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Date: 2013/03/06 | | Tags: 急速充電, 充電電池, 電源, モバイルバッテリー, USB電源, USB充電池, iPhone, iPad, Android, Tablet等
前回、iPhone,AndroidのためのUSB充電電源(モバイルバッテリー)の品質を暴くでモバイルバッテリー(USB電源)の特性を調べました。ここでは公称値に比べて性能がでるもの、でないものが明らかになったと思います。
また、別記事に「知っておくべきモバイルバッテリーの12の法則」があります。モバイルバッテリー選びの参考にどうぞ。
今回はスマフォやタブレットの急速充電の話についてです。
スマフォやタブレットが急速充電モードになると、単純計算で半分ぐらい時間で満充電ができます。しかし、実はそれ以上のメリットは、最初の1時間程度の充電量なのです。
通常充電 | 急速充電 | |
---|---|---|
iPhone | 35%程度 | 80%程度 |
Android | 30%程度 | 70%程度 |
リチウムイオン電池は、通常、最初に定電流充電を行い一気に充電します。そのため、最初の1時間の充電量が速度によってかなり異なるのです。外出時にスマフォの電池が消耗し、モバイルバッテリーのケーブルをつなぐ時間を考えると、急速充電がいかにうれしいかわかるでしょう?
そこで、充電ケーブルやUSB充電電池、加えてUSBアダプタなども含めて、ベストバイを考えてみたいと思います。
スマフォはだいたい定格1A程度、タブレットは2A程度で充電します。
ですから前提として、モバイルバッテリー、USB電源アダプタは、スマフォなら定格出力5V1A以上、大型スマフォ(iPhone6Plus等)なら1.5A、タブレットなら2A以上が必要です。
iPhone | Android | タブレット(iPad/Android) | |
---|---|---|---|
モバイルバッテリー | ○ iPhone(あるいはApple)用と明記があり、出力が1A対応なら大抵OK。できないならば急速充電下駄を間に入れるとOK。 | ○ Androidと明記があり、出力が1A対応なら大抵OK。できない場合、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れるとOK。 | ○ iPad/Android タブレット対応と明記があり、出力が2A程度に対応していると大抵OK。できない場合、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れるとOK。 |
USB電源アダプタ | ○ 純正USB電源アダプタ+純正ケーブルは当然OK。 純正USB電源アダプタ+互換ケーブルも大抵OK。 iPhone用と明記された出力1A以上の互換USB電源アダプタの場合・・・ +純正ケーブルは大抵OK。 +互換ケーブルは動かない場合が有り。 できない場合は、急速充電下駄を間に入れるとOK。 | ○ 純正USB電源アダプタ+純正ケーブルは当然OK。 純正USB電源アダプタ+互換ケーブルも通常OK。 Android用と明記された出力1A対応の互換USB電源アダプタの場合も、大抵OK。 できない場合は、Xperia対応充電・通信ケーブルに変えたり、急速充電下駄を間に入れるとOK。 | ○ 純正USB電源アダプタ+純正ケーブルは当然OK。 純正USB電源アダプタ+互換ケーブルも通常OK。 iPad/Android用と明記された出力2A程度に対応した互換USB電源アダプタの場合も、大抵OK。 できない場合は、Xperia対応充電・通信ケーブルに変えたり、急速充電下駄を間に入れるとOK。 |
Windows PCから充電 | × ただし、急速充電下駄などを間に入れると、通信ができなくなるが急速充電OKになる。 Powered USB2はケースバイケース。 | × ただし、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れると、通信ができなくなるが急速充電OK。 USB3対応のAndroidなら、USB3端子(青いUSBポート)につなげば最大900mA充電可能。 Powered USB2はケースバイケース。 | × ただし、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れると、通信ができなくなるが準急速充電OKなこともあって、ケースバイケース。 USB3対応のAndroid Tabletなら、USB3端子(青いUSBポート)につなげば最大900mA充電可能。 Powered USB2はケースバイケース。 |
