« ミニーときっこの冬季オリンピック(笑) | トップページ | 克服手袋 »

2010.02.17

オリンピック選手は国民の代表なのか?

バンクーバーオリンピックのスピードスケートで、ニポンの選手が銀メダルと銅メダルを獲ったとかで、試合後のインタビューを生放送してるのをたまたま見てたら、レポーターのマラソンの高橋尚子さんから、「2位だと分かった時はどう思いましたか?」って聞かれた銀メダルの選手が、「最初は4位だと思ってたから、すっげぇ~ムカついてたんスよねぇ~」って答えてた。あたしは、この言葉遣いを聞いて、スノーボードの国母選手に「国民の代表」としての自覚を強要してる人たちは、いったいどう思うのかな?って思った。

あたしの感覚だと、「チョ~気持ちいい!」とか「すっげぇ~ムカついてたんスよねぇ~」とかって言葉遣いは、「ハンパねえ!」とか「ざけんなよ!」と同類で、知能の低いガキしか使わない言葉だと思ってる。そこらの中学生や高校生ならともかく、大学生や社会人になっても、こんな言葉を使ってたら、周りからバカだと思われることウケアイだ。百歩ゆずって、プライベートでこうした言葉遣いをすることはいいとしても、それこそ「公私の区別」をつけるべきで、全国の人が見てるインタビューの席では、キチンとした言葉遣いをするのが「大人の良識」ってもんだろう。

ま、人の感性は人それぞれだから、激しくダサい着崩しを「恥ずかしいこと」と思わない大人がいるように、こうした言葉遣いを「恥ずかしいこと」と思わない大人がいるのも当然だ。恥をかくのは自分なんだから、どんな服装でも、どんな言葉遣いでも、すべては個人の自由だ。そして、あたしは、国母選手の服装も、こうした言葉遣いも、個人的には両方とも大嫌いだけど、オリンピックの選手のことを「国民の代表」だなんて思ってないから、今回のスピードスケートの銀メダルの選手が「すっげぇ~ムカついてたんスよねぇ~」って言ったのを見ても、別に「ニポンの恥」とは思わなかった。ただ単に、「いい年こいて、まるで偏差値の低い高校のガキみたいな言葉遣いだな」って思っただけの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、誰がどんな服装で歩こうが、誰がどんな言葉遣いをしようが、誰がどんな車で走ろうが、すべては個人個人の自由なワケで、他人からトヤカク言われるスジアイはない。だけど、それが誰かに迷惑を掛けた場合には、その相手からトヤカク言われても仕方がない。たとえば、見かけは普通の服装でも、何ヶ月もお洗濯せずに着続けてて、ものすごく臭かったとしたら、そんな服装で満員電車に乗られたら、周りの人たちは、たまったもんじゃない。たとえば、自分の結婚式に友人代表で出席した人に、家族も親戚も会社の上司も並んでる前で、祝辞の中で「ハンパねえ!」とか「すっげぇ~ムカついてたんスよねぇ~」とかって言葉遣いをされたら、たまったもんじゃない。たとえば、見かけは普通のセダンでも、最低限の整備もせずに公道を走り回ってて、整備不良が原因で事故を起こしたら、ぶつけられたほうは、たまったもんじゃない。

こんな分かりきってること、今さら言うまでもないんだけど、ようするに、「何をするのも自由だけど、それは、人に迷惑をかけない範囲に限って」ってことになる。そして、自分の自由が誰かに迷惑をかけた場合には、その責任を負わなきゃならないのも当然だ。だから、オリンピック選手のことを「国民の代表」だと思ってる人たちは、オリンピック選手が、オオヤケの場で、乱れた服装や言動、態度をとれば、おんなじニポン人である自分たちに恥をかかせたことになる‥‥って理屈になるワケで、自分たちに迷惑がかかったと感じてるからこそ、批判してるんだと思う。

