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晩夏の海月
あの海もわたしの海ではない。海はただ、海なのだ。
2024振り返り!
おひさしぶりです! すっかり更新をさぼっておりました。。
伴です。皆さまお元気でいらっしゃいましたか?

「創作TALK」さんの企画参加記事で、2024年の振り返りです。
今年もそんな多くは書いておりませんが……。
よろしければお付き合いくださいませ。



1月
ロゼット文庫で文学フリマ京都に参加しました。
文庫でのイベント現地参加は初めてです!
kyoto.jpg
お会いしたかった方々にたくさんお会いでき、お買物もして楽しいひとときを過ごしました。
※わたしは滅多にイベントに出て行かないので、文フリを壮大なオフ会会場だと思っている節があり……(スミマセン)
「文芸同人誌ロゼット」はじめ、持って行った本も当社比めっちゃ! 沢山お手に取っていただき、
「カクヨム読んでます」などお声掛けくださった方もいらっしゃり……とっても嬉しかったです。
所属サークルの「つばめ綺譚社」の方の本も委託という形で取り扱いさせてもらい、充実のラインナップだったと思います。

3月
つばめ綺譚社は「岐阜駅 本の市」に出展しました。
代表が出向いてくださいました(いつもありがとう!)
駅構内という立地でにぎやかなイベントだったようです!

ロゼット文庫では、委託イベント「そこ文」さんこと、第10回「そこの路地入ったとこ文庫」に参加。
以前にも参加したことがある大好きなイベントで、またお願いしたいなと思っていたので嬉しい。
『闇夜の月虹』『忘却と風』の2冊を預かっていただきました。

10月
つばめ綺譚社は「文学イベント東京Vol.3」に出展しました。代官山で行われたイベントです。
こちらも代表が手配してくださいました(重ね重ねありがとう!)

11月
「文芸同人誌ロゼット」第3号刊行。
わたし、諸事情で(後述)初めて「原稿落とすのでは?!」と思いました……
印刷後に誤字が発覚して人生初の修正シールを作成するという事件もありましたが、なんとか間に合いました(;▽;)
「ぬりかべの行く道」というごく短い小説を寄せています。
今回も同人の皆さまのおかげで素敵な本が出来上がりました!
ロゼット03
表紙写真は今回も茜音沙耶さんが撮ってくださいました。特典カードも付いております♪
架空ストアさんで頒布中です。

12月
文学フリマ東京で、参加させていただいたアンソロジー『ミステリ競作七番勝負! AI 対 人間』
(主宰:手打ちそば四畳庵 ソルト佐藤さま、こたつや 君野新汰さま)が刊行されました。
mystery_anthology
ミステリーを読むのは好きな方ですが、詳しいわけでもなく、まして自分が書けるなど思ってもいませんでした!
が、ありがたいことに君野さんにお誘いいただき、初めてのチャレンジをすることができました。
「日影の薔薇」という、わたしの個人的憧れの1980年代前半を舞台にしたヒューマン・ドラマ×ミステリを試みました。
アンソロの企画自体も、同じログラインからAIが小説を書いてくれるというチャレンジングで面白い企画もので
とても貴重な機会をいただいたなとしみじみ感じております。
こちらは主宰さまのBOOTHで頒布中です。



Web掲載の新作は、今年は2本のみ。
藤のみなと
四時ばばあのいないトイレ

「四時ばばあ~」の方は、3月~6月に開催された「イロカワ文学賞」(主宰:にゃんしー様)への応募作品です。
受賞には至りませんでしたが、ずっと温めていたアイディアを形にすることができました。
応募するだけでなく、他の方の応募作品を読んで投票するという形のコンテストで
とても楽しく参加させていただきました。



今後の予定も少なめなのですが、年明け1月の文フリ京都で「ふぉとばしょ」の茜音沙耶さん、つばめ綺譚社の紺堂 カヤさんとコラボした
写真と小説のコラボ本『Inspiration Cross』が刊行される予定です!
InspirationCross_表紙
沙耶さんのブースで頒布されるので、京都行かれる方ぜひお手に取ってご覧いただけたら嬉しいです。
わたしは「ともしびラーメン」「だいじょうぶの池」という2本の掌編を書き下ろしました。



オプションテーマ「創作環境」について。
基本的にず~っと変わりません! 家でパソコンでWordです。
学生時代は通学時間に携帯に打ち込む、大学のコンピューター室で書くなどのバリエーションがありましたが、働き始めてからはほとんどおうちで作業です。
実家の居間で家族と会話しながら書いていて「わいわいしながら書けるの?!」とビックリされたこともあり、それは全然大丈夫なんですが(義実家はちょっと無理)、「カフェで執筆」とかはほぼしないです(わたしは書けるかどうかがめちゃくちゃ日によるので、書けそうなテンションの時に出向けばカフェでも行けるかも)。
組版も表紙もぜんぶWordです。ときどき「インデザインというものがあるそうやで」「フォトショはどうかいな」等という心の声が聞こえるのですが、
将来的に一緒に作業してくれる人とかに迷惑かけないうちは入れないと思います……(もうかけてたらごめん)



さて、私事ですが順調にいけば2月に出産予定で、しばらく同人活動からは遠ざかりそうな気がします。
ロゼットの原稿落としそうになったのも、夏の記憶がスッポリ抜け落ちている(?!)のも、すべてつわりのせい(;ω;)!
が、小説はやめずに続けていくつもりなので、何年か後にでもまたお目にかかれましたら幸いです。
……今のところ育児の合間に何か書ける気がしないのでこう言ってますが、奇跡的に何か書けたらWebなどでお披露目したいです。

