長野聖火リレーでアピール
腰痛と睡眠不足で疲労困憊のうらるんたです。
いろいろあったけどなんとかできて良かった。最後、友人と振り返って思い起こしてたら泣けてきてしまいました。
早朝、「国境なき記者団」に激励されるチベット人たち。ツェリンさんもがっちり握手されてました。チベット人側もちゃんと用意していて、カターを贈ってるのが素敵。
善光寺では、境内に入ったあと、用意してきたお経を読み上げ、ツェーメーユンテンを詠唱しました。私は気づかなかったんですが、最初、警備の人が制止しようとしたのを、善光寺のお坊さんが「これはお経だからいいんです」ととどめて下さり、お経がそのまま続けられたんだそうです。
最初ざわざわしていた周囲の参拝客や見物人や取材のマスコミ関係者らも、お経が進むにつれしんとしてチベット人の声に聞き入り、取り巻いた日本人も自然に合掌し、境内がしいんと静粛になったのがとても印象的でした。
沿道の小競り合いばかりが報じられたなか、少しだけ記事になってました。
約30人の在日チベット人も境内で「ダライ・ラマがつくったチベットに平和が訪れますように」とチベット語で歌った。在日チベット人の男性カルテさん(34)は「多くの人が一緒に祈ってくれ胸がいっぱいだ。これから人権や宗教についてアピールしていきたい」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/
0426/TKY200804260177.html
カルテさんって誰だよ怪しいな(笑)とかありますが(「Kaldenさん」が聞き取れなくてカルテになっちゃったんでしょうね)、ツェーメーユンテンの詞(詩)の訳はここ。
この後あった善光寺での追悼法要(SFT日本とチベット問題を考える長野の会が施主になった)もすばらしかったです(事前申請の報道関係者以外撮影不許可だったので写真はなし)。般若心経のあと読み上げられる犠牲者の名前に、思わずこみあげてくるものがありました。そういえば、チベット人名の一覧をカタカナ表記に直したのはT嬢、中国側報道の犠牲者名簿の読みは私。厳粛な気持ちになりながら、この一端に加わらせていただいたことに感謝したのでした。
法要を終えて外に出ると、目に映ったのはウーシンホンチー(五星紅旗)の真っ赤な大波。うっわ~、これほどとは!
「30人しかいないんだから、できるだけ一緒に行動しよう」と決めたチベット人たちの判断は正しかった。
待ちかまえていた(?)赤い旗の群衆から、「うーしょちゅき!」「うーしょちゅき!」コールを浴びせられて不意打ちにビックリ。移動する列に追いすがり、ホンチー振って嘘つきコールを続ける。もしかして自分たちの政府を批判している?(んなわけないわなぁ)
右画像は「ホントのチベット 知ってますかーぁ!」と詰め寄る中国人。詰め寄ってる相手が誰か知っての行動か(笑)(注・左は牧野聖修元衆院議員)
「ミナさーん ホントのチベット来てくたさいね 鉄道もとおたし 景色きれいよ 誰も苦しんでない 幸せね」
チベット人に、言うか、それを。周囲の日本人から「行ったよ!」「鉄道いらない! 自由ほしい!」と突っ込まれてましたが。
列後方の知り合いは「アルバイト! アルバイト!」とののしられたとのこと。「意味分からん」とぼやいていた。雇用機会均等を訴えて……ではなく(笑)、動員された中国人留学生の間では、集まったチベットサポーター派の日本人は金をもらって長野に来ているんだという風評が出回っていたのかも(そんな金がいったいどこから・笑)。
まぁ、日本人側にも、数千円の安ツアー参加呼びかけを「○千円の日当が出る」と誤読して批判していた人もいたし、双方、相手を悪く想像する時に思いつくことは一緒、つーことか。
左写真、「チベット 知らないくせに!」「ナニも知らないくせに!」と叫びながら追いすがってきた中国人女性。知り合いのチベタンが「アイノウチベット! アイム チベタン!」と叫び返す。
「カミング フロム チベット!?」
知り合い、一瞬詰まる。彼は2世で、ネパール生まれだ。
一拍おいて、彼女が吐き捨てる。
「にしぇモノ!」
ちょっと待て、なんでチベット人の彼がチベットで生まれることができなかったと思ってんだよ! それをニセモノ呼ばわりって、どんだけひどいんだ!?