国母選手の問題については、未だにたくさんのメールが届き続けてるけど、やっぱり、批判的なメールのほうが多い。そして、批判的なメールを送って来る人たちの多くは、「他の大会ならともかく、今回はオリンピックなんだから」って書き方をしてる。つまり、オリンピック選手のことを「国民の代表」だと思ってるからこそ、苦言を呈してるってことになる。

一方、あたしや江川紹子さんのように、オリンピック選手のことを「国民の代表」とは思ってない人たちは、選手たちがどんな服装や言動、態度をとっても、別に自分が恥をかかされたとは思わない。ただ単に、その選手個人に対して、「まだ子供なんだな」とか「良識がない人なんだな」とかって思うだけで、それだけのことだ。ただ、今回の問題では、賛否両論いろいろだけど、あたしにメールをくださった人たちも、あたしも、オリンピックのニポンのスノーボードチームの実情を何も知らない。あたしたちは、テレビや新聞が報じる断片的な情報だけで、1人の選手のことを全否定したり、部分的に否定したり、部分的に肯定したりしてるワケだ。あたしは、これって、どうなのかと思った。

‥‥そんなワケで、ゆうべ、ツイッターで、ソルトレイクまでオリンピックのスノーボードのニポンチームのコーチをしてた古川元幸さんの長文コメントが紹介されてたんだけど、それを読んだら、あたしが「国母選手じゃなくてスキー連盟を批判すべきだ」って書いたことが、間違ってなかったって確信できた。だから、皆さんにも、ご紹介したいと思う。長い文章だけど、最後まで読めば、今回の問題の本質が見えて来ると思う。


「国母問題について(長文)」

スノーボードのオリンピック代表国母がたたかれている。

ご存じの通り僕は99年から02年のソルトレイクオリンピックまでスノーボードチームのコーチをしていました。

コーチ時代のいろいろな問題はあまり公にしたこと無いのですが、ここへ来て国母の服装問題で思うところあり書いてみることにしました。

オリンピック選手になると言うことは?
一般人から見たらオリンピック選手は日本の代表で、日本をしょって立つ立場と考えがちだけれど。
別に日本政府が、または全日本スキー連盟が、または日本オリンピック委員会が、選手に出場権を与えている訳じゃない。
FIS(国際スキー連盟)公認の大会でこつこつと成績を上げ、出場権を勝ち取るのです。
「はい、日本は3人まで出場できますよ。お国で代表の人決めてね」というのではありません。
オリンピックのレベルに達している選手にだけ出場権が与えられるのです。世界のレベルに達している選手がいなければ日本代表を送り出すことさえできません。選手が出ていない国があるのはそのせいです。
もちろんルールがありますからそのルールに則らなければなりません。その中には全日本スキー連盟の選手としての登録も必要ですしそうでないと国際スキー連盟の公認大会に出ることもできません。
選手の立場からみたらオリンピックは、ただ世界で最高の大会にすぎないのです。最高の大会で自分の納得いく競技がしたいというのが彼らの本音です。だれも日本をしょって立つなどと考えていません。

スノーボードという競技はとても特殊です。
アルペンとハーフパイプ、スノーボードクロスと三種類の競技がオリンピック種目となっていますが、アルペンとハーフパイプでは競技者のマインドも全く違います。
ハーフパイプの選手は勝つためよりもいかに自分のスタイルが思うとおり決められて観衆を沸かすことができるかが大事なのです。そしてその結果優勝できればなお良い。そういうマインドの選手が多いと僕は思っています。

選手のマインドだけじゃなく競技団体もFIS(国際スキー連盟)とWSF(国際スノーボード連盟)と大きく二つに別れ、さらにXGAMEに代表される非公認の高額賞金のイベントもいろいろあり、競技レベルやルールもそれぞれに異なり非常に複雑です。
どの団体に所属していても選手はほぼ100%プロのスノーボーダーです。しかし日本でオリンピック選手になるには全日本スキー連盟に選手登録をしてFIS公認の大会を優先的に出場しなくてはなりません。プロとしての活動が全日本スキー連盟の選手登録をすることでかなり制限されてしまいます。全日本の選手として海外遠征中に現地で大きなプロの大会があったとしても、出場は不可能です。

