映画『幸せなひとりぼっち』感想 最初は不快感でも最終的にはオーヴェ萌えになること間違いなし!【ネタバレ】
どうも!妻と生き別れた訳でもないのにひとりぼっちの立川あつです!
スウェーデンで5人に1人が観た!スターウォーズに勝った!と話題になっている映画『幸せなひとりぼっち』が12月17日に全国公開されました。
私は、新宿シネマカリテの割引デーの日に観に行ったのですが、劇場は満席でした。
しかも、自分が観に行った時間だけでなくその日の公開分、全てが満席だったようです。
今は、公開している劇場が少ないですが、これからどんどん増えていって欲しい映画です。
{完売のお知らせ}本日、12/21(水)12:00~「幸せなひとりぼっち」のチケットは完売となりました。予め、ご了承下さい。
— シネマカリテ(公式) (@cinema_qualite) 2016年12月21日
笑い声、すすり泣く音。一体感。
周りの人の反応まで含めた鑑賞体験は、劇場でしかできませんし、私は結構好きです。
子供からお年寄りまで楽しめる映画なので是非、身近な人を誘って観に行ってください。
【作品情報】
世界で250万部を売り上げたフレドリック・バックマンのベストセラー小説を映画化した作品。
主人公のオーヴェを演じるロルフ・ラスゴードはスウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデンビートル賞で主演男優賞と観客賞をダブル受賞している。
※これから先、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評ではなく、感じたことを書き出しただけのものです。友人と見終わった後に「あーだこーだ」言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいもらえると嬉しいです。なお、コメント大歓迎なので気になったことがあれば、是非コメントを残して言ってください!
偏屈おじさんが出来上がるまでの軌跡に涙
セットで割引の花に対して怒鳴り声を上げて不満を訴える。
自動車の通行禁止のルールには、どんな例外も認めない。
その他、ゴミの分別、自転車の駐車、犬のおしっことどんな細かいことにも厳格で、違反している人には容赦無く怒鳴り声をあげる。
いわゆる、おせっかいの偏屈親父。私が育った北海道の地元にも、まさにこういう人がいました。
◯◯のおっちゃんと呼ばれて、忌み嫌われてたように記憶しています。
ひょっとしたら、近所の偏屈親父という存在は、世界中で普遍的に存在しているんでしょうか?笑
正直、冒頭の花のシーンなんかは、呆れてしまうようなクレイマー的な態度で、できるなら一生接点を持ちたくない人だなと感じてしまいました。
これは、むしろ周りの人がかわいそうだなと。
しかし、映画って言うものは不思議なもので、観ているうちにだんだんこの偏屈親父、オーヴェが愛おしくなっていきました。
父親から教わった正直さ
まず、その偏屈の根本的な原因になっているであろう父親とのエピソード。
父親の掃除の仕事を手伝っていたオーヴェは、汽車の中で財布を見つけました。
その財布を紆余曲折の末、父親からお前の好きなようにして良いと言われます。
見つけた時は、自分のものしようとしたその財布を、オーヴェは落し物として届けることにします。
その時に、父親から「正直であるのが一番だが、正直でいる為には後押しが必要だ」ということを教わり、オーヴェは死ぬまでそれを守り続けることになります。
私は、聞いたことのないタイプの人生訓ですが、なるほどなと共感することのできる言葉でした。
このエピソードを知るとあくまで正直でいようとする姿のようにも見えてきます。
ソーニャとの出会いで分かる不器用すぎる性格
そして、妻ソーニャとの出会いでオーヴェがいかに不器用な人間かということもわかります。
家を無くしたオーヴェは、仕方なく汽車の中で夜を明かすことになります。
しかし、起きた時には既に汽車は動き出してしまっていたのですが、そこで運命の出会いが待っていました。
それが、後に妻になるソーニャ。そこで、切符のお金も持ってないオーヴェはお金を借りることになります。
オーヴェは、明らかに一目惚れしていたので、そこで連絡先を聞けばいいのに聞けませんでした。
まあ、しょっぱなからだいぶ不器用なのが伺えましたよね。
さらに、レストランでも楽しい会話ができず切り出した話が車の話なのも不器用だし、好きなものを頼んで欲しいからと先に食事を済ましてきてしまうのも不器用だし、気を引くために軍人だと嘘をついていたことを打ち明けるというのも全部不器用でした。