「Ni是Shenme地方的?」(どこから来たの?)
「我自己来」(自分で来たのよ)
「中国Shenme地方的?」(中国のどこから来たの?)
「我是北大過来的」(北京大学出身よ)
「那応該不錯ba」(すごいじゃない)
「フン」(※ちょっと喜ぶ)
「去過西蔵ma?」(チベット行ったことある?)
「……」
「有蔵族朋友ma?」(チベット人の友達いる?)
聞いたら、目をむいて
「ni他mennei辺派的了!!」(あんた、あっち側なんでしょ!!)
と叫んで駆け去った。
“チベット知らないくせに”はどっちだよ!!
「ウーソつき! ダライラマ、ウーソつき!」
「共産党こそウソつきだ!!」
叫び返す声に振り返った。
早朝、「ええっ、来ちゃったの」と驚く私に、指を1本立てて「ずっと黙って、カメラに映らないようにするから」と薄く笑った知り合いのチベタンだった。
本当は一番言いたいことがあるけど前に出られない、本土を知る在日チベタンのひとり。しばらく姿を見なかった。辛いけど今目立つことはできない、チベット本土にいる人たちに何か起きるといけないから、と言っていたと人づてに聞いた。本人がどんな経験をしたか、なにを見聞きしてきたか、親戚がどんな目に遭ったか、3月以降に知り合いに何が起きたか――そんなことも聞いていた。
だから今朝、顔を見た時は驚いた。どれだけの迷いとか決意とか覚悟をして長野に来ることにしたか、想像すると切なかった。「チベット人、1人でも多い方がいいでしょ」。……そうかもしれないけど。全員来たって100人もいないんだよ、それが20人以上来たってすごいことだよ。でも、中国人の人数からしたら、笑っちゃうような数なんだよ……。
そのチベタンに、なんてことを言うわけ? 誰が「嘘つき」だって?
「共産党こそ嘘つきだ!」というその言葉の、血を吐くような重みを、中国人留学生たちはどれだけ知ってるんだろうか? どれだけ伝わったんだろうか?
泣けてきてしまった。
終点の若里公園。
300人くらいはいたかなあ。チベット国旗こんなに見たことははい、と思うくらい壮観。
実をいうと自分は、「チベット旗持って長野に集合!!」的な不特定多数への無差別呼び掛けにあまり同調できないでいまして。重要なのは訴えたいことがきちんと伝わるかどうかだ、人数の多寡はどうでもいい、数を競ってるんじゃなくて問題は質だ、数を頼んでファッション的にアピールしたい人が入り込んで何かトラブル起きても全部一緒くたに「チベット支援者」ってされちゃうし……などと考えていたものではありましたが。
公園の隅から見ていると、もう在日チベット人は全員が集まり、日本人支援者も知っている顔はもうそろったと思うのに、まだ公園の入り口のほうで雪山獅子旗が揺れているのが見えて、「中国、加油!」に混じって「フリー・チベット!」コールが聞こえてくる。若里公園の芝生広場がいっぱいになって、そろそろ途切れるかな、と思ってもまだ続いてる。
チベット人、嬉しいだろうなあ。
自分たちは30人にも足りなくて、中国人が3000人も5000人もいる中に放り込まれて、「うそつき」とか「ニセモノ」とかひどいこといっぱい言われる中を歩かなきゃいけなくて、それはそのまま人口13億の中国のなかに450万人(国外にあと150万人)しかいないチベットの状況でもあるわけなんだけど、でも、自分たち以外にも雪山獅子旗がはためいているのがたくさん見えて、どこまで歩いてもまだ揺れていて、旗ってパワーあるよね、旗幟鮮明ってよく言ったもんだよ、見えるだけで「あなたの味方です」っていう強烈なメッセージなんだもん。
もう泣けてくるよ。
中国人には本当にひどいこと言われてかわいそうだったけど、よかったなあ、せめて沿道にチベット旗がいっぱいあって、本当によかったなあ、と思ったのでした。
ダラムサラの「チベットNOW@ルンタ」更新。
24日付ダライラマ法王<法友へのアピール>
現在の危機的な状況において、未だに続く残忍な弾圧行為を直ちに阻止し、拘留されているすべてのチベット人を釈放し、怪我人の緊急医療処置を提供するように、中国政府に要請していただくよう、皆さんすべてに心からお願いします。
米ニューヨークで24日出されたコメントの日本語訳です。雨に濡れてほとんど機能不全だった集会、本来ならこういう場所で読み上げて、多くの人に知ってもらいたかった。力不足でごめんなさい。
The comments to this entry are closed.