オリンピック出場にからむFISのワールドカップが競技レベルで最高のものかというと残念ながらそうではありません。
問題点はスノーボードの強豪がそろうアメリカはこういった垣根無く選手にとって(賞金額も含めて)最良のイベントを選択して出場してくるという点です。アメリカ選手はFISのワールドカップには出場権を得るための最低限の出場をしてさっさと出場権を勝ち取りあとは高額賞金のイベントに出るのです。日本の選手たちに強いアメリカの選手と常に同じ舞台で戦わせて競わせたくても全日本スキー連盟や日本オリンピック委員会の意向で不可能なのです。

いくつ競技団体があろうとも日本の選手にとってもアメリカの選手にとってもオリンピックはやはり世界最高の舞台です。その舞台で表彰台に立つためにやるべきことは日本とアメリカではずいぶん違うようです。

僕自身がコーチだった時代に現時点で最高といわれるアメリカの選手がFISのワールドカップには出場せず高額賞金のイベントにばかり出てしまい、どうしても自分の選手をそういうレベルの高いところで競技させたくて、選手はプライベートで大会出場、コーチは視察を目的で予算を取りプロの大会に行かせてくれと全日本スキー連盟のスノーボード担当理事に掛け合ったことがありましたが、日本オリンピック委員会から補助金をいただいている関係でそんなことは全く無理だと一蹴されたことがありました。

ソルトレイク代表になったA君は、他のプロの友人が高額賞金の大会にばんばん出て雑誌を賑わせているのに、自分は目立たないFISのワールドカップをスケジュールに縛られながら転戦して、もういやだ、オリンピックなんてどうでも良い、プロの大会の方でやっていきたいと嘆いていたことがありました。
そんなとき僕は、
「スノーボードの雑誌を賑わせてもそれだけだぞ。オリンピックにでたら近所の八百屋のおばちゃんだっておまえのことを知ってくれるぞ、そのぐらいオリンピックの影響力は大きいぞ、絶対におまえの将来に繋がるぞ、プロの大会で賞金稼ぐのはオリンピック終わってからにしろ」
と説得しました。

今回の国母君の服装問題と似たようなことがソルトレイクオリンピックの時にもおきました。
僕の目から見ても今までで最高の滑りをしたB君の得点がいまいちで、メダルの期待があったのですが、アメリカに金銀銅を持って行かれ5位入賞で終わりました。当時高校生で元々シャイなB君、このときの得点は本人にも納得いかずふてくされモードで宿舎に帰りたいと僕に訴えました。競技が終わった選手は記者団のうじゃうじゃいるジグザグの通路を通り取材を受け、それから選手控え室に戻るというのが通常です。が、かなり落ち込んでいるので僕が彼をガードしてすべての記者を退け、控え室に戻らず車を出して宿舎に戻りました。
宿舎では自室に帰らず誰とも話をせずただコーチ部屋のソファーに膝を抱えて座っておりました。

B君に取材を受けるように伝えてくれとの担当理事から電話がかかり、B君に話すと、いまはそっとしておいてほしいと。その気持ちはすごくよく分かり、取材拒否の旨を担当理事に伝えました。
すると夕刻担当理事がコーチ部屋に来て直接説得。「取材を受けることも選手の仕事だ」とか、「誰のおかげでここにこれたのか」とか最後は「俺に恥をかかせるのか」などなど、、、、、B君は沈黙。スタッフも全員何も言わず。僕だけ「理事、今日は勘弁してやってください」と、すると理事は「よしわかった」と部屋を立ち去りました。

