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マンション管理認定制度「積立金不足」だけでない難関

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

「マンション管理」新時代(2)

 マンションの管理状態を自治体が認定する「管理計画認定制度」が2022年4月スタートした。所有者の高齢化と建物の老朽化が進み、管理不全に陥るマンションの急増が懸念されるなか、管理の質の向上に取り組む「がんばるマンション」にお墨付きを与え応援する狙い。ただし、認定基準は基本的な項目が並ぶものの、なかには意外な落とし穴も潜んでいる。ポイントをみていこう。

事前確認で認定スムーズに

 管理計画認定制度は、改正マンション管理適正化法の柱のひとつで、管理組合が管理計画を提出し、基準を満たせば、自治体の認定を受けることができる。

 認定を受ければ、不動産市場で評価され、マンションの資産価値が高まる▽周辺地域の環境向上に役立つ▽居住者の管理への関心が高まり、さらに管理を良くしようという相乗効果を生む――などのメリットが期待できる。マンション購入を検討する人にとっても、管理の良いマンションを選びやすくなる。

 注意点もある。22年4月スタートは全国一斉ではない。まず、マンションの住所のある自治体が、国の方針に基づく「管理適正化推進計画」を作成することが前提だ。国土交通省によると、22年2月16日時点で作成意向があったのは255自治体(都道府県・市区)にとどまる。マンションがほとんどない地方では、作成しないところが大半だ。

 また、作成意向があっても、22年4月に開始できたのは、群馬県、神奈川県、盛岡市、東京都、大阪市など一部にとどまる。

 国交省によると、自治体に申請する前に、マンション専門家であるマンション管理士の事前確認を受けるとスムーズだという。事前確認を利用す…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。