とにかく不器用。不器用&不器用。
ただ、その不器用さの中に間違いなく優しさがあることもはっきりと感じられました。ソーニャがオーヴェのことを好きになるというのも十分理解できます。
ただ、ちょっと男の願望が入っている部分はありますよね。ソーニャみたいにありのあまの自分を受け入れて愛してくれる人がいて欲しい。
そんな人に巡り会いたいと。実際は、そんな天使はいないっすよ!そうでしょ?ってやさぐれる場面じゃないか。
まあ、あんまり映画の世界観の外に出ちゃうのは良くないですね。戻します!笑
オーヴェの秘密
そこで話が終わってくれれば良かったんですが、オーヴェはもっと大きな秘密を抱えていました。キッチンが低いことと関係しているエピソードです。
序盤から気になっていて、そこが核心だろうなと思ってはいたのですがなかなかつらい話
でしたよね。
旅行先のスペインでの事故でソーニャは子供を失い、さらに車椅子生活を余儀なくされます。
事故の原因は、「ルールを守らない人たち」によって起こされたものでした。
しかし、責任を追及しようにも裁判所に訴えは棄却されてしまいます。
さらに、車椅子であるという理由でソーニャの教師になるという夢まで閉ざされかけました。
こんな理不尽な現実にもソーニャはあくまで前向きで、オーヴェに「今を必死に生きるの」と語りかけます。
その言葉で、オーヴェは断られた学校にいき自らバリアフリーのスロープを作ってしまいました。
このシーン、なかなか胸にグッとくるものがありましたよね。
振り上げた拳を下ろす場所が、見つからないもどかしさ、怒り、悲しみがあったはずです。それを押し殺してソーニャのためにできることを全力でする姿。泣けます。
コメディタッチの部分もたくさんあり泣かなくて良い映画かなと思っていたので、不意打ちを食らった感じです。
死のうとする姿には笑わされ、前向きに生きようとする姿に泣かされるという不思議な映画でしたよね。
正直+不器用+理不尽な境遇=オーヴェという男
「車は思ったより単純には動いていない」というセリフが劇中で何度か出てきます。
このセリフは、まさにオーヴェのことを言っているんじゃないかと私は感じました。
オーヴェも単純に偏屈というわけではないことが、映画を見ていくなかで徐々に明らかになっていきました。
丁寧に挟まれる回想のエピソードを見るたびに、オーヴェがどういう人間かわかってきました。
極端なまでにルールに厳しいことにもちゃんと理由があったわけです。
一旦それを知ってしまうと、もう単なる偏屈おやじだとは見ることができなくなります。
原題は『オーヴェという男』と訳すそうなんですが、こっちの方がしっくりくるタイトルですね。
同じ人なのに映画の最初と最後では、全然別人のように感じました。
といっても、死ぬ間際でも救急車すら通そうとしないあたり、最後まで間違いなくオーヴェでしたけど…。笑
死に関わるシーンでは意地でも泣かせないとう、監督のこだわりがあったんでしょうかね。
まとめ
私は、今回初めてスウェーデンの映画を観ました。
スウェーデンと言われるとIKEAか福祉国家というイメージしかありませんでした。
ただ、この映画では孤独死やマイノリティの問題、隣人愛などかなりどこの国にもある普遍的なテーマを扱っていて、知らない国のできこと思えないくらい身近に感じました。
というのも、冒頭でもふれたように私自身の経験でもオーヴェのような人が短にいたこと、さらに今は少ないであろう平屋が並ぶ横のつながりの深い地域で生まれ育ったことも親近感を覚えた理由かもしれません。
小さいころには、隣の知らない老夫婦のうちに預けられたりしてましたしね。まさにパルヴァネの二人の子供みたいに。笑
もし、自分がソーニャのような女性と巡り会えたら、この映画で観たような隣人に囲まれた場所で生活したいものです!
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SNSやレビューサイトでも言われているようにこの映画は、クリントイーストウッド監督・主演の映画『グラントリノ』みたいと言われています。
それぞれ良さがあるので、あまり似てるっていう表現はしたくない派です。
ただ、この『幸せなひとりぼっち』を見て共感できる人であれば、『グラントリノ』も間違いなく響く作品だと思います。
私は、最近dTVに入ったので週末には、復習してみたいと思います。DVDも絶対買いですね。いつでるんだろ?