つばめ綺譚社の方は代表はじめつばめんばーが引き続き活動してくれている予定なので、イベントやそぞろ書房さんなどで。
ロゼット文庫の方は一人サークルなのでほぼお休みの予定ですが、通販は架空ストアさんで。
細々と世に出したまま(?)で行きたいと思っておりますので、どこかで見かけた際にはよろしくお願いします。^^*

今年も、イベントやインターネットなどでお話してくださった各位、
本をご覧いただいたりお買い上げいただいた方、本当にありがとうございました!
近年はツイッターが解体されてしまうかたちで、これまでタイムラインでお会いしていた方がいつの間にか居なくなったりしていて寂しいですが。。
わたしはX、ブルースカイ、tumblrすべて伴美砂都(もしくはロゼット文庫)で存在してますので、見かけたら声かけていただけると嬉しいです。
(mixi2はまだやってません。mixiのアカウントもう不明なんだけど、なくても入れるの……?)

それでは、皆さまよいお年をお迎えください!
そして、今後ともよろしくお願いいたします。

テーマ:活動報告やら色々 - ジャンル:小説・文学

[2024/12/29 11:45] | 自分の小説の話 | コメント(0) |
小説:藤のみなと
 ドライブに行きませんかと誘ったのは俺のほうだった。お久しぶりっす。帰省してるって聞きました、ヤマさんから。ラインが立て続けに既読になってから、我に返ってスマホを放り投げて頭を抱えた。
 ヤマさんは、果枝さんと同い年の先輩だ。俺たちがバイトしてた大型書店で卒業してからもずっとバイトしていると思ったらいつの間にか社員になり、いまも働いている。たまに連絡は取っているが、果枝さんのことを聞いたというのは嘘だ。果枝さんのブログ、あのころはそういうのがまだギリ流行っていて、飲み会で酔ってこっそり教えてくれたアドレスにいまもアクセスしていることを、たぶん知られたらだいぶ引かれると思った。実際何年も連絡を取ってなかったただの後輩から突然ラインが来るだけでも、まあまあドン引きだろうけど。でも果枝さんは返事をくれた。
 
〈来週の水曜以外なら空いてます〉

 果枝さんのメッセージはずっと簡潔だ。ロック画面に浮かんだ文面を見て、俺はもう一度スマホを放り投げた。


 友達が働いている怪しげな中古車屋で買ったボコボコの軽で国道沿いのマックの駐車場に滑り込むと、所在なげに佇んでいた果枝さんはすぐこちらに気づいて小さく手を振った。

「ふつうの靴で来ちゃったけど大丈夫かな」

 大丈夫っす俺ビニサンなんで、と即答すると、助手席の果枝さんは黙ったまま笑った。晴れて、五月の陽ざしはもう夏のようだ。
 国道を左に折れて、南のほうへ走って行く。仏壇屋、民家、閉まっている小さな書店、商工会議所、インドカレー屋。小さなまちだなと思う。
 昔からずっとある小さな内科医院の看板を右に見てカーブをぐっと曲がると、まだ海は見えないのに景色が一気に海辺になる。もともとふるい家も多いのかもしれない、潮と浜風に晒された壁が赤らんでいる。いつしか道は分かれ、頭上に隣町の名前が表示され、一車線になる。
 何台かまえにゆっくり行く車がいるのだろう、速度を落とした車が連なる。じいちゃんの乗るような軽トラかもしれない。結構混んでるすね、と言うと、隣がふっと緊張した。

「あ、えっと、……犬すかね?」
「犬?」
「荷台に」
「……?」
「あ、昼飯ラーメンの予定なんですけど大丈夫すか」
「うん、」
「、 」
「……」
「……」

 指先が迷ってカーステのスイッチを押す。Bluetoothなんて洒落たものは付いてないわけでもないかもしれないが使わない、いや、たぶん壊れてる。そんなことも面白おかしく話せばいいのに、何をどれだけ知っているような顔をしていればいいのか、知らない顔をしなければならないのか、わからなくなった。
 中古ショップで買った洋楽のCDを入れていたはずだったのに、流れ出したのはなんとアリスの「チャンピオン」だ。なんてこった、このまえ親父にこの車を貸したせいだ、親父世代にしてもちょっと古い気はするが。吹きかけた口笛は霧消した。仕方ないので熱唱したら、果枝さんは今度はふっと声を出して笑ってくれた。

「この歌すきだよ」
「え、世代すか」
「そんなトシじゃないよ」
「冗談す」
「これでただの男に戻れるってところ」
「が好き?」
「うん」

 道沿いの民家に入って行った軽トラの荷台には枯草がたくさん積まれていたが、犬は乗ってなかった。車の流れはスムーズになり、でも、そんなに速度は変わらない。なんとなく、果枝さんはあんまり飛ばしたら嫌がるかなと思った。

 ラーメン屋は結構地元では人気の店みたいだが、平日の昼すぎで、すぐに入れた。窓辺の四人掛けの席に、はすむかいに座る。田舎の海辺によく生えている椰子の木の偽物みたいな木が、駐車場の片隅に一本だけボンと生えている。どこかから連れて来られただろうか。ラーメンはちょっと太麺の、普通のみそラーメンだ。ふと見ると果枝さんは箸を持ったまま手を止めて、どこかぼんやりとした目をしていた。

