いまさらながらiPhone 3Gのボディの秘密に気がつきました
分解大好きお姉さんの万里子さんが、不要になったiPhone 3Gを分解しました。その結果、今更ではありますが、ひとつ発見がありましたので報告します。
上の写真は、3Gのプラスチックボディの内側です。よく見ると通常のプラスチック部品ではあまり見られないツールマーク(縞模様のような溝)が見られます。この溝は、ボディの内側をNC加工(コンピュータコントロールのドリルによる切削)した痕跡です。
ユニボディと言われるMacBook ProやAirは、アルミニウムの固まりから削って内面を作るので、ボディの内側全体がNC加工のツールマークに覆われています。これはiPADも同じです。しかし、プラスチックの部品の場合は、型に始めからかなり複雑な形状を作り込むことができるので、後から加工することは通常行われません。
にもかかわらず3Gのボディの内側は、全体の5分の一ぐらいの面積がツールマークで覆われていました。明らかに、一度、型を使って成形してから、その後にNCマシンにセットして、ドリルで内面の一部を削り込んでいるのです。
何故こんな二度手間をするのか。
答えは、デザインにあります。iPhone 3Gの背面はご存じのようになめらかな曲面で覆われています。多くのデザイナーはその曲面の精度に驚嘆しました。プラスチックは冷えて固まるときにゆがみやすく(専門用語でヒケと言います)、なかなかこうはいかないものだからです。ゆがみを少なくする最も確実な方法は、プラスチックの厚さを一定に作る事です。例えばマイティマウスの内側はつるんとしていて分厚い樹脂が使われています。しかし携帯電話の場合はそうはいきません。薄さ、軽さは最優先事項ですから。
もうお分かりでしょう。アップルは、iPhone 3Gの見事につるんとした背面を作るために、まずはボディを少し厚めに一定の厚さに成形しました。それから、薄くする必要があるところだけをドリルで削って薄くしました。電子機器メーカーの常識では、コスト的にあり得ないような手間をかけることによって、極薄のしかし完璧な曲面のボディシェルを実現していたのです。
美しい形を実現することへのアップルの執念に、いまさらながら脱帽。
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[…] 3 | 月曜日 7月 19 2010 5:50 AM | コメント (0) 山中俊治の「デザインの骨格」 ? いまさらながらiPhone 3Gのボディの秘密に
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「電子機器メーカーの常識では、コスト的にあり得ないような手間」をiPhoneは低コストで実現してしまったことは、更に驚嘆に値しますね。
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ゆがみとヒケは原因が違います。整形後の収縮時に起こりがちなヒケに対しては一定の肉厚で整形する事が重要なのでこうなっているのではないでしょうか?ま、写真からだけではこれが製品を切削したものなのか型のコア側を切削したのかは分かりかねますが。
kitta様
おっしゃる通り、ここで話題にしているのはヒケ対策です。
ヒケという言葉が一般的には馴染みがないので、あえてゆがみという表現を用いましたが、混乱させているようであれば、ヒケに統一することも検討します。
私もコア側の加工ではないのかということは最初に疑いました。
ツールマーク自体が凹の円筒面であることや、ツールマークエリアの形状、ツールマークが成形品が薄くなっている場所に限られていることなどから、樹脂の2次加工であると判断しました。
ご指摘ありがとうございます。
写真では型側(キャビ側ですね)の加工跡か判別できませんが、一般的にはこの厚さの樹脂を機械加工した場合、ツール・ワークのビビリにより品質が安定しづらいと考えられます。(それこそヒケではなく歪みの原因になりますので)
条件を詰めればやってやれないことはないでしょうが、にわかに信じがたいです。
加工跡が凹断面とのことと、スライド構造部分にも跡が残っていないため、後加工しているのかもしれませんが・・・