Macから充電 | ○ 何もしなくても通信しながら急速充電完全対応 | × ただし、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れると、通信ができなくなるが急速充電OK。 USB3対応のAndroidなら、USB3対応のMacであれば、最大900mA充電可能。 | △ iPadならば、準急速充電可能 ただし、Xperia対応充電・通信ケーブルや急速充電下駄を間に入れると、通信ができなくなるが準急速充電OKなこともあって、ケースバイケース。 USB3対応のAndroidなら、USB3対応のMacであれば、最大900mA充電可能。 |
この表で「×」の組み合わせの利用が発生する人は、急速充電下駄や急速充電モードに変わるスイッチをもったケーブルを購入する必要があります。
Androidで使う「Xperia対応」充電・通信切り替え型ケーブルは、下記の物で急速充電の実績があります。Androidユーザは必携です。
下記の充電・通信切り替え型ケーブルは、充電専用にするときちんと急速充電モードになります。余談ですが、このケーブルに加えてiPhoneのMicroUSB下駄を用意しても、Windowsパソコンで急速充電ができるようになります。
iPhoneやAndroidで使う「急速充電下駄」は下記の物が実績があります。MacユーザでAndroidを使う人必携です。
USBケーブルにはこんなケーブルがあります。
余談ですが、auショップで販売している、au +1 Collectionなどのライトニングケーブルは、正規ライセンス品ではありますが、純正USB電源アダプタ以外で急速充電モードにならないようです(組み合わせによります)。さらに「電源スイッチが無いタイプの自動でON/OFFするモバイルバッテリー」では、互換ケーブルではスイッチが入らず、利用できないことがあります。
ここからが本当に書きたかった本題です。
このサイトは取りあえずなぜか?というのを追っかけるのがコンセプトなのでもっと調べてみます。
通常、USBの電源定格は500mA(USB3では900mA)。しかし、モバイルバッテリーやUSB電源アダプタの定格みると、出力5V1A対応とか、5V2.1A対応とか色々書かれているものがあります。
大きいことは良いことだってことで買ってませんか?それってちゃんと効果がでてるんでしょうか?実はUSB端子を電源アダプタにする特殊な規格があり、それを使うことで多量の電力を供給。その結果、高速にスマフォの充電ができるというリクツです。
じゃあ、5V1A対応のUSBアダプタを買ってきたら高速充電!2.1Aを買ってきたらもっと高速充電で解決!なーんてこと考えちゃいませんか?それ、半分アタリですがハズレです。アレは「最大出力」であって、定常的な出力ではありません。
中学校の理科でこんなことを習ったかと思います。
電圧V(Vボルト)=抵抗R(Ωオーム)×電流I(Aアンペア)
ここで電圧はUSBの規格上、5Vで一定です。すると流れていく電流はどう決定するのでしょう?
電流I(Aアンペア)=電圧5(Vボルト) / 抵抗R(Ωオーム)
となります。充電中のスマフォ自体の抵抗Rが10Ωなら500mA、5Ωなら1A、2.5Ωなら2A流れることになります。
スマフォTips/充電電池/iPhone,AndroidのためのUSB充電電源(モバイルバッテリー)の品質を暴くでは10Ωの抵抗をつけていましたが、5Ωの抵抗なら1A流れるというわけです。
つまり、
つまり急速充電になるかどうかはスマフォ自体が決めているのです。電圧は供給側であるアダプタ側で決まりますが、流れる電流は負荷になるスマフォ側で決まるのですね。
さて、ここで問題です。
電力が供給できるUSBアダプタに繋がっている時は、スマフォは内部抵抗を下げなければなりませんが、どうやってスマフォは抵抗値を決めているのでしょうか?
