校正的な意味でヤバい本の名前を調べてみた

蛸巻日誌 2nd 同僚が買った本がヤバい(校正的な意味で)
なんか校正してないだろ的な意味でひどい本があったということで、昔一般人の目線を入れ忘れたエロ本を出したことのある編集部にいた俺*1は興味深く読んでたんだけど、

この本がノーチェックで世に出た経緯がとても知りたく、また何度も出版社や奥付に名のある所に凸ろうかとも考えましたが同業者としての情もあり書名を晒すのは止めました(画像点数が多いのでヒントはたっぷりですが)

と書いてあるので自分で調べてみた。


まず、この本は去年もしくは一昨年くらいに出た本だということが推測できる。
理由は記事中程の「▲図の歪みが酷い(写真も曲がってるので判りづらいですが)」の部分にある画像。
そこに「平成24年度・農事気象予測と作物生育予測」という図表が掲載されている。
ということは「去年の予測を今年発行の書籍に掲載する可能性は低い」ということで今年発行されたものではなく、「予測を出せるくらいの期間に発行された書籍である」ということで去年の前半、もしくは一昨年の後半に出版された書籍であろうと推測できる。
次にこの書籍は雑誌である。
なぜなら同じ書籍に敬体と常体が混在しているから。
たとえ共著だとしてもそんなおかしな体裁で本は作らないだろう。
ならば複数のコーナーがある雑誌の可能性が高いのではないか。
こんな校正抜けしまくりの本だから混在しててもおかしくはないだろうとも思ったが、ブログの最初に「もう捨てるために束ねた」という記述がある。
束ねるほどの書籍が偶然集まるという可能性ももちろんあるが、普通に考えたら束ねて捨てるのなら雑誌であろう。
ということでこの書籍は「2011後半〜2012年前半に発行された雑誌である」という可能性が非常に高まった。
ここから農業雑誌を片っ端から調べてもいいんだが、そんなのは面倒くさいのでここからはGoogle検索ですよ。


まず、農園や種苗店の名前で検索してブログを探した。
そのブログに「○○の取材を受けました」とか「××に掲載されました」と書いてあれば一気に答えにたどり着けると考えたから。
結果から言うと失敗。
ブログはあるにはあったんだけど、その手の話は何も書いてなかった。


次。
取材されたであろう人を探そう。
これはすぐにわかる。「さん付けで書かれている人」だ。
ということで上から「大枝さん」「片山悦郎さん」「竹内さん」が取材された人だろうと推測。
この中でも「なぜ取材されたのか」がわかりやすい「竹内さん」を突き止めることにした。
キーワードは「コンパニオンプランツ」という農業をしない人間には耳慣れない単語。
ということで「コンパニオンプランツ 竹内さん」で検索。すると検索結果にこんなブログが。
無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、自給自足。〜カンタン持続可能な家庭菜園のコツ〜
おお、竹内さんだ、農業だ。
ということでブログ内を「取材」で検索。
するといくつかの書籍の名前を見つけることができた。
一番上の書籍には

ただ、原稿を拝見していなかったので、2つ訂正箇所が、、、

とあり、これじゃねえの? と思って調べてみたけどどうも違うっぽい。
出版社のサイトの目次を見てもどうも内容が食い違っている。
ということでこれではない。


で下の方をザーッと見ていくと「取材協力させていただいた」ムック本の名前が出ている。
公式サイトを見てみるとムックの内容が。
そこには

自然界のリズムが野菜を育てる 片山悦郎

あっ!
そしてこれ。

福岡正信の思想・山楽耕

最初に名前が出た大枝さんと会話しているのが何を隠そう「福岡氏」なのだ。
ムックの内容も校正抜けの画像と照らしあわせても違和感がない。
じゃあこれで決まりか?
いやまて、これでもし違っていたら俺がフルボッコにされた挙句出版社に訴えられる可能性すらある。
ということで確実な証拠、中身の画像を探すことにした。
そこで引っかかったのがこのブログ。
いつでも、どこでもパーマカルチャー:自然農法で野菜づくり
上から4つ目の画像「固定種・伝統種カタログ」をよく見てほしい
そして元のブログの「つる新種苗」の部分の画像と見比べてほしい。
完全に一致している。
よく見ると「サッポロノウエン」も掲載されており、これでほぼ間違いないことが確認できた。
更には「平成24年度・農事気象予測と作物生育予測」の図表もあり、その下に「新月の時」「満月の時」という文字が見えることからも2つの書籍は一致すると断言するに至ったわけであります。


ということでこの校正抜けだらけの本は学研パブリッシング野菜だより編集部発行2012年9月3日発売の「自然農法で野菜づくり」というムック本だということが判明しました。
書名出していいのかわからないのでどうやって探したかの話だけ書こうと思ってたんだけど、出していいよと言われたので書名も出しました。ごめんね学研!
デカい出版社でもこんなことやらかしちゃうんですなあ。
探し方としては出版日が少し外れてたのでそこだけが反省点かな。
まあ気にするレベルの話じゃないけど。


でも正直、アフェリコード付きでリンク貼ったら物好きな人や校正練習用のテキストとして買う人がいるのではという邪心はあります。

ということで貼ってみよう。

つか中身検索で見れる部分に校正抜けが見つからないのは運がいいのか最初は頑張ったのかどっちなんですかね。

*1:ただしその本が発行されたのは俺が入る前