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新NISA前夜に火花「投資信託コスト競争」の行き先

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 資産形成のための少額投資非課税制度(NISA)が2024年に大幅拡充するのをにらみ、投資信託のコスト引き下げ競争が激しい。積み立て投資で人気の「全世界株インデックス投信」は、保有コストである信託報酬の業界最低水準が年率0.05775%と半年前に比べ半減した。運用業界では「消耗戦」に悲鳴も上がるが、個人投資家には願ってもない投資環境が生まれている。

投信1本で全世界市場に投資

 資産形成には「長期・積み立て・分散」投資の効果が期待できる。投資期間は長いほど収益変動幅のブレが小さく、複利効果も期待できる。定時定額の積み立て投資や、投資対象を組み合わせる分散投資は、価格変動リスクを抑えることができる。

 長期・積み立て・分散投資を実践的に行う手法には、株価指数(インデックス)への連動を目指すインデックス投信を定時定額で買い付ける「インデックス投資」がある。

 最近は、全世界市場の株価指数に連動する「全世界株インデックス投信」の注目度が高い。投信1本だけで全世界に手軽に分散投資できるメリットがある。新NISAを控え、この全世界株インデックス投信のコスト引き下げ競争が進んでいる。

 ここ数年、全世界株インデックス投信で特に人気が高いのは、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim(イーマクシス・スリム) 全世界株式(オール・カントリー)」だ。代表的な全世界株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」への連動を目指す。

 個人投資家ブロガーの人気投票「ファンド・オブ・ザ・イヤー」では19年から4年連続でベスト投信に選ばれ、「オルカン」の愛称で親しまれる。18年10月の設定から…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。