「濃すぎたすか」
「ううん、美味しい、……んだけど、ちょっと、だけ、苦しくなっちゃった」
「食いましょうか」
「、食べかけだよ?」
「全然いいすよ」

Fuji01

 若いね、と言って果枝さんはこちらに丼を差し出し、その手をそのままに、ごめんね、と言った。

「若さとかじゃないよね、こういうのは」
「いや、まだまだ若いつもりっす」
「そう」

 果枝さんだって、と喉もとまで出かかって言わなかった。だって俺たちは、たった数年しかちがわない。でも、大人だった。果枝さんは、ずっと大人だった。俺が高校生でバイトに入ったとき、院生になったばかりだった彼女。化粧気がなくて黒髪で、背が低くて制服のエプロンがでかく見えた。新卒の社員に年下に見られたといって複雑そうな顔をしていた。女子のバイトでひとりだけ飄々とラストの深夜零時まで入って、小さいバイクで帰って行った。いつもジーンズにTシャツで眠そうで、誰よりも仕事ができた。誰の悪口も言わず、口数は少ないけど、いつも飲み会には来てくれた。皆の輪の端で、ちょっとだけ居心地悪そうにして、あとは楽しそうに笑っていた。
 果枝さんは大人で、でも、それでも、こんなに寂しそうな大人では、なかったような気がするのに。ラーメンは余裕だった。ただ、やたら喉が渇いた。


 ラーメン屋を出て、またしばらく走る。古びた民家の外壁に、よく見る黒地に白と黄色の文字の、謎の看板がくっついている。「人の道も行いも 神は見ている」。空がふっと一瞬曇って、また晴れた。暑くなった気がして窓を開けると、潮の匂いがした。
 海が見えた。

Fuji02

 ゆったりとしたカーブを進むと助手席側にきらきらと水面が揺れる。波は高くない。何か養殖でもしているのか点々と浮かぶブイに、うまいこと一個につき一羽の海鳥が休んでいる。海を見るふりをして果枝さんのほうを伺うと、彼女も少し窓を開けて、海風に髪をもて遊ばれるがままに外を見ていた。車通りは少ない。人も歩いてないが、すぐ視線は前に戻した。

 半島の突端まで行くと港がある。漁港というよりは、ここから発って隣県や小さな島へ行く、観光用の高速船やカーフェリーなどが多く行き来する港。チケット売り場や食堂なんかが入っている建物の、色褪せた青色の壁に、フェリーのりば、の文字だけ塗り直されたのか色鮮やかだ。シーズンオフというほど時期はずれではないが、駐車場は空いていて、一日五百円。フェリーに乗らなくても停められる。車を降りると、低い汽笛が聴こえた。
 観光客を当て込んでか、向こうに屋台が幾つか並んでいる。いか鉄板焼き、あさり焼き。香ばしい匂いが流れてくる。じいちゃんとばあちゃんたちのグループが、楽しそうに木のテーブルを囲んでいる。看板と見まがうような位置に、四方にぐんと腕を伸ばされたタコが張りつけになって天日に干されている。

Fuji03

「晴れてるね」
「そうすね」

 果枝さんの白い頬が、もう少し日焼けしたような色をしていた。申し訳ないような気もしたが、思い込みでなければさっきまでより少しだけ、彼女の表情も晴れ晴れとしたように見えて、俺ははしゃいでちょっと踊りながら走った。近所の人だろう、犬連れで話し込んでいたおばちゃん二人は話し込んだまま、犬だけが不思議そうにこちらを見た。フェリー乗り場は駐車場を除けば柵も何もなくフラットで、どこからでも普通に入ったり出たりできるのだ。駐車場もフェンスに囲まれているわけでもなくブロックが敷かれているだけだから、頑張れば乗り越えて侵入できるかもしれない。しないけど。

 しばらく海を眺めた。堤防に猫がいて、近づいても逃げない。魚をもらったりしてるんだろうか。鳴きもせず、ふてぶてしそうな顔で座っている。白と、少し薄くなったような黒色のぶちの、ざらざらとした毛並みの猫だ。海風に晒されると、猫の毛も硬くなるんだろうか。老いているようにも、頑丈なようにも見えた。

Fuji04

「果枝さん」
「え、うん」

 あ、間違ったかなと一瞬思った。そういうふうにあのころも呼んでいたのだったか、俺が、脳内で呼んでいただけか。しかし彼女は一瞬だけ、びっくりしたような顔をしただけで、海からこちらへ視線を移して少し待ってくれた。

「山、ちょっと登ってもいいっすか」
「山?」

Fuji05
 
 駐車場の脇、張りつけのタコを横目で見ながら敷地を出て少し行くと、坂道を登って行ける階段がある。山、というまでもない、小高い丘、という感じで、でもけっこう傾斜はある。ウォーキングコース、という色褪せた看板が日陰に、どちらを向くともなく立っている。木漏れ日が落ちている。

 ここ登るの、と言った彼女は、たぶんだけどほんの少し、怯んだような顔をしていた。たしかに、それはそうだ。果枝さんの足もとは柔らかそうな白いローファーで、膝丈の花柄のスカートも、たぶんウォーキングにも向かない。サンダルの俺に言えたことでもないけど、でも、たぶん、ボロボロのビニサンよりもっと、ずっと向かないだろう。