答えは、モバイルバッテリーやUSB電源アダプタ側にあります。
自分が沢山の電流を供給できる場合、USB電源はスマフォ側に指示を出します。イメージとしては、こんなネゴシエーションを行ってるはず。
こんな感じになります。
当然ですがUSB電源アダプタやモバイルバッテリーはUSB信号を解釈できるほど特殊なICを積んでいないため、USBのプロトコルではなく、シンプルな方法でスマフォ側に指示を出さないとなりません。
ちなみにD+とD-はシリアルの信号線で、信号をプラスとマイナスで反転してディファレンシャル型で転送します。
これだけシンプルな結線なので、電源が沢山の電流を流せるかどうかは、D+/D-を利用するのです。
ではどうすればいいのか。そこでこんな本を探してきて調べてみました。翻訳がたまに意味不明ですが(笑)、良い本だと思います。
この本のパワーマネージメントの項に細かな話が掲載されています。
ついでに下記のドキュメントもかなり有用です。
簡単に説明するとこんな感じです。
つまり専用充電器だということをスマフォに伝えればいいわけです。
これらの資料をザックリ見ていると、D+とD-の間200Ωの抵抗で接続してあれば、専用充電器ということになっています。
次のような流れのようです。
ということだそうです。
そして、充電できるUSB充電器はだいたい次のような回路になっているわけです。
専用USB充電器として機能しないUSB電源を、専用USB充電器として見せたり、パソコンのホスト型をUSB充電器としてみせる場合は、次の回路を入れれば良いことになります。
ちなみにどうやらiPhoneの場合は、D+を0.5V〜0.8Vではなく3V程度で駆動されるそうです。D-が1.2Vを超えると充電モードになるそう。D+とD-が200Ωで接続されているため、D-が1.2V〜3Vの間になるのでしょうね。
上記のように専用USB充電器のふりをすると充電ができるようになるわけですが、このままでは通信ができません。そもそもMacとかはどうやって信号も送れ、且つ、高速充電できるのでしょうか?
USB Battery Charging 1.2 Compliance Planをみると分かりますが、専用USBとのネゴシエーションは接続直後にしかおこなっていません。接続直後にネゴシエーションさえとおれば、その後は通信することができるはずです。
D-さえ0.4V以上、iPhoneなら1.2V〜3VになればOKのはずです。そこでD-が2V前後になるように、ケーブル内で20kΩでプルアップ、30kΩでプルダウンすればいけるのではないか?と想定できます。
色々調べてみるとやっぱり、すごく調べている人がいて、
どうやら、PLANEXのAC電源が下記のような回路でプルアップ、プルダウンされているようです。
これを参考にケーブルを作るとこうなります。
抵抗値の値は、大きければケーブル側が消費する電力が少なく、かつ信号線が駆動したとき害になりません。ここまで大きな抵抗なら問題はないのかも。もしかしたら抵抗値はもう少し大きい方がいいかもしれませんが。
D-の方をプルアップ・プルダウンをする理由がわからないのですが、かつてそう言う商品があったのかも。
できたiPhone 4S対応ケーブルはこれ。
このケーブル、本来急速中でができないWindowsパソコンとiPhone 4Sの組み合わせで急速充電になります。しかも急速充電しながら通信もします。また古いUSB電源など、どうしてもUSB電源が失敗するUSBアダプタなどでも使えます。こんなケーブル作らなくったって、Macの人はいらないし、Windowsの人も、下駄を買えばいいんですけどね。
USBの急速充電は、規格が定まる前に様々なデバイスで独自規格を作成して実装されました。その後、ニーズがあるということで規格が後追いで作られたため、その間に作られたデバイスは試行錯誤で急速充電の仕様を決めています。上記に記載したとおり今は規格が定まっているので、規格どおりに作られた物では問題なく動きます。
1Aあるのに急速充電できないものには、様々なケースがあります。
先に書いたように、いくつかのアンドロイドではD+/D-の間をショートするだけで急速充電が始まるものがありますが、このようなデバイス用に作られた電源はiPhoneでは急速充電できません。
一方でAppleはiPod/iPhone含め、D+を3V程度で駆動したとき、D-が1.2Vを超えると充電モードになるため、D+/D-ではショートでは動きません。
このような電源で充電する場合は、先に記したXperiaの充電ケーブルを利用してAndroidをごまかすか、下駄回路をつかってiPhoneをごまかす必要があるということです。
急速充電できる下駄は、下記のような回路に結果的になるようにするための装置があればOKです。
この規格は、規格が定まる前にリリースされた機種でもだいたい使えるような回路としてつくられたようですが、それでも一部デバイスではこれでも充電できないことがあります。
