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習主席、GDP統計に疑問唱えたエコノミストを処分(WSJ日本版)

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
中国の習近平国家主席=AP
中国の習近平国家主席=AP

<Lingling Wei/2025年1月8日>

 昨年12月に米首都ワシントンで開かれたフォーラムで、中国の著名エコノミスト、高善文氏が中国政府の経済運営に疑問を呈し、中国の経済成長率は当局が豪語する約5%の半分未満だった可能性があると述べた。

 中国の習近平国家主席は、これを知ると激怒した。

 高氏は中国国有のSDIC証券のチーフエコノミストで、政府の経済・金融政策について頻繁に助言してきた。事情に詳しい複数の関係者によると、習氏は高氏の調査を命じ、その後、高氏を処分するよう当局に指示した。

 関係者によれば、ピーターソン国際経済研究所と中国のシンクタンクが昨年12月12日に共同主催したフォーラムで高氏が行った二つの発言が習氏の怒りを買った。

 一つは、中国の経済成長統計の信頼性に疑問を呈するものだった。高氏はフォーラムで「われわれは中国の成長率がいったいどれくらいなのか本当の数値を把握していない」と述べた。このフォーラムの動画はピーターソン国際経済研究所のウェブサイトとユーチューブで視聴できる。

 「過去2~3年の成長率は、公式統計では5%近くとなっているが、実際には平均で2%程度ではないかと私は推測している」と高氏は述べた。

 習氏はさらに、高氏が中国政府について、成長促進に必要な措置を講じられるのか疑問を呈したことを知り、激怒した。

 高氏はフォーラムで「彼らの経済刺激への取り組みは非常に日和見的なものになるだろう」とし、「結局のところ、彼らが約束したことを自信を持って実行できるとは思わない」と述べた。

 関係者によると、習氏の命令により、高氏は公の場での発言を禁じられた。期間は未定で…

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