最近、インターネットを通じたオンライン教育サービスの記事を目にすることが多くなった気がします。自分達もその分野のサービスを運営しているので、目にとまりやすいということはありますが、一般的な新聞の記事でも見かけたので、実際に認知が高まってきているのでしょう。
どのようなサービスがあるのか、少しまとめてみたいと思います。
オンライン教育を提供している多くは、アメリカのベンチャー企業です。資金や人材、テクノロジーなどの面でしっかりとサポートされ、品質の高いコンテンツを提供しています。利用者も世界中に広がっており、数百万人が利用するサービスもあるようです。
日本からも利用可能(もちろんコンテンツは英語ですが)なものも多く、例えばアメリカの大学レベルの講義を受けてみたいと思っている人には、願ってもないチャンスだと思います。しかも多くは無料です!
今週発売の『WIRED』では、「未来の学校」というテーマで、オンラインでの「学び」について特集が組まれています。
伊藤穣一さんが所長をされているMITメディアラボの「学び」の話や、アメリカのスタンフォード大学の先生が始めたオンライン授業を提供するサービスなど、斬新な発想の「学び」が紹介されていて興味深いです。
この中で紹介されているものも多いですが、比較的有名なサービスを中心に紹介していきます。
1.Khan Academy カーン・アカデミー
サルマン・カーン氏が2006年に開始したオンライン教育サービス。算数、歴史、化学、経済学、コンピュータ・サイエンスなど子供から大学・社会人向けまで幅広い講座を10分程度のYouTube動画で配信しています。現在、3,300本以上の動画を提供しており、利用者は600万人近いらしいです。
「ワールドクラスの教育を、世界中の誰にでも無料で提供する」のがミッションの非営利団体。ビル・ゲイツ氏のゲイツ財団などからの寄付で運営資金を賄い、一般の人からの寄付も受けつけています。
カーン・アカデミーの魅力は、動画コンテンツの数の多さ、そのコンテンツの大部分を1人で作り上げてきたカーンさんの情熱と親しみやすい語り口、非営利で世界中に質の高い教育を届けるという使命感への共感、にあるのではないかと思います。算数のレッスンなど、大人にとっては簡単すぎる内容ですが、思わず見入ってしまいました。
カーンさんのTEDカンファレンスのスピーチは、カーン・アカデミーについて知るにはよい内容ですし、彼の人柄が分かるので見ていて楽しいです。
サルマン・カーン「ビデオによる教育の再発明」 | Video on TED.com
カーン・アカデミーについて書かれた記事もありますので、参考にしてください。
シリコンヴァレーのエリートたちが転職したがる、注目の教育NPO「カーン・アカデミー」 « WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム
誰でも無料で3000本超のビデオ講義が受けられる! ビル・ゲイツやグーグルが一押しする 「カーン・アカデミー」の教育法
2.Coursera
スタンフォード大学の2人の教授によって立ち上げられた大学の講義をオンラインで提供するサービスです。現在、スタンフォード大学、プリンストン大学、デューク大学など16の大学が参加し、17分野124コースが提供されています。利用者は、全世界で120万人を越えている(9月上旬時点)そうです。
学ぶ仕組みは、大学の講義と似ていて、講座ごとに開始と終了日が決まっていて、毎週動画で学んで、課題レポートを提出するような流れです。
本格的な大学の講義と同じなので、きちんと勉強するつもりで受講しないと、かなりキツいです。私は軽い気持ちで始めて、すぐについて行けなくなりました… 再チャレンジの機会を狙います。
Courseraについては、こちらの記事によくまとまっていますので、ご参照ください。
世界のどこからでもエリート校の講義が受けられる! 「Coursera」による高等教育のフリーアクセス化
「急成長を遂げているオンライン教育の革命的サービス、Coursera」
3.Udacity
こちらもスタンフォード大学の元教授らによって、2012年に開始したばかりの大学レベルの教育をオンラインで提供するサービスです。コース内容は、今の所、IT系が中心で、複数の大学の先生がコンテンツ提供しています。講義動画が中心ですが、質問をしたり、クイズを出したりなど、インタラクティブな仕掛けにも工夫が見られます。
こちらは、Couseraよりは自分のペースで進められそうですが、それでも大学の講義に近い仕組みと量なので、それなりに覚悟して取り組んだほうがよいでしょう。
4.edX
MITとハーバード大学の共同事業として始まったオンライン教育プラットフォーム。3校目として、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)が加わっています。
5.Udemy
誰もがオンライン上でコースを受講したり、作成して先生になったりできる教育プラットフォームサービスです。2010年にサービス開始したベンチャー企業です。サンフランシスコにオフィスがあり、シリコンバレーのベンチャーキャピタルからの出資を受けているためか、ITテクノロジーやベンチャービジネス関連の動画コンテンツが豊富です。
Udemyは、有名大学の先生の講義ビデオなどの無料コンテンツも多いですが、誰もが先生となってコンテンツを販売できる仕組みを提供しており、有料コンテンツもたくさんあります。有料では、Webデザインやプログラミングなど、スキルアップ系のコンテンツが人気がありそうです。
個人的には、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOのスタンフォード大学での講義の動画(無料)などが興味深かったです。
6.その他の注目されているサービス
TED Ed http://ed.ted.com/
TEDカンファレンスで有名なTEDが提供するオンライン教育サービス
Codeacademy http://www.codecademy.com/
オンラインプログラミング学習サービス
TreeHouse http://teamtreehouse.com/
オンラインWebデザイン学習
Lynda http://www.lynda.com/
ITハウツー系学習動画サービス(有償)
以上、アメリカの教育系サービスをいくつかリストアップしてみました。
2012年は、大学のオンライン講義サービスがいくつもスタートしたので注目を浴びていますが、他にも子供向けの教育サービスなど色々なものが登場しています。また別の機会にご紹介したいと思います。
- ビジネスモデルが会計の数字を決める(後編)|大津広一氏インタビュー - 2014年11月4日
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