ちょっと現物見てみたいけど、自分の3GSは分解したくないので続報を楽しみにしてます。
これは型でも第一ロット品と思います。
3G から 4 に乗り換えるを期に 3G 引退。美品状態で保存する為に
予備パーツを先日購入しましたが
届いたパーツにはツール跡はありませんでした。
ツール跡の所は放電加工で梨地状になっております。
だから多分、間に合わないから応急処置して出荷したと思います。
自分、試作屋なので極稀に型の直しが間に合わないから3〜500ヶ単位とかで
加工依頼来ますよ。(結構色んなメーカーがこう言う対応していますよ。)
>にわかに信じがたいです。
私もです。加えてうす肉の樹脂の切削は熱の影響も見過ごせません。変形しやすいんですよねぇ。
確かにボールポイントの切削痕に見えますね。
しかもかなり細い(3mm程度?)を何十往復もさせている。
初期ロットで設計通り部品が入りきらず、型を作り直す時間も無いから
切削の工程を増やして無理やり削ったとか、そんなオチだったり?w
いつも新しいエントリを楽しみにしています。
初めてコメントいたします。
3G、3GSの樹脂キャビは端子やスイッチ穴の周辺に非常にクラックが入りやすいという問題がありましたが、ふつうの成型品ではあまりそんなこと聞かないので、もしやiPhoneも切削しているのではないか?と思っていました。
今回分解・検証していただいて切削の可能性が高いとのことで、やっぱり!と、すっきりしました。
個人的には3Gの裏のりんごマークはどうやって作っているのかが気になります。印刷にしては剥げないし、ものすごく平滑なクロムのロゴがずっと謎でした。インサートの類いでしょうか??
とら。さん
kittaさん
コメントありがとうございます。
1)コアとキャビについて
最初に用語が混乱するといけないので確認です。
問題になっている成形品の内側の型は一般的にはコアと呼ばれる側だと思うのですが違いますでしょうか。この後の議論でもコアとしています。
2)薄肉の樹脂の機械加工について
実際、私もこんな薄肉のプラスチックをどのように支えれば加工が可能なのか、確信が持てないままです。その点から考えれば、コア側の加工である可能性も捨てきれないと思いますし、「にわかには信じがたい」にも同意です。
3)ツールマークの形状について
しかし一方でツールーマークの形状からは成形品の加工ではないかと推察しています。
・加工エリアは、樹脂の厚みがある厚さ以下のところに限られています。
・加工エリアはほとんどが周囲から凹になっています。
・ルーペで見る限りはツールマーク自体も凹になっています。
・型の追加工では、加工痕は型では凹み(成形品で凸)になるのが普通です。
以上のことからこのツールマークはコア側の物ではないと推測しました。
3)デザインのための加工であるか
この追加工の理由がデザインのためであるという結論にも飛躍があるかもしれません。
この成形部品の表面はつや有りに磨き上げてあるため、わずかなヒケでも容易に確認できるはずなのですが、まったく視認できないことに以前から脅威を感じていました。そのことと、今回発見したツールマークを結びつけました。私にとってはわくわくする「発見」でしたが、単に部品が入らなくて、しかも時間が足りなくて樹脂を追加工したという可能性もあります。
4)今後のこと
アップルはデザインのためにこんなこともするという推理があまりに素敵だったので、ここで披露することを踏み切りましたが、あくまでも推理であって、全く見当違いである可能性もあります。
その場合も、このコラムが特に誰かを誹謗中傷しているわけではないので、思い入れてしまった私が恥をかくだけだと割り切っています。
今後も真摯に事実を探求して行きたいと思いますので、何か追加情報がありましたらぜひお知らせ下さい。
ご協力ありがとうございました。
追伸:このコメントを書いている間にもいろいろ情報をいただいてしまいました。もう一度皆さんのコメントを読んで整理したいと思います。
まさに、と言うか、さすがApple。デザインに対する執念を見るおもいですね。
ところで、「必要なところだけドリルで削って薄くしました。」はどうかと思います。
不必要なところだけドリルで削って…もしくは、必要なところだけドリルで削り出して…では?