「すみません、やっぱり、」

 やめときましょう、と俺が言いかけたのを遮るようにして、わかった、のぼる、と顔を上げた果枝さんは、キリッとして、少し覚悟を決めたような顔をしていた。

「俺、うしろ行きますから」
「……落ちないように?」
「そうです」
「……、やさしいんだな、マキくんは」

 そう言って彼女は笑った。きれいで、儚くて、寂しい笑み。


 ごつごつした石を積み重ねただけの無骨な階段を、果枝さんはゆっくり登って行く。からっとしているが暑くて、首筋と背中を汗が流れる。時折、風が吹く。黙って歩く。現場仕事で肉体労働しまくっているはずなのに、意外なほど息が切れる。俺は、緊張しているのかもしれない。
 果枝さんも、少し息を切らしながら足を運んでいく。白いローファーは結構傷んで汚れていて、これは、きっと、階段のせいではないけど、見ていると申し訳なくて泣きそうになってきた。スカートから伸びる果枝さんの脚のほうが、人形のように、ずっと白い。浅い息の中で、果枝さん、と心の中で呼んだ。当然だが、彼女は振り返らない。果枝さん、昔がよかったなんて言えないけど、果枝さんは、こんなふうじゃなかったです。こんなに悲しそうで、疲れて、何もかも怖がって、がりがりに痩せてしまって。わざとらしいぐらい暗すぎず明るすぎない茶色の髪も、ぼんやりした色のサマーニットもスカートも、ピンク色の薄化粧も、果枝さんらしくない。あのころみたいに、染めないさらさらの黒髪をガッと結んで、ラフな格好で、「大型二輪の免許取りたい」と言って笑っていた、果枝さん。
 果枝さん、ごめんなさい。俺は、果枝さんのことを、一度も好きだと言えなかった。でも、どうしても諦められなくて、あなたのブログだけずっと見ていました。だから、知ってしまっていました。大学院を卒業して、研究職に就いて、でも、うまくいかなくて体調を崩してしまったこと。同僚だった男と結婚して、何年かして、「頑張ったけどうまくいかなくて」、離婚して地元に戻ってきたこと。
 果枝さん、あなたをそんなにボロボロになるまで頑張らせた男は、もういないです。あなたをそんなにつまらなくて寂しそうな人にしてしまった奴は、もう近くにはいない。ちょっと渋滞するだけで不機嫌になってあなたを怯えさせる人は、服装も、髪色も、化粧も、こうでなければならないと、言う人はもういない。もう頑張らなくていい。もう自由になっていい。もう、いつだって元気になって、大型二輪の免許だって、取りに行けるのに。果枝さん、俺だったら、ぜったいにそんな思いはさせない。俺だったら、もし、俺だったら……。でも、それでも、果枝さんが、一度は愛した人だ。俺は自分のことがあさましくて、情けなくて、Tシャツの裾を引っ張って、額に滲んだ汗と一緒に涙を拭った。

「んあ゛」

 果枝さんが立ち止まっていたのに気づかずに、危うくぶつかるところだった。一度、深夜に二人でバイトに入っていて、暇で、レジに並んで立っていたとき、マキくんって結構でかいよね、とふいに言われたことを思い出した。果枝さんの頭は俺の胸もとまでぐらいしかない。なんて返したかは、忘れてしまった。挙動不審だったかもしれない。
 吹っ飛ばしてしまいそうで怖いと思った、が、果枝さんはしっかり立って、上気した頬で、そこに現れた景色を見つめていた。もう、頂上に来ていた。

Fuji06

 そこは少し開けていて、晴天に輝く海が水平線まで見渡せる。海水は思ったよりずっと澄んでいて、海に突き出す岩々の裾のほうまではっきりと見える。そして、その風景を縁取るように、新緑の緑と、紫色の花が咲き誇っていた。野生の藤の花だ。
 この場所を見つけたのは去年の今ごろだ。ひとりで来た。それからずっと、俺はここに、果枝さんを連れて来たかった。

「すごい」
「……」
「すごいね」
「……、はい」
「きれい」
「……」

 果枝さんの目に空と海がうつってきらきらと光った。そして、彼女の目線は確かに、茂り咲き誇る藤のほうも見た。嬉しくて、せつなくて、汗を拭うふりをして何度も涙を拭った。
 藤はつる植物だ。近くの樹木に巻き付いて、太陽をめざして上に伸びて行く。巻き付かれたほうの木を枯らしてしまうことがあるので、林業を営む人にとっては邪魔な植物なのだそうだ。この小さな山は、たぶんそういう、なにかに役立てるための木は植わっていない、だれかがいつか植えたのかもしれないけど、半分野生みたいな木ばかりだ。だから藤も、そして、見分けはつかないけど藤が巻き付いている本体の木も、そこそこに伸びている。どの葉っぱが何の木なのか俺には正直よくわからないし、この花々を見ればもしかしたら藤のほうが、少し優勢なのかもしれないけど。

「藤って、わたし、小学校の藤棚でしか見たことない」
「俺もっす」
「でも、知ってたんでしょ、ここのこと」
「はい、でも、たまたまです」
「泣いてるの」
「、すみません」
「どうして」
「綺麗で」
「……、そっか」
「はい」
「ありがとう」
「、」
「ありがとう、マキくん、わたし、今日、来てよかった」

 見晴るかす、海は穏やかだ。しかし小さな波はいつも立ち、止まってしまうことはない。ぼー、ぼー、と汽笛が鳴った。白い船体が遠くをゆっくり行く。どこかへ旅に出るのだろう、いや、帰って来たのかもしれない。さらさらと初夏の風が、藤の花たちを揺らした。


〈了〉

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

[2024/05/03 21:34] | 小説 | コメント(0) |
わたしのこと:「この体調不良に原因はない。あるのは結果だけだ。」
この記事はいつも以上に本当に個人的な話です。
まだ完結編……過去形ではないのですが、きっかけがあったので書き残しておきます。


ここ数年、原因不明の体調不良に悩んでいました。
今もまだ続いていますが、「メッチャ悩んでる」という状況からは脱却してきた感じです。

主な症状でいちばん困っているのは吐き気。次いで、喉の不調や違和感、不安、動悸など。
腹痛、下痢もしばしばあるのですが、まあこれに関しては子どものころから「おなかよわい民」として生きてるのでいったん置いておきます。

