日本の木造住宅は長らく「寿命30年」と国際的にも短命とされてきたが、世代を超えて住み続けられる「長期優良住宅」認定制度を国が後押しした結果、最近は「100年住宅」をうたうハウスメーカーも多くなった。だが過信は禁物。長寿命住宅は、定期的メンテナンスが大前提になっているからだ。
自宅の「住宅寿命」は?
木造住宅の寿命はどれぐらいだろうか。統計では、取り壊した建物の平均築年数から「約30年」が一つの目安とされ、「住宅ローンを完済するころは建て替え時期」とも言われてきた。
こうしたなか、国も良質な住宅の建設を促進するため、一定基準を満たした住宅は「長期優良住宅」として認定して優遇する制度を2009年に導入した。これを受け、住宅の寿命も延びてきている。
国は、住宅の基本性能に共通基準を設け、第三者が評価できる「住宅性能表示制度」も導入している。その項目のひとつに「劣化対策等級」がある。
住宅に使われる材料は、時間がたつと水分・湿気や大気汚染物質などの影響で腐ったりさびたりして劣化する。劣化対策等級は、こうした材料の劣化を遅らせるための対策がどの程度講じられているかを3段階で評価する。
この等級から、大規模改修が必要な築年数など「住宅の寿命」を知ることができる。等級1は、建築基準法の規定を満たしていることを意味し、寿命は25~30年。これが、等級2では2世代分にあたる50~60年に、等級3では3世代分にあたる75~90年に延びる。
住宅性能表示制度は、評価機関から検査を受けると「住宅性能評価書」を取得できる。20年度に評価書を取得した新築木造住宅は98%が最上級の等級3に認定された。
ただし、新築戸建て住宅で住宅性能評価書を取得しているのは3割にも満たない。取得していない大半の住宅はその寿命の客観的評価が明確になっていない。
また、劣化対策等級は、定期的なメンテナンスが行われることを前提としている。何等級であるかよりも、建てた後の「使い方」が住宅の寿命を左右するわけだ。
定期的なメンテナンスは必須
現在の新築住宅の性能であれば、定期的にメンテナンスをしていれば、30年以上住み続けること…
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