必要なところを削っちゃいけません。揚げ足取りみたいなこと書いて、すいません。
[…] 山中俊治の「デザインの骨格」 » いまさらながらiPhone 3Gのボディの秘密に… (tags: iphone) […]
[…] Filed under: 携帯電話アップルがiPhone 4のアンテナ問題を解説するページを公開しています。内容はプレスカンファレンス同様、BlackBerry Bold 9700 / HTC Droid Eris / Samsung Omnia IIと比較しつつ「iPhone 4に限らず、スマートフォンはアンテナに触れると電波が減衰するよ」と主張するもの。一連の話の流れを知らなければ(あるいはジ… 山中俊治の「デザインの骨格」 » いまさらながらiPhone 3Gのボディの秘密に… […]
面白い記事&写真を見させていただきました。
元機構設計屋としては大変興味深い記事でした。
ところで…表面削るならドリルでなくてエンドミルじゃないかな?
(一般の人にわかりにくい話で申し訳ありませんが)
>14
私には「薄くする必要があるところだけドリルで削りました。」という意味に読めますが。
「ボディとして必要・不必要な部分」ではなく、「ある部分の、薄くする必要性の有無」ということですよね。
場違いなコメントかもしれませんが、デザインエンジニアリングのスタンスで、iPhone4のアンテナ問題について、見解をいただきたいのですが・・・
giogioさん
666さん
私の意図は666さんがコメントくれた通りなのですが、あまりいい表現ではなさそうなので修正しました。
ありがとうございました。
ravenさん
おっしゃる通りエンドミルです。
このブログ全体に気をつけていることでもあるのですが、一般向けに書いているので、専門用語については、しばしば日常的な言葉に置き換えています。
kittaさんに指摘いただいた「ヒケ」をゆがみと表現したのも同じ意図でした。エンドミルやヒケをここでちゃんと解説しようとするとそれだけで興味を失ってしまう方もおられるかと思い、誰もがイメージできそうな言葉を当てています。
それによって技術的正確さが失われるのは事実ですので、コメントで補足して頂くことはありがたいことです。
コメント欄で専門用語を使って議論をすることは、とても有意義であると考えています。
http://www.ksc-guns.co.jp/index.html
http://kelu-cafe.com/gunmo/int/P230JP/p230jp.html
KSCと言うエアガンメーカーは、プラスティックを後加工(NC切削)して、表面を整えています。
工業製品と言うよりは、工業工芸品と言った感じですね。
アップルも、クオリティを追及してそうしているのかもしれませんね。
表面だけ削るなら、コストも合うのかもしれません。そこに更にサンドブラストまで掛けているとしたら、ちょっと凄すぎですけど。マスク型でもあるのかな…。
>表面だけ削るなら、コストも合うのかもしれません。そこに更にサンドブラストまで掛けているとしたら、ちょっと凄すぎですけど。マスク型でもあるのかな…。
あ、誰もそんな事言ってませんでしたね。ごめんなさい。
プラが薄いと湯が流れないとか、そう言った事もあるみたいなので、切削は有りそうな気がします。特に中国だったら人件費も安いし、ロットも大きいので、その位吸収できるのかもしれませんね。
話はちょっと脱線しますが、赤瀬川源平の提唱したトマソンと言う概念は、工業製品やプログラミングの中にも有るかなと思っています。
実際確認した事は無いので何とも言えませんが、人間の作ったものだからきっと有ると確信しています。
写真では確かにエンドミルでの追加工に見えますね。
初期ロットだけと考えても何万個にもなると、
NCでの追加工はスケールメリットがあまりでないと思います。
このような不具合はテストショットで分かるはずなので、
同じ型が複数あり、そのうち一つに問題があった為ではないでしょうか?つまり初期ロットの一部にエンドミル痕が付いていると予想してみます。
ヒケ回避は平均肉厚にすることや型温度などに依存していると思っていましたが厚みを持たせると良いのですね。勉強になりました。
エンドミルでの追加工とはちょっと話が脱線しますが、iPhone 3Gの樹脂パネル側面の金属ベゼル近傍はアンダーカットになっているはずなのですがパーティングラインが見当たりません。これは全数バフ掛けしていると私は思っています。ですので、樹脂パネル成形後に全てを治具に固定して後加工するという今までの大量生産の常識では考えづらかった設計思想の範疇で、あるロットに限ってパネル内側にエンドミルの加工も施しているのかもしれませんね。。
Nasuさん
エアガンがプラスチックのNC切削で作られるという話は始めて聞きました。
確かに本物のガンの金属の質感を出すのにそれ以上の方法はありませんね