はじまりは何だったかというと、たぶん、2012年に新卒で勤めた会社を辞めたときだと思います。
詳細はもう何度も話したので省きますが、過呼吸という現象もここで初めて体験し、それから何度か起きることになります。(これは頻発するわけではない)

そこから引っ越しをし、転職し、結婚し、となんだかライフイベント的なものが重なり、それに伴って少しずつ体調が悪くなってきた気がします。
ただ、このころはまだそんなに酷くなかった気もする。あんまり覚えてないです。
思えば「吐き気がひどい」とSNSで呟いていた記憶はある。2014年~16年ごろ?
胃カメラ、腸カメラを初めて受けに行ったのもこのころだと思います。結果はまったく異常なし。
ずっと具合悪いわけではなくて、「概ね元気だけどたまに思い出したように気持ち悪い」みたいな感じだったと思います。

いちばん酷かったのは2020~2021年ごろで、ともかく朝、吐いて……というか、えずいてしまって家を出られない。
車通勤だったのでなんとか職場の近くまで運転していくのですが、駐車場で車の中から「近くまで来たのですが車から出られません」と職場に電話したこともあります。
口の中に異物が入る(髪の毛とかね……)のみならず、その状況を想像しただけでえずいてしまう。
歯磨きも相当慎重にやらないとえずいてしまう。(職場で昼ごはんのあと歯磨きできない時もあった)
お風呂でシャワー浴びるのも頑張らないとえずいてしまう。
最終的には洗面所に行って洗面台に向かうだけでえずいてしまう。
なんなんだ!(泣)

一時期は喉の調子が悪くて、ずっといがいがして咳込んでしまう。花粉症なので、アレルギー?と思って耳鼻科で薬をもらうのですが、よくならない。喉を診た先生は「何もなってないよ」と言う……
吐き気も喉や鼻のせいなのでは?と結構耳鼻科に通いまくっていましたがなんとも。
結局、自分で調べて薬局で買った「半夏厚朴湯」という漢方が効いて、喉のイガイガはかなり良くなりました。

吐き気に関しては2021年の秋~冬ぐらいがピークでした。
このころ父親が二度目のがんの手術をすることになり、心配でメンタルがやられていたのもあるかもしれません(父、今は元気です!)
「自分がしっかりしなければ!」と実家に帰ったのですが逆に心配かけてしまい情けなかったのをおぼえています。
ともかく毎日具合が悪くて、とくに朝がいちばん調子が悪いので、仕事に遅刻しまくっていました。
このころのことを思い出すと今でもちょっと心がヒュッとなります。
幸いなことにわたしの居る職場は体調不良に寛容な空気があり、ほんとに歴代の上司には感謝してもしきれません。。。
とはいえ、つらいのでなんとか治したい。原因がわからないのも怖くて、二度目の胃カメラを受けたのもこのころでした。
診断は「軽い逆流性食道炎」で、「大したことないよ」と言われつついろいろ薬を処方してもらうのですが、あまり効かず。
最終的に吐き気には六君子湯という漢方がいちばん効きました。半夏厚朴湯といい、わたしは漢方が合っていたのかもしれません。

動悸に関しては循環器科も行ったのですが異常なし。
不安と併発していたので最終的には心療内科も行きました。2022年ぐらい?と思っていたら去年でした。まじか。
そのころは何かとにかく主に仕事が不安で、「不安です」「内科で異常がないといわれたのですが吐き気で仕事に行けない日があります」と言ったら初診予約してもらえた……気がします。
抗不安薬と吐き気止めをもらって、効いたり効かなかったり……という感じで三カ月ぐらい通ったところで先生から
「あなたは大したことないからもう来なくていいよ」という内容を(こんな厳しい言葉じゃないですが)言われ終了しました。
症状的にはだいぶ和らいでいたものの、まだ治ったとはいえない状況だったので結構ショックでした。
が、最終的に「つぎに何か困ったときにはカウンセリングのある病院を自分で探してください」と言われ
「ああ、こりゃわたしの体調不良はいわゆる”不定愁訴”扱いなんだな」ということが何となくわかった気がしました。
個人的にショックだったので悪いふうに捉えちゃったのかもしれませんが。。^^;


で、今です。正直、まだ治ってはないです。
今週月~水曜まで早番で出勤するのに、月曜以外はひとしきり胃液吐いたりしてから出勤してたし。
仕事だけ駄目なのかというとそういうことでもなくて、友達と遊ぶのにバスに乗って行ったら途中で気持ち悪くなってしまったり
楽しい予定でも、朝は気持ち悪くなってしまうことが五分五分ぐらいであるので人と約束を入れるのもちょっと怖かったりします(まあ、わたしと遊んでくれる友人には体調不良で遅刻したとして怒るような人はおらんと思いますが。。。)
もちろん調子のいい日もあります。朝、遅いと楽なので一時期はコロナ禍で時差出勤OKになったのをいいことに出勤時間をずらしてもらってました。
状況的なものなのか時間的なものなのか、いちばん調子悪かったとき以外は職場に無事到着して働きはじめればあとはだいたい大丈夫でした。
ご飯はずっと食べられてるので、激やせするとかも無いです。
ほんとに大丈夫なときは大丈夫なのよね~。不思議。ずっと大丈夫ならいいのに!(?!)

