幻のMac OS

Mac & iPhone,Works — yam @ 6月 14, 2009 11:58 am

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もう15年ほど前になります。私たちはアップルの本拠、クパチーノでインタフェース開発グループの人たちを前にプレゼンテーションを行っていました。その時に提案したのがこのDrawingBoardというMac OSのインターフェースデザインです。

提案メンバーは私と、猪股裕一さん、戸田ツトムさん、宮崎光弘さん、須永剛司さんの5人。プレゼンは大成功で、直ちに開発がスタート。

ご覧のように、あらゆるパーツが手書き風のOSインターフェースを提案したので、実装はとても手間のかかる作業でした。すべてのパーツをデザインするのにほぼ丸1年。一応私がプロジェクトのディレクターを務め、コンセプト段階では猪股さんや須永さんに協力いただき、ディティールに戸田さんと宮崎さんの手が入っています。

アップル・コンピュータ本社との仕事はとても楽しいものでした。彼らのインターフェースデザインに対する情熱と誇りや、しっかりとした設計思想に基づく開発プロセスに触れられたことが、なによりも収穫だったと思います。

2年後の1997年のMacWorld EXPOでは、CEOに返り咲いたばかりのスティーブジョブス自身が壇上で公開。ジョブス本人がこのデザインをとても気に入っているという話も伝わってきました。

ここまでは大変順調だったのですが、その後紆余曲折があって、正式採用は中止。

私たちはとても残念に思ったのですが、そう思った人がアップルの内部にもいたのでしょうか。私たちも見たことのなかった完成版のソースがネット上に流出し、瞬く間に広まって、世界中のマニアックな人たちがこれを使っているという不思議な状況が生まれました。一応ちゃんと動いてたみたい。

その後、Win用スキンやClassic環境への移植バージョンも出回ったらしいので、もしかしたらここを見ている人の中にも、使ったことある人がいるかもしれませんね。

「骨」展の舞台裏もだいぶ落ち着いてきたので、これからは、いろいろな話題を入れていきたいと思います。

10 Comments »

  1. こんにちは!

    おもわずコメントしました!
    使っていました!!!DrowingBord!!!!
    懐かし過ぎ!

    てっきり外国の方の作品かと思っていました。
    正式採用目前までいってらっしゃったのですね。。。
    相当なご苦労もおありだったようで、お察し致します。

    今後のご活躍も期待いたします!

    つつじ

    コメント by つつじ — 6月 15, 2009 @ 12:44 pm
  2. つつじさん、こんにちは。

    アップルには非常に精密なインターフェースのガイドラインがあり、それにそって作るのが大変でした。
    非公式に出回っていた物は、表示の一部が崩れたり、描画がおかしかったり、音も別なテーマの流用だったり、不完全なものだったようです。

    愛用してくれた人々に、カンペキ版を使っていただけなかったことが心残りです。

    コメント by yam — 6月 16, 2009 @ 12:56 am
  3. […] 山中俊治の「デザインの骨格」 » 幻のMac OS こんなことがあったのか! […]

    ピンバック by snabel » 2009年06月16日のブックマーク — 6月 16, 2009 @ 6:06 pm
  4. 旧 Mac OSの幻のテーマ「DrawingBoard」…

    旧 Mac OS(漢字Talk)の外観カスタマイズといえば Kaleidoscopeが有名ですが、標準で「テーマ」という外観をカスタマイズする機能がありました。

    漢字Talk8.5のテーマは「プラチナ」と呼…

    トラックバック by Blog!NOBON — 8月 3, 2009 @ 11:49 pm
  5. […] First Tweet Jun 13, 2009 xxxxmakoto Haramakoto 唐突に須永さんの名前が http://lleedd.main.jp/blog/2009/06/14/drawingboard/ view retweet […]

  6. […] Drawing Boardのその後については、様々な方のブログで情報を得ることができました。 […]

  7. こんにちは!

    DrawingBoard、初めて知りました。一風変わったスタイルで、とても惹かれるものがあります。
    多くの方が聞かれると思いますが、なぜこのような手書き風のものにしたのでしょうか?

    Appleの製品はハード、ソフト、ともにデザインに一貫性があって使いやすく美しいです。

    アップルには非常に精密なインターフェースのガイドラインがあり、それにそって作るのが大変でした。

    との事でしたが、最近、スタイルが統一されていないように感じます。たとえば、ウィンドウはメタル調なのに、スクロールバーはアクアです。
    良く言われている事ですが、山中さんはどう考えていますか?

    質問ばかりですいません。

    まきの

    コメント by まきの — 7月 25, 2011 @ 7:26 pm
  8. うわ~。使っていました~。

    コメント by 河西 — 1月 29, 2012 @ 11:57 am
  9. […] もちろん、グラフィックデザインに関わる人であれば言うまでもなく。DTPの黎明期にいち早く取り組み表現の可能性を広げた実績と、山中俊治さんらと取り組んでおられた幻のMacのUIデザインの話(山中さんの「幻のMacOS」に掲載)などは、ペーパーレスのデザインの孕む危険性を再考させられます。 […]

    ピンバック by 陰影論 — 6月 16, 2012 @ 11:53 pm
  10. […] 「山中俊治の「デザインの骨格」 » 幻のMac OS」、例のあれ(仮題)さん経由。 […]

    ピンバック by おーDrawingBoardだ — 1月 17, 2021 @ 8:50 am

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