コロナ禍が始まって3年。政府は2023年5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザ同様の「5類」に引き下げ、社会・経済活動は「平時」への回帰を目指す。だが、この3年で日本人の働く意識も大きく変わった。テレワークの浸透で働く場所の自由度が広がり、従来、絶対だった「会社の転勤命令」のあり方も転換期にある。
大都市圏ではテレワーク定着へ
コロナ禍ではテレワークが広がった。野村総合研究所が2022年7~8月、全国の9400人に行った生活調査によると、職場でテレワークの対象者となっているのは30%、実際にテレワークを行っている人は19%だった。
最初の緊急事態宣言があった20年5月時点で対象者は40%近くおり、全体では減ったものの、大都市圏の東京、神奈川で40%以上と高く定着している。
東京都の調査でも、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は23年1月で52%。同300人以上の企業に限ると81%と高い。
コロナ後はどうなるだろうか。野村総研調査によると、「平時でもテレワークをしたい」とする人は全体では25%だが、東京36%、神奈川38%など大都市圏はニーズが高い。
テレワーク対象者の24%はコロナ禍前と比べて生産性の向上を実感しており、非対象者の9%を上回る。オンライン会議や業務支援システムが導入されたことが大きい。
野村総研は「テレワークは、経済活動が平時に戻ることでやめる企業も出るが、大都市圏中心に定着する」とみる。
「転勤拒否は懲戒解雇」の判例
テレワークの普及で働く場所の自由度が広がり、働く人の「職と住」をめぐる意識も変わっている。
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