まあ、結果メンタルなのでしょう。自律神経? でも、心療内科も必要ないらしい。結論、「ただの謎の体調不良」という現実だけが残されました。
それでも、いっときに比べれば随分、かなり、だいぶん良くなったと自分では思ってます。
(時差出勤廃止になったけど、ほぼちゃんと行けているし。)


副次的に困っていること。(現在進行形)
①着られる服が限られること。ハッキリいつからと覚えていないのですが吐き気の症状がひどくなるにつれて、首の詰まった服が着られなくなりました。ハイネック、タートルネックはほとんど駄目。普通の丸首のTシャツも駄目です。かわいいのに~!若いころはタートルネック大好き人間だったし、数年前までは調子よければ着られてたのに……。
仕事の制服がハイネックだったらいまごろ無職になっていたかもしれません。。まじです。幸い職場は派手じゃなければ文句言われないので、着れるものを着て行ってます。シャツはまだ良いんですがカットソーとなるとユニクロのとあるカットソー(もう廃盤……)が唯一OKで、同じのを4枚ぐらい持ってます。しばらく前に「ユニクロの服は買わない」というムーヴメントがあった時(いまもあるかも)ちょっと内心しんどかったりしました。が、まあ仕方ない。ユニクロ VS. 吐き気 だったら申し訳ないけど断然ユニクロです。
で廃盤なので「これがボロボロになったらいったいどうすればいいんだ」と心配していたのですが、最近もう一種類、仕事に着て行けるカットソーでOKっぽいものを発見したので喜んでます。
関係あるかわかりませんがボトムスも締め付けられると具合悪くなるので結構限られます。「気に入ったか」より、まず「着られるかどうか」という観点で服を選ばなければならないのがちょっぴり寂しい。
②歯医者さんがめちゃくちゃ苦手になったこと。本当は定期的に通いたいのですが腰が重くなりました。。ただ、これに関しては「嘔吐反射が強いです」と言ったらわりとそういう人は居るみたいで、椅子を少し起こした状態で処置してくれたりするので助かっています。
③バス、電車に乗るのがちょっと怖い。何度か乗り物のなかで具合悪くなってしまって、不安が来るようになってしまいました。が、最近は楽しみが勝つようになってきて、まだ二、三本ちょっと怖い区間(?)はあるのですが遠出したい気持ちが勝つようになってきました。ちなみに新幹線は開放的な感じがするからかわりと大丈夫。実家に帰るのに高速バスに乗るのですが、それも(お手洗いがついてるタイプだから?)たぶん大丈夫。トイレのないバスと、混んだ電車はちょい、怖いです。でも、そろそろ大丈夫かなとも思う。「ちょっと怖い」というだけで、実際倒れたりはしてないので。。

症状とうまく付き合うのに、気を付けてること。
・気持ち悪いと思ったら我慢せずに出せるもんは出す勢いでえずいてみる。ほとんどの場合、ひとしきり吐くと落ち着く。
・朝ごはんを食べてから家を出るのは難しいので、持って出て車で食べる。
・ほんとに駄目なときは無理せず遅刻する。。しばらく眠るとよくなったりするので。
・漢方と吐き気止めは持ち歩く。抗不安薬の最後の一錠もお守り的に持ち歩く。のど飴も。
・飲み物も持ち歩く(お茶か水)。かばんは重くなるが仕方ない。
・病院で検査しても、大きな病気ではなかった。それが一番。

この十年、いろんなことがありました。転職、引っ越し、結婚、義実家(主に義母)との関係、介護、親の入院、手術、自分の入院、手術、友達との関係、等々。
まあ、ひとと比べればそうでもないかもしれませんが、たぶん飲み込みたくないこともたくさんあったのを頑張って飲み込んできて、それを長い時間かけて吐き戻そうとしているんだね……と自分に語りかけたり(?)していました。だからどうなるというわけでもないんですが。


この話題について詳しく書くとまた吐き気を誘発してしまうため、愚痴レベル以上にはなかなか話せずにきました。
なんで書き記そうと思ったかというと、きっかけはTikTokでした。
TikTok、わたしの友人世代だと見ない人が多い感じですが、わたしは結構見ちゃうタイプで、それで何かというと、若い方でわたしと似た症状で悩んでいる方が投稿されていたことです。
似てる!と思ったらすごく、親近感というか、何というか……でこれが良いのかわかりませんが「六君子湯が結構効きました」とコメントしたら「知らなかった!試してみます」と。
それで、詳しく書き記せばあくまでわたしのこと ですが、もしかしたら似たようなことになった人に少しでも役立つのではないか?と思いました。
治ってはないけど、まじでめっちゃだいぶ落ち着いたとは思うので、一回記録しておきたかったのもありますが。
「いや薬に関しては体質で合う、合わないがあるので病院へ……!」というのが正論なのですが、さんざん病院に行って「大したことないです」と言われ続けてきたのであんまり言いたくないです。
(ただ、検査などしてもらい大きな病気が無いとわかったのは本当に良かったと思います)
六君子湯が投稿主の彼女の体質にも合うと良いのだけど……。


それで、タイトルの名言(?)です。
「わたしの体調不良には原因はない!」
ある日、そう言ったら隣で配偶者のひとが「あるのは結果だけなんやね」と返してきてナルホドと思いました。
昭和のがんこじじい(※偏見)より病院嫌いの夫「だから病院に行くのは嫌なんやッ!」と言ってましたが、まあ、重病だったらもっと嫌なのでそういう意味では行っといたほうがいいかなと思います、何事も早期発見早期治療がいちばんなので。

特効薬も結論もありません。
ただ、主に職場の上司はじめ、寛容に見守ってくださった人のおかげで
また、いろいろ少しずつ環境が変わる中で回復に向かえているという気がします。