Comments
初めまして、『米流時評』のysbeeと申します。
今日『日比野庵』の記事でこちらのブログを知り、読ませていただき、こちらまで思わず落涙……
チベットの方々の声を代弁してくださり、頭が下がります。
私も3.14のラサ大弾圧以来、チベットの危機的状況をブログで連載してきました。10日目には思い切ってチベット支援のブロガー有志の情報ポータルサイト『FTB フリーチベットブロガーズ』を立ち上げ、沢山のブロガーさんのご協力で連載を続けてきましたが、2週間目で中国側と思われるネット妨害にあい、サイバーごとクラッシュ。
その後もめげずに、拙ブログで、チベットの状況と虐殺五輪反対に関するエントリーを続けております。
4.26長野以降は、お仲間のブロガー諸氏のデモ参加報告を掲載しています。少しでも多くの一般のブロガーたちに、こうした活動の真実を知ってほしいので、もしご承諾いただけるならばぜひ拙ブログで、うらるんたさんのブログと、このエントリーを紹介させていただきたいのですが。
『米流時評』の方は現在1日3000〜3500の、『FTB』の方も同じ数の読者がいます。30日発売の『撃論ムック』チベット特集号にも、『FTB』に関する私の書いた記事が3ページほど掲載になるので、その後は読者も倍増するものと思います。
いきなりのコメントで、まことに不躾なのですが、こうした「思いの共有」こそが社会を動かす最大の力になると信じておりますので、ぜひ紹介したいと思う次第です。他意はまったくありません。ひたすらチベットの真実を日本の一般の方に広めたい一心です。
どうぞよろしくご検討いただけますよう、お願い申し上げます。
Posted by: 米流時評 ysbee | 2008.04.29 06:03 AM
ご無沙汰しております。
ぎりぎりまで「長野に行って、チベタンの邪魔にならないかな」と悩みつつ、26日に長野へ行ってきました。
すごかったですね、現地。長野駅に降りて、目が眩みました。
若里公園ですごく疲れた様子のうらるんた様をお見かけしました。どうかお身体をご自愛くださいませ。
Posted by: ぽち | 2008.05.01 09:28 PM
はじめまして。
遅まきながら北京オリンピックの関係からフリーチベットの活動を知りました。不勉強ながら情報収集していた時に、こちらのサイトをご紹介くださる方がおられたので、今回記事を拝読し、改めてチベットの方の思いに触れることができた気がしています。
拙ブログにて記事ご紹介させていただきましたので、支障がありましたらお知らせください。
活動を強く支持いたします。
※なおTBをミスして送っておりますので最初の記事を削除願えれば幸いです。お手数をおかけいたします。
Posted by: なるもにあ | 2008.05.02 04:56 PM