AndroidとApple(iPhone/iPod)でスイッチがついている下駄やモバイルバッテリーは、その部分の救済の回路が入っているようです。
ザッと調べたところではこんな感じです。
という感じでしょうか・・・。
スマフォが充電を促すアラート(10%ぐらい)まで電気を使ってから実験をしています。
グラフ中スパイクが全体的に大きいのは、スマフォ自体が何かしらの理由で稼働して電気を使っているためです。ただし提供する電流は定格より上には超えられないので、定格ぎりぎりでの充電時はスパイクは小さくなります。つまり、その瞬間は充電に充当する電気が若干減るというわけです。
そのため、よく言われるなるべく電池を使わないモードにして充電開始というのは理にかなっています。
昨今、iPhoneで急速充電できない環境はWindows PCとの組み合わせぐらいです。この場合、急速充電下駄を間にいれれば、OKです。
Macとは、急速充電しながら通信ができます。テザリング中に電源が減ることはありません。
また、今時iPhoneに対応していないモバイルバッテリーや、USB電源は珍しいぐらいなのですが、ご利用のiPhoneが販売される以前のUSB電源や、ガラケー用のUSB電源などでは、うまくいかないときがあります。この場合、出力が1Aあれば、急速充電下駄をいれれば、OKです。
ちなみに、iPad用の充電器を使うとiPhoneが高速に充電できるというのは都市伝説です。
と、言い切れたのですが・・・・。
iPhone 6 Plusの添付のアダプタは、他のものと同じく、1A対応のアダプタです。しかし、他のiPhoneと異なり、iPad対応の2A対応のアダプタやモバイルバッテリーを使うと、1.5A充電するのです。
iPhone 4Sは、条件が揃って急速充電モード(AC電源モード)になると、900mA程度の電流を受け入れます。しかしながら徐々に電流量は減衰、1時間後ぐらいには概ね充電が終わっているのでトリクル充電に変わると一気に落ちます。グラフ(水色)では1時間程度で充電が終わってることが分かります。
一方、500mAの充電では、2時間ぐらい充電を行っています。
まず一般に、Androidが急速充電モードになるときは「通信」できません。ですからWindowsやMacと通信、たとえばUSBテザリングしながら急速充電になることはありません。
下駄やスイッチ付きのUSBケーブルをつかって充電モードにすると通信できなくなるので、USBテザリングか、急速充電にするか迷うことになります。USBテザリング中に500mA以上の電池を消費する機種の場合、ケーブルをつなげているのに電池が消費されていきます。
そう言う意味では、Androidの場合は電池が少なくてすむBluetoothテザリングか、Wi-Fiテザリングをしながら、モバイルバッテリーなどで充電すると良いでしょう。
Androidは一般に、iPhoneよりも電池を消費することが多いため、電源の容量が多めに作られています。そのため、電池の都合としても年々大きくなる都合があって、いまでは4インチがコンパクトと呼ばれるようになってきました。小型機種が出ない理由にもなっているのでしょう。
こういう背景もあってAndroidの場合は、ゲームをしていると500mA以上使う機種があり、充電非対応の環境で充電しながらゲームをプレイすると、いつの間にか電池がなくなってることがあるのです。
ちょっと冗談みたいな形をしてるMicro USB3ケーブルですが、Galaxyにはこれに対応した機種があります。
この場合、USB3で結線することで900mA充電しつつ、USBテザリングをすることができます。
Qualcomm ® QuickCharge ™ 2.0は、急速充電する為の仕様で、電圧を上げることによって、より多くの電力を供給するものです。
Xperia Z3の場合、標準の充電用トレイが、9V/900mA充電を行います。これも本来、Whが重要なので、9V x 900mA= 8.1W充電となります。通常のスマフォの1A充電は5V x 1A= 5W。2A充電は5V x 2A=10W充電ですね。
Androidの場合、通信をやめ、急速充電モードにする「ソフト」があります。とはいっても「アプリ」ではなく、カスタムROMの類いですね。
そんなことはできません。そもそも大抵のスマフォにはセルは1つしかありません。
リチウムイオンバッテリーの場合、調子の悪いセルを治すために「あえて低速充電でギリギリまで満充電をするのを数回繰り返し、定格分放電、これを繰り返す」という渇いれみたいな方法はあります。
リチウムイオンは概ね充電量85%〜90%をこえるとトリクル充電になり、いわゆる低速充電モードになります。ですからこの状態で「スマフォの電源を使わなければ」、満充電になります。
つまり、電源をOFFにすればよいわけですね。
モバイルバッテリー周りは、色々なTipsがあります。
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