いつもに増して文章が整わないのと、いろいろ忘れている気がします。何か思い出したら書き足します。
あと、体調不良ツイート(ツイートじゃないが)嫌な人はごめんなさい。
べつに褒めてほしいとか配慮してほしいとかそういうあれではなくて、「もっと大変な人がいるのに!」というそれでもなくて、
皆、それぞれに不調とか悩み、苦しみ、苦手なもの、着られない服、そういうものがあっても暮らしてると思います。
そのうちのひとつだと思ってもらえたらいちばん嬉しいです。
読んでくださった方、ありがとうございました。

テーマ:日記 - ジャンル:日記

[2024/04/11 21:57] | その他いろいろな話 | コメント(0) |
〈体験レポート〉湖上比恋乃さんに題字を書いていただきましたの話
今回の記事は、文字書きの湖上比恋乃さんに同人誌のタイトル文字を依頼したことの体験レポートです。
Xでレポート募集されていたので書かせていただきました♪

1 依頼したきっかけ
比恋乃さんとはツイッター時代(?)から相互フォローで存在自体は知っており、
同人友達の本のタイトルを素敵に書かれたりしているのは見ていたため
「いつか何かの機会に題字を依頼したいな~」と思っていました。
そんな折、私が同人誌で刊行していた『エバーグリーン』という本の初版分が完売したのをきっかけに、
「せっかくだから題字を依頼して新装版を作ろう!」となった次第です。

ちなみに、初版(装幀:自分)
エバーグリーン表紙(サンプル)
各所で「スゴイミドリの本」と呼ばれていた。
これはこれで気に入っているのですが、「エバーグリーン」というタイトルも気に入ってるので
新装版ではもーちょっと目立たせたいな。

2 依頼手順(1)依頼フォーム入力まで
ファーストコンタクトは、比恋乃さんのウェブサイトから依頼します。
 ⇒手書き文字展示場
URLは、比恋乃さんのXアカウントのトップページ等にも。(わたしはTLに流れてきたところを捕捉しました)

*画像はクリックで拡大します
」がかわいい^^
依頼手順①
画面左側の「依頼フォーム」をクリック。
依頼前に不明点がある方は「お問い合わせ」で尋ねてみるのもよいと思います。

依頼手順②
お値段や利用範囲など詳しい説明が載っています。
支払いやデータの受け渡しは基本「BOOTH」で。銀行振込希望の方は申込のときに伝えましょう。
 わたし「BOOTHのログインパスワード何やっけ……」(※見つかりました)
依頼手順③
画像でわかりやすくまとまっています。
 わたし「同人誌は利用OK!なるほど」(※明記してあるの助かります)

説明を確認したら、「依頼フォーム」をクリックすると、Googleフォームで申込画面に進みます。
依頼手順④
ここで依頼したい文字列や納期の希望なども入力します。シンプルで入力しやすい。
入力完了となったら、しばらく待ちます。

3 依頼手順(2)ラフ~完成まで
依頼フォーム入力後、数日以内にメールで連絡があります。
(依頼日を失念してしまったのですが、結構すぐいただけたと思います)
料金と納品日の確認(見積)が記載されています。

 比恋乃さん「増刷および新装版の発行おめでとうございます!」
や、優しい……。依頼フォームに「祝増刷!」って書いてたんでしょうか、わたし。。
依頼される側にとっては要らぬ情報だと思うのですが、きちんと拾ってくれる比恋乃さんでした。
テンション上がりながら「こちらの見積でOKです~」の旨をお返事します。
今回なんとなく自分の中にふわっとした出来上がりイメージがあったため、pdfにしてお送りしてみました。
依頼手順⑤アイディア
なんじゃこりゃ。。何か文字化けしてるし……。
スミマセン。

それで、翌日にはもうラフが届きました。は、速い!!!
※このあたりのスピード感は納期に合わせて調整してくださっていると思います。
サンプル① サンプル②
どれも素敵~!

比恋乃さん
「文字の位置はのちほど調整できますので、まずは
 ・ペンの種類①〜③のものか、④〜⑥の2種あります
 ・字幅 太さのイメージに近いものはあるでしょうか?
 ・字の形 サンプルで書いた文字でお好みのものを教えてください
 以上3つの観点からサンプルの文字を見てください。」

「「エ」はこれが好き、「グ」の伸び方は控えめがいい、など1文字ずつ伴さんのイメージを教えてください。
 何度も書きながら、イメージする文字に近づけていきます。
 線の太さも同様で、もう少し細い(あるいは太い)ものも見てみたいなど、なんでもおっしゃってください。
 結果、やはり前に書いたものの方がよかったとなることもあると思います。
 そうなってもかまいませんので、とにかく気づいたことや、私にやってみてほしいことはなんでも伝えてほしいです」

そ、そんなにしてくれるの……?!(◎o◎)!
リテイクは何回でも良いのだそう……。スゴイ!
でも、希望を伝えたらすぐ反映してくださったため、今回は一度だけの修正で完成となりました。

ちなみにわたし「編集環境がWordオンリーなんですが大丈夫でしょうか?!」というあほみたいな質問をしていたのですが
そちらも親切にお返事をくださる比恋乃さんなのでした……;(重ね重ねスミマセン)

サンプルを確認し、いちばん気に入った③をベースに
・「「エ」の左下と、「ン」の右側(書き終わり?)をもう少しだけ長くしてほしい」
・「可能ならばもう少し太目のバージョンも見てみたい」
の2点をお願いしました。

そして2~3日後に修正版が届きました。
サンプル③
 わたし「ウワー!ほんとに「エ」と「ン」が長くなってるう!」(?!)
左下の太字のものが一番イメージにピッタリだったので、こちらで確定とお伝えしました。