有益な情報をありがとうございます。
通りすがりさん
inuさん
丁寧なコメントをありがとうございます。
NC加工はスケールメリットがないので量産性がないというのは製造業では常識ですが、その常識は既にアップルによって覆されていると私は見ています。
アップルのPowerBookもiPadも内側はほとんどNC加工で作られていますし、iPod Nanoも先代から押し出し成形プラスNC加工で作られています。少なくともアルミについては、NCによる量産が、アップルが自由なデザインを実現させるための基礎技術になっていると見るべきでしょう。
そうした経緯があるので、今回私が推定した肉厚の樹脂プラスNCという製造方法も、既にアップルにおいては限定された応急措置ではなく、普遍的な量産技術として採用されているのではないかと私は考えています。
むしろ、通りすがりさんによって、そうでないロットが存在することを指摘いただいたことに驚いています。是非実物を拝見したいところです。
イシバシさま
コメントをありがとうございます。
3Gのパネルのパーティングラインを全数研磨で消していることは、実はデザイナーの間では既に良く知られていることなのです。
かつてはこれも「信じがたいこと」でしたが、こうした後処理は、例えば深澤さんのデザインしたプラスマイナスゼロの加湿器などが先行しており、アップルもそれを採用しています。
ただ、そうやって最後に仕上げることを前提とすればNCのチャックの問題が解決することには、私も思い至っておりませんでした。チャックのための形状を作っておいて取り去ることもできそうですね。素晴らしい視座をありがとうございました。
また一つ真実に近付いた気がします。「まるっとお見通し」にはまだ遠いですが。
興味深い記事に思わず初めてコメントします。
複雑な樹脂成形をする場合、試作を含む金型の製造コストとランニングコスト、歩留まり率を考慮すると、成形+切削加工にするケースは少なくありません。ただ本稿の様に広い面積を薄く切削するのは見たことがありませんでした。
気になったのはヒケ対策で肉盛りをするか?です。
経験上(浅いですが)収縮する樹脂量が増える為、ヒケは厚肉ほど出やすいです。ヒケソリ対策は樹脂温度分布をなるべく均一にして硬化タイミングを揃えることが、手っ取り早いです。型製造後にヒケ対策をするなら、ランナー〜ゲートの形状と配置を工夫するか、適当なウェルに低温ないし高温の樹脂を追いやる加工が多いです。アンダーカット等との兼ね合いで上流側のキャビを広く(つまり肉厚に)して流速を稼いだり保圧を上げたのかもしれませんが・・・。後のロットでは切削後が無いのだとしたら、金型変更より、内部部品がスリムになったのではとも思います。
ちょっと信じられません。
ツールマーク自体が凹なのは電極を加工したからでは?
tsuishi様
部品を回避するスペースのためだけのものとしては、切削が広範囲過ぎると思います。
写真だけではわかりにくいと存じますが、切削されないままの中央部は内面が平面になっており、スクエアなバッテリーが乗ります。つまり、平面と曲面のギャップを構わず樹脂で埋めてあり、中央は相当肉厚なのです。日本の常識では間違いなくリブを立てるでしょう。
全体としてはこの中央部を残して切削して薄くしようとしていると考える方が自然ではないでしょうか。
米国の樹脂製品は、日本のようにリブを立てず、肉厚のまま成形する傾向が強いので習慣の違いがあるかもしれません。
専門のお立場でのご意見はとてもありがたく受け止めました。ヒケ対策で肉盛りをするか?という指摘は、議論を進める上でとても有用であったと存じます
しかしながら頂いたご説明は、私の仮説の難点を指摘してはいるものの、このような加工がなされた事への合理的な説明になっているようには感じませんでした。
これまでにコメントを寄せて頂いた、樹脂成形の専門家と思われる方々の指摘については、当初、私も同じ思いを抱きました。しかし一方で、そうしたご意見を集約しても合理的な説明に見える解釈には至っておらず、私たちに継承されている技術常識が、アップルの技術の革新性を受け入れられないだけなのではないかという思いが強まっております。
既にライバル企業ではこの部品の分析は終了しているのかもしれません。
今は情報を集めておりますが、お知らせできることがありましたらここで報告させてただきます。
ありがとうございました。
岡田様のご意見が合理的かもしれませんね。
形彫り放電加工の電極をエンドミルで加工していれば
たしかに写真のような形状になりますね。
http://www.rapidrepair.com/guides/iphone-3g-s-repair/iphone-3g-s-images/iphone-3g-s-misc-removal1.jpg
この大きく削られている部分には
アンテナ関係の部品が収まっていたような気がしました。
削ることで少しでも良くなるのかな?
