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見えない「先」は存在しない。

私の好きな話↓
『徒然草』 第52段.仁和寺にある法師

略すと、お坊さんがお参りに行ったのに、途中で勝手に勘違いして帰っちゃって最後まで行かなかった。マジウケル。(By兼好法師)という内容である。

シニア層のネット操作を見ていると、いつもこの話を思い出す。

Nさんは65歳男性。
インターネットを初めて2カ月になる。

「年末はインターネットをやろうと思ったのに、楽しくなくてすぐ閉じちゃった。」と仰る。

インターネッ子(笑)としては聞き捨てならない言葉である。

「どんなものを見てみたいですか?」

「何があるかわからないから、何も見れない」

「テレビとか見ていて、気になるものをとにかく入れてみればいいんですよ」

「例えば・・・」と、色々見たくなるキーワードをぶつける。

「なるほど、自分が調べたいものを出せばいいんだ。
でも、調べても、何が出てくるかわからないし
ただ見ているだけだから、出来ることが少ない」(←??)

と、仰るので、実際にご興味のありそうなキーワードで見て頂く。

すると、よくあるシニアの行動、

検索結果で「ほら、ここには答えが無い」
これはよくあること。

そこからクリックを促す。

「この情報はつまらない。ただ見ているだけだから」(←??)

「では、前に戻りましょう」

いろいろ話を聞くと、その商品が興味あるのではなく、商品で出来ることに興味があるとか。

「キーワードを変えましょう」

「変えなくちゃいけないの?」

「そうです」

「ふーん」と不服そうに。

「よく解らないんだよなー」

そして、促さないとクリックしない。

「もっと見てみましょう。」

色々なページを表示していただく。
色々なキーワードを入れていただく。

「なるほどねー」

ようやく少し楽しくなってきたようだ。

映画のサイトを観たり、そこから最近気になる女優さんの映画を観たり、いろいろ進んだ。

先が見えない、想像できない、というのは、そこに進む価値があるのかどうか見極めない=行かなくてもいい、と判断されてしまうんだなと思う。

件の徒然草では、自分の目的が達せられたからと勘違いし、山の上(本堂?)まで行かなかったわけだが、その先にどんなものがあるのか想像できなければ前に進まない。

シニアのユーザーテストをやっていると、
さまざまな思い込みで途中でやめてしまう。
もしくは、ないものとして扱う。

「これができたらいいな」と思うのは若い証拠で
「見えるものだけを使う」というのが老化した証拠なのかもしれない。

シニアビジネスやら、シニア向けの商品やら、サイトやら考える時は
目的に達成できるような道案内が重要だなー
空気嫁とか、工夫しろとか、自らの努力を求めることはしちゃいけないなーと
つくづく思った瞬間だった。

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