4 依頼手順(3)納品~支払い
数日後に、BOOTHのURLと購入のためのパスワードがメールで届きます。
指定のURLにアクセスし、購入手続きをしてデータをダウンロード。
簡単です!
初めに「銀行振込」をお願いしておいた方には、振込先などの情報が届くと思います。

5 そしてめでたく新装版完成
ダウンロードしたデータで新装版の装幀を作ります!
もちろんWordでも大丈夫でした(!)
エバーグリーン新装版表紙
めっちゃ良~~~!!!
 わたし「のびやかで……エバーグリーン感がある………!!!!!(※語彙の不足)」

その後、無事入稿と相成ったのでした。

6 依頼して良かったところ
これまであまりこういった依頼をしたことが無かったのですが、わかりづらいところは全然なかったです。
個人的によかったなと思うところは、もちろん商品(=比恋乃さんの題字)に魅力があることが一番なのですが
 ・文字あたりの金額(リライト込み)で設定されており、依頼する前に価格がわかること
 ・一文字ずつ修正してもらえる(「エの左下」とかの微妙なお願いも聞いてもらえた)
 ・サンプルをたくさん提示していただけたので、修正イメージを伝えやすかった
 ・とにかく最初から最後まで丁寧に対応していただいたこと(初心者にも優しい)
という感じで、同人誌も大満足の仕上がりとなりました。

既存のフォントも可愛いものが沢山ある昨今ですが、
ときにはこういったオリジナルの題字も個性が出て素敵ですね。
気になった方はぜひお問い合わせしてみてくださいね~。

▽ちなみにこちらは別の企画で私の写真に文字を入れていただいたものです。
比恋乃さん作品
同人誌だけでなく、ポストカードやグッズ的なものにも良いかもです。
(※商用利用の方は別ルートの依頼になるそうなので、サイトをご確認ください)


レポートになってますでしょうか?
素敵な題字を書いてくださり、わたしの「レポート書きます!」を受け入れてくださった比恋乃さん
たいへんありがとうございました。^^*

ではまた!
[2024/03/10 15:07] | その他いろいろな話 | コメント(0) |
2023振り返り!
今晩はです、伴です。
2023年もあっという間に暮れですね。

今回は「創作TALK」さんの企画参加記事で、2023年の振り返りです。
今年はあまり沢山書いてないので、動きのあったぶんだけ……。

1月
◎ロゼット文庫で『エバーグリーン』新装版刊行
 湖上比恋乃さんに題字を書いていただきました。嬉しい。
エバーグリーン新装版表紙

5月
◎つばめ綺譚社で「コクテイル書房」さんの箱店主になりました。
 代表が手続き、棚メンテナンスしてくれました。ありがとうございます。

6月
◎つばめ綺譚社で委託イベント「ふらっとぺらっと」に参加
◎つばめ綺譚社で「そぞろ書房」さんの一箱本棚主になりました。
 こちらも代表がメンテしてくれてます。いつもありがとう。
◎マツさん主宰の批評誌『Silence Vol.2』に論考「"やまい"を定義するのは誰か-「プレコックス感」から考える-」を寄稿させていただきました。
 刊行は9月の文フリ大阪でした。小説以外の文章が書籍になることがほとんど無いので緊張しましたが、チャレンジできて良かったです。
Silence2

7月
◎ロゼット文庫で新刊『忘却と風』刊行
 久保田寛子さんが表紙を描いてくださいました。嬉しい。
『忘却と風』表紙

10月
◎ロゼット文庫で委託イベント「静岡文学マルシェ」に参加
◎「#novel首塚」企画で「帝王の首塚ドットコム」をカクヨム連載

11月
◎『文芸同人誌ロゼット 第3号』始動
 寄稿してくださる皆さま、快くお引き受けくださりありがとうございます!
 主宰も頑張って原稿を書きます。(※まだノープランです)

12月
◎ロゼット文庫でWeb再録の新刊『闇夜の月虹』製作
 入稿済みで、もうすぐ届く予定!
 クラウンでもお世話になっている、もちだ ころ さんに表紙を描いていただきました。嬉しい。
闇夜の月虹
◎『文芸同人誌ロゼット 創刊号』、『忘却と風』は増刷
 ありがたいことに完売となり、増刷の入稿しました。ありがとうございます!


今年はね……。仕事の異動で担当業務がガラッと変わったり
(しかも苦手分野だったり、前任者が辞めてるやつがあったり……;)
引っ越したり、自分の身体の都合などもあり、あまり沢山は書けなかったような。。
言い訳ですね! すみません。
でも、少ないながらも活動できたので良かったかなと思います^^*
来年、本になる予定の短い小説も2本ほど書いていました。これはまた追々。

伴美砂都として小説を書き始めて20周年の年でした。
派手なことはしませんでしたが、なんとなく、これからも続けていけそうな気はしています。
今年もお世話になった皆さま、本当に本当にありがとうございました。
少し早いですがよいお年をお迎えください。
年明け、文フリ京都でお会いできましたら幸いです。

ではでは!

テーマ:活動報告やら色々 - ジャンル:小説・文学

[2023/12/24 18:55] | 自分の小説の話 | コメント(0) |
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ご訪問有難うございます。

プロフィール

伴美砂都

Author:伴美砂都
伴美砂都です。
つばめ綺譚社所属。
ロゼット文庫主宰。
小説を書いています。
森豆子は知人の司書です。

twitter:
つばめ綺譚社@TsubameKitan
ロゼット文庫@rosette_bunko
わたし@misatovan

小説通販 渡り鳥販売:
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