素人考えですみません。
こちらでこの件でこんなに激論が交わされているとは知りませんでした。
完全に機を逃したコメントですみません。
最初のアルミiMacやMacBookAirがフル切削であることはすぐわかりました。ご存知の通り仮にダイキャストだとしたらアルマイト時にシミだらけの雑巾のようになってしまうからです。その後新MacBookProでアップルが動画を公開しフル切削であることを公表しました。
その流れからiPhoneも樹脂でありながらフル切削だろうと思っていたので、インジェクションから切削というここでの情報にむしろ驚きました。
大柄な+-0加湿器と異なり難しい変曲点上にある側面パーティングをバフだけで消しつつきれいな連続性を保つのは逆に難しいのでは?と考えたのも一因です。
アンダーカット無しの状態で大きめに成型後ほぼフル切削フルバフ研磨なら背面ロゴの平滑性も説明がつくかな、と思いました。
しかし、これらの技術的なことよりもなぜコストが合うのかが一番の謎です。
山中さんがおっしゃる「私たちに継承されている技術常識が、アップルの技術の革新性を受け入れられないだけ」と同じように、コスト面においても何かとてつもない逆転の発想があるんじゃないかと思います。
Hitomiさん
書籍化で、この議論にまた火がついてくれると面白いですね。
実は、私もその後いろいろ調査してみましたが、技術的には私の推測でほぼ間違いなさそうです。
確かに、こうした手法が一般化するには、コスト面についての検証が必要ですね。
本もぜひ拝読させていただきたいと思います。
(結局書籍のほうがポータブルだよなぁと個人的には感じています)
求める物がまずあって、常識にとらわれずに製造プロセスを最適化したらこうなった、というのが真相なのでしょうね。
コストに関しては、デザイン、設計、製造技術という個別の革新だけではどうにもならない何かがありそうですね。
調達して作って運んで売るまでの大掛かりな仕組みの最適化。一デザイナーとしては無力感を覚えます。。
私の周囲では、切削や微細穴加工などを量産に使う話をしても「まぁアップルだからね」で終わってしまいます。
少しそれますがやっぱりそうかぁと思わせる記事です。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1102/28/news010.html
Hitomiさん
確かにデザイナーとしては敗北感があります。「良いデザインを提案する」のレベルじゃない、良いデザインを世に出すためのビジネス戦略がある。
しかし本当に恐るべきことは、ジョブズが復帰して、つぶれかかっていた企業から数年でこの体制を作り上げたことです。
ご紹介いただいた記事もこれだけ見ると巨大な売り上げに支えられた力任せのシステムのように見えますが、初代iPhoneが作られたのは2007年(たったの4年前)で、その頃はまだiPodだけがまぐれ当たりした企業として、みんな高をくくっていたわけですからね。
我々にだってやれない理由はないと信じたいです。
うーん。
この写真をもっと拡大してみたいのですが。
もし製品をボールエンドミルで加工したとしたら、写真の右上のボスの下側の段差の部分に、縦にボールエンドミルの軌跡が残るのが自然なカッターパスだと思うのですが。
やっぱりこれは後加工では無いように思うのです。
もっと大きな写真、ありませんか。
プラスチックの金型の専門家として、非常に興味があります、この話題。
Toshi@タイ様
書き込みありがとうございます。
失礼を承知で率直に申し上げますが、何人かの「金型の専門家」とおっしゃる方が、「実物を見ていないのですが」とおっしゃるのが全く不思議です。数千万台も売れた端末です。本気で手に入れようとすればいくらでも方法はあります。
ご専門でいらっしゃるならなおのこと、ぜひ実物をご覧ください。