高齢化時代の相続税対策 フォロー

78歳女性「両親・義父母と夫を見送り」残された者の終活

広田龍介・税理士
=Getty Images
=Getty Images

 A子さん(78)は28歳で結婚した。4歳年上の夫は長男で、その「家に嫁ぐ」という感覚が強い時代だった。それから半世紀。A子さんは、実家の両親、嫁ぎ先の義父母、夫らをすべて見送ることになり「残された者」として、自分の終活への思いを強めている。

母の最期を一緒に過ごす

 A子さんは一人っ子だ。結婚すると夫の実家に入り、義父母と義妹との同居生活が始まった。一方、A子さんの実家のほうは、両親2人だけの生活となった。

 しばらくして、長男、次男の2人の子が授かり、A子さんは、嫁として義父母の面倒をみたり、母として子育てをしたりと、忙しい毎日を送った。子が大きくなると、夫の実家から独立して、新居を構えることになった。

 13年前、A子さんの父が亡くなったことが契機になり、A子さんの人生は新たな局面に入った。介護や見送り、相続が身近となる生活が始まったのだ。

 1人暮らしとなった母は急に気弱になり、足腰も弱って、買い物にも出かけられないようになった。A子さんは夫に事情を理解してもらい、母を家に迎えて同居することにした。

 2年後、その母が亡くなった。A子さんは、母の最期を一緒に過ごし、思い出作りができてよかったと思い返している。

1年間で3人を見送り

 夫の実家では、義父が8年前に亡くなり、それを長男の嫁として見送ることになった。

 実家は義母と義妹の2人となったが、3年前には、義母は介護が必要になって施設に入居し、義妹だけになった。

 すると義妹も体調を崩すようになった。検査を受けたところ、重度の肝臓疾患と診断されたという。

 A子さんは病状を心配したが、急に連絡がつかなくなり、実家に行ってみると、寝…

この記事は有料記事です。

残り954文字(全文1650文字)

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。