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高市早苗氏と稲田朋美氏「おじさん」めぐる評価の違い

山田道子・元サンデー毎日編集長
自民党総裁選をめぐり、記者団の質問に答える高市早苗前総務相=東京都千代田区の同党本部で2021年8月19日、竹内幹撮影
自民党総裁選をめぐり、記者団の質問に答える高市早苗前総務相=東京都千代田区の同党本部で2021年8月19日、竹内幹撮影

 分かりやすい! 自民党の高市早苗前総務相が月刊「文芸春秋」9月特別号に寄せた自民党総裁選立候補宣言「総裁選に出馬します!」。菅義偉首相の立候補見送りで様相が一転した自民党総裁選で、高市氏の動向が注目されている。

 高市氏は同誌の中で、自らの経済政策を「サナエノミクス」と称し、「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「危機管理投資・成長投資」を総動員してインフレ率2%を目指すという。基本路線は安倍晋三前首相と同じで、自らの経済政策を「ニュー・アベノミクス」とも紹介する。

 そして「私は、日本と日本人の底力を信じている。『美しく、強く、成長する国』を創るために、国家経営のトップを目指し、(略)『日本経済強靱(きょうじん)化計画』を実行させていただきたい」と結ぶ。

 コロナ禍の女性の貧困、自民党を二分する選択的夫婦別姓問題、LGBT理解増進法案など女性や多様性に関する言及はゼロ。「女性」に触れているのは、成長投資の対象として、痛くない「マイクロ波マンモグラフィー」ぐらい。

 経済に特化し、「美しい国」を強調する。安倍氏の支援、安倍氏の熱烈支持者のおじさん狙いが明々白々。月刊「文芸春秋」で出馬表明するのもおじさんっぽい。

 加えて、終戦記念日に靖国神社を参拝したり、憲法を改正して自衛隊を国防軍と明記すると表明したりしているから、一部から「高市首相」待望論が噴出している。

稲田氏はリベラルに近づいた?

 一方、分かりにくいのが稲田朋美元防衛相。日中戦争時の「百人斬り」報道訴訟(原告敗訴)の原告側代理人の弁護士として活動し、右派のマドンナとして政界入りした後は安倍氏に重用され首相候補と目されたものの、LGB…

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元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。