがどんなに大事かこの大会を戦って分かった。
「サポートメンバーは思った以上に難しかった」=香川
この1ヶ月、辛い、悔しい思いもしたし、全てが楽だったわけではなかった。想像していた以上に、サポートメンバーは難しかった。W杯に来ているのに、W杯には参加できなかった、そういう思いが最後まで完全に消えたわけじゃなかった。ただ、こういうレベルで世界を間近に見られたことは本当に良かったし、世界に出て戦うためにどうしなくてはいけないかも考えられた。一日も早くドルトムントにいって、戦いたい。相当厳しいし、負けて帰ってくるか、何か掴んで勝つか、腹を決めて行きたいと思った。4年後のブラジルにどうしても行きたい、というより、今は次のステージをどうがんばるか、それを考えてます。
「大会前の3敗という批判を見返してやろうと頑張った」=森本
個人として出られないということは思わなかったし、自分も勝つための駒なんだ、と思っていた。いつでも出て、点が取れるように準備をしていたつもりです。大会前に、3敗するといった批判を見返してやろうとみんなで言っていた。W杯に来ることができて、自分が代表で戦っていると思ったが、W杯は日本全体が戦っているんだ、と分かったし、色々な経験ができました。ブラジルに向かって自分が出なきゃいけない、という思いはあるが、今は次のシーズンを頑張ることを考えたい。(カターニャに残るか、と聞かれ)それはクラブの話になりますから。
「僕と圭佑でサッカー界を引っ張ってく」=長友
PKに勝てなかったが悔いはない。一人一人が戦って手ごたえを掴んだW杯だった。(チームとして)点を取りたかったけれど、僕らがここで流した涙を次ぎにつなげたい。僕と圭佑(本田)でサッカー界をひっぱってくと誓いあった。まだ先のことは分からないが、海外でチャレンジしたい。
「みんな泣けたか?」=闘莉王
(ミックスゾーンで待っていた記者に)みんな泣けたか?やることはすべてやった。最後の最後まで勝利と仲間を信じられた。僕自身の悔いは、2度のセットプレーを決められなかったこと。あそこで決めていれば・・・。延長を終えて、あとは神様の手に任せた。ここまで来させてくれた神様に感謝したい。大会前から色々なトラブルを乗り越えてここまで来ることができた。きょうは、PKを入れた相手のほうを褒めないといけないと思う。日本人になって、ここに来て、本当に誇りに思う。
「自分たちが証明できたものがある」=川島
どんな状況でも負けてしまって残念です。これを晴らすには、4年後(のW杯)しかない。自分がPKを止めて勝てればよかったが・・・。1ヶ月はあっという間の時間だったし、かけがえのない経験をした。今回は、(100%じゃなくて)120%でやることを考えないといけなかった。(サブで始まった遠征だったが)どんな立場でも状況でも自分がやることは変わらない。そういう気持ちでやってきたから、きょうがある。今大会で、自分たちがピッチで証明できたものもあるし、チーム全体が考えていたことをピッチで表現できたと思う。それは胸を張っていきたい。
「ここから新たな戦いが始まる」=川口
負けたけれど、PKまでいって魂を見せてくれた試合だった。本当によく闘ったと思う。僕は気持ちを切り替えて、ここから仕切りなおしてまたがんばっていきたい。(川島にアドバイスは?)PK戦に入るときに、GKの見せ場だ、冷静に見せてやれ、としか声をかける時間がなかったが、皆120分すばらしいパフォーマンスをした。この後が本当に大事になる。(過去3回の経験から)W杯後のほうが難しいこともある。ここから新たな戦いが始まる、そう思って日本に帰ってJリーグでがんばる。
「日本サッカーのスタイル確立できた」=遠藤
(PKについて)自分が一番手で決めれば、いい流れでできると思った。(駒野を抱きしめていましたが)これだけの大舞台で外したけれど、僕も何度もPKを外している。落ち込むことはない。それよりも、90分、120分で決められなかったことのほうが大きい。相手を0点に抑えた、ともいえるし、抑えられた、ともいえる試合だった。(涙が見えたが)もうこのメンバー、スタッフと試合ができないのが悲しくなった。大会を通じて4試合全力で戦えたことに、満足はしないが、充実感はある。守備については、オランダ戦以外はパーフェクトにできたし、このスタイルは今後の監督次第だが、日本のサッカーのひとつのスタイルは確立できたと思う。チームは、間違いなくひとつになれたし日を重ねるごとに、一人一人がチームのために、という感じになっていった。現役でいる限り、代表は自分の大きな目標です。一人一人の能力をもっと高いところに持っていかないとならないが、組織は間違いなく世界に通用する。まだまだ上に行きたいと強く思った。きょうまでの間、勝てないときも、苦しい試合も乗り越えてきたし、いいこともあった。ここで得た経験を次につなげたい。