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映画感想「崖の上のポニョ」 

「崖の上のポニョ」観ました。ネタバレしない程度に語りますが、それでも「知りたくない」「何も知らないまま観たい」って人はスルーしてください。

ぶっちゃけあまり期待してなかったんですが、いやいや、これはなかなか面白かったです。今作ではCGは一切使わずに全て手描き。で、まずその色の鮮やかさに目を奪われた。色鉛筆で描いたような色で隅々まで彩られていて、とてもあたたかく馴染みのある背景。CGにはできない緻密で繊細で、そしてあたたかい美しさがあった。もともと「自然の美しさ」といったものを伝え続けてきた宮崎駿ですが、それが「全て手描き」という原始的な手法で、しかし妥協を許さないクオリティで描かれたかなと。「CGは使わない。だけど手描きの良さを最大限に出してやる」といった気合が感じらなくもない。しかもこれが宮崎駿のあの世界観と相性がすごくいい。

お話はおとぎ話のような、シンプルだけどファンタジックなストーリー。キャラもすごくかわいらしくて好感が持てる。特にそうすけとポニョはとても素直で純粋。「なんていい子なんだ…」と何度思ったことか。子供らしくて実にかわいい。

シンプルでおとぎ話のようなストーリー、宮崎駿のあの世界観、鮮やかな背景。総じて絵本をそのまま映画にしたような出来栄えで、なんともあたたかい気分を残したまま映画は終了します。それがとても心地良い。まるで本当に良質の絵本を読み終えたよう。

正直ちょっと褒めすぎたかなーという気もする感想記事ですが、普通に面白かったというのが率直な感想だったりします。いや、「無難に面白かった」という方が感覚的には近い気がしますが。本当は物語についてもっと深く語りたいんですけどねぇ。実はそれだけの深さがこの映画にはある(かもしれない)ので。なにはともあれ、決して悪い映画ではないので時間があれば映画館へ足を運んでみては。


最後に演出的なことを少し。
「水」の描写が実験的で興味深かった。今作ではストーリー的に水や海といったものが常に描かれているわけですが、その水が今までのアニメにはなかったような表現で勝負している。無駄な線が一切無い。普通アニメで「水」を表現する場合、本当は水に色なんて無いのにそれを水色などで着色して「水」を表現します。でも水色で塗りつぶされたモノを見ても、それだけだと「水」だとは分かりにくい。ではどうするのかというと、水の不規則なゆらめきや波といったものを色や線で複雑な動きをつけて表現するわけです。が、「崖の上のポニョ」ではその線が非常に少ない。最小限の線で、しかし「波」だとハッキリとわかる。「カリオストロの城」などで水の表現にかなり拘った宮崎駿ですが、今作ではもっと大胆に勝負に出たかなという印象。たかが水、されど水。あとリサのカーチェイスシーンもかなり見応えあり。物語には直接関係ないシーンだけどアクセントとして盛り上げた。
[ 2008/07/21 02:40 ] 未分類(雑記) | TB(0) | CM(0) このエントリーをはてなブックマークに追加
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この映画は絶対にオススメはしません。あくまで「紹介」に留めます。なぜならこの映画は意図的に観客に不安感や嫌悪感を抱かせるように作られており、観たことを後悔する人がかなり多いと思うので。観ると確実に不快な気分にさせられます。私も劇場で観た時はもの凄く落ち込みましたし、すごく不安な気分にさせられました。でも同時に「これは大傑作だ!」という確信もありました。エンタテインメントに於ける『暴力』表現の本質とは何なのか。この映画を観ると『暴力』の表現に対する価値観が変わります。それだけこの映画の内容自体は震え上がるほど怖く、心底胸糞が悪くなるストーリーなので二度と観たくないと本気で思うかもしれません。しかし、紛れも無い大傑作だと私は思います。

鑑賞した当時、この映画の記事を作っているのでそれも併せて紹介します。
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