お気に入り記事の保存はアプリが便利!

ほぼ日刊イトイ新聞

2024-12-16

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・なんであんなにハードなコンサートツアーを、
 ある意味では命がけでやっているのか。
 そのことを、ずいぶん何度も、たぶん何年も、
 矢沢永吉は考えてきたんだろうと思うよ。
 ステージを続けているミック・ジャガーのことだとか、
 表現活動をやめないポール・マッカトニーのことだとかも、
 あれは、どういうことなんだろうと想像してただろう。
 で、結論がわかったんだよ。
 「やりたいから、やってるんだろうね」と。
 「やりたい」んだよ、そういうことをやっていたいんだ。
 他にあれこれ言っても、それはほんとの理由じゃない。
 75歳の矢沢永吉は「やりたいから、やってる」のだ。
 そのことばを聞いていた69歳の矢野顕子が、
 「そうなんだよ。やりたいからやってるんだ」と言う。
 どっちも、これからも「やります!」と。

 で、恒例の年末のNHKホール「さとがえるコンサート」。
 ちっとも恒例の、という感じじゃなかった。
 今年で29回目になったというのに、
 まるで新人のようにフレッシュで、力がみなぎっていた。
 「やりたいからやってる」という強さだった。
 最後の2曲はサプライズでMISIAが登場した。
 「やりたいからやってる」が、さらにパワーアップした。 
 会場の客席の人たちも「来たいから来ている」の興奮だ。
 毎年やっているからじゃなくて、新しいものに触れる思い。 

 どっちの音楽家についても、
 あれだけの曲数、あなたがカラオケで
 歌い続けることできる(そんな喩えは失礼すぎるけど)? 
 腕のいいメンバーとバンドとしての練習をやってきて、
 2時間以上の本番のステージをやってるわけだ。
 で、客席の目と耳とをすべて「こっち」に向かせて、
 しかも(というかそれが本命なんだけど)
 おおぜいの人びとの心を惹きつけっぱなしにする。
 いやぁ、体力も精神力もしっかりつくってこなかったら、
 あんなことは絶対にできない、わかるんだ高齢者としてね。
 ここで、あらためて最初のことばに戻るわけだ。
 「やりたいから、やってるんだろうね」が絶対なんだ。
 それほどやりたいことを、持っていたということも、
 失くしてなかったということも、彼らの才能だった。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
なにが「やりたい」ことなのか、じぶんに訊いてみようよ。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る
ほぼ日の學校
吉本隆明の183講演
ドコノコ
ほぼ日アプリ
生活のたのしみ展
TOBICHI東京
TOBICHI京都