親の遺品で家の中が物であふれてしまったが、何を捨て、何を残したらいいのか――。こんな悩みを抱える人は多く、「片付け」の理論を基礎から学べる講座が人気となっている。
大量の遺品整理に困る…
「父が他界し、実家から先祖代々のアルバムがいっぱい出てきた。どう整理すればよいか分からず『固まった』まま、1年過ぎてしまった」。東京都内で10月10日、「整理収納アドバイザー2級認定講座」(毎日新聞「たのシニア生活彩り倶楽部」主催)が開かれ、参加した60代の女性は受講理由を説明した。夫と都内で暮らすこの女性は、父親の遺品が詰まった大量の段ボールが実家から届き、物を整理する感覚を磨く必要に迫られた。
親が亡くなって家の遺品整理に手が付けられないまま、放置された空き家になっている家も増えている。子供世代に迷惑をかけずに快適な老後を過ごすためにも、普段から身の回りを整理する習慣を付けることが大切になる。
整理収納アドバイザーはNPO法人「ハウスキーピング協会」の認定資格だ。「1級」「準1級」「2級」の3種類があり、有資格者全体(約19万人)のうち、2級が約17万6000人を占める。2級認定講座の受講者は30~50代の女性が中心。受講料として2万4700円が必要だが、1日受けるだけで資格が得られるため、人気は高い。
10日の講座は午前9時半から昼の休憩をはさんで午後4時半まで続いた。受講後1カ月程度で2級の認定証が協会から届く。整理収納アドバイザーは、講座の講師や個人宅、会社での助言などを行う職業だ。
プロのアドバイザーになるには1級の取得が条件になる。2級と準1級の認定講座を受けてから、1級の1次試験と2次審査をパスする必要がある。参加者の一人で金融機関に勤務する60代女性は「整理整頓が得意なので、好きなことを仕事にしたい」として1級を目指すという。
人と物との幸せな関係を築く
この日の講座で講師を務めた丸山としこさんもプロの整理収納アドバイザーだ。整理の考え方や方法、収納のコツを理論に基づき、参加者に丁寧に説明した。
物との付き合い方については「人間関係と同じで、お互い幸せでないと良い関係とは言えない」と丸山さんは言う。恋人や親友など…
この記事は有料記事です。
残り1457文字(全文2379文字)