その後コーチ全員理事の部屋に集合との連絡が来て部屋に行くと
「おまえらは選手に何を指導しているのか」「俺がどれだけ頭を下げて金をかき集めてここに来させてやっているのに恥をかかせやがって」とコーチ全員の前でしたが唯一口答えをした僕に対しての叱責でした。
解散の時に、「今晩、打ち上げ行くぞ」と、そして「古川、おまえは来ないよな」と、、、、
そのとき僕は、ああこれでクビだなあと直感しました。

僕は、その後B君にどうしても今日の結果を納得してもらいたくジャッジに話を聞こうと、一人だけいる日本人のジャッジに連絡を取り夕食の約束を取り付け、いやがるB君と友人のC君をつれてチームの車でジャッジの泊まるホテルへ。ちょうどそこに全日本の技術員会の委員長もいたので(B君が信頼していた数少ない大人)同席してもらいソルトレイク市内のレストランに行きました。
ジャッジは今日の採点を細かくB君に説明してくれ、深夜の三時デニーズでコーヒーを飲む頃には今日の滑りの問題点を納得して理解してくれました。

ソルトレイクから帰国後、経費の精算をしに全日本スキー連盟に行き、次の大会、札幌でのワールドカップの書類と経費を預かっていこうとしたら書類に僕の名がありません。事務局の人もおかしいなあと。
そうなんです。クビにするのも面と向かって言わず書類上で名が消えていくのです。

大会終了後、勝てなかった選手はお偉いさんたちにとってはもうゴミです。だれもシャイな高校生の競技後の気持ちなど考えない。だれもそれをケアしようとしない。日本のスポーツの世界なんてこんな程度です。世の中が変化しスポーツの世界も変化しているのに、いまだにアマチュアリズムやスポーツマン精神、たてまえや、お偉いさんのメンツの方が一競技者より優先されます。まだ若い一選手に日本というものを背負わせるのは重すぎると思います。スポーツマン精神は競技者のなかから生まれるものなのにいつのまにか一般大衆の価値観で決められてしまっているようです。
国母君の服装のみだれって何処が基準なんでしょうか?ユニフォームの日の丸をはぎ取った訳じゃないし、一個人の価値観を押しつけすぎなんじゃないでしょうか?
世界の頂点に立てるような選手に普通の価値観を押しつける方が無理ってものです。

※日本選手団公式服装着用規定「(着用の規定) 第2条 日本選手団に認定された者は、自覚と誇りを持って公式服装を着用しなければならない」

僕がナショナルチームから去った頃に国母君の活躍が目立ってきました。当時はちっちゃいのにずいぶん飛ぶなあという印象でした。
直接話をしたこともありませんが、犯罪を犯した訳じゃないし、競技とは直接関係ない服装規定なるルールやくだらないお偉方のメンツなど適当にいなして自分のスタイルのすばらしい演技をしてもらいたいと思います。

オリンピックで本当にメダルを取るには競技者の努力だけでなく運営する団体側にも変えていかなければならない事柄があると思います。

意味のないアマチュアリズムを消し去る。現代の勝利には金がかかります、お偉いさん方は金だけ出して口出しせず若い人たちの活躍をにこにこ見守っていればよいのです。そして団体間の垣根をとる(ほとんどお偉いさんのメンツだけなのでこれらを無くすまたは我慢すればよいのです)
どこから補助金が出ていようとも選手にとって最良のイベントに参加させ最高レベルの選手同士で競わせる、
日本にかけているのはこれらの点だと思います。

実名を出してしまったA君、B君、C君、国母君へ、それぞれの道でがんばって活躍してもらいたい。
僕は彼らのスタイルが大好きです。

余談。
ソルトレイク後クビになった僕はみんなの顔が見たくて大会運営側のスタッフとして札幌の大会に行きました。
仲良くしていたスウェーデンチームのコーチといろいろ話したのですが
「ソルトレイク終わってスウェーデンに帰ってから日本に来たの?」
「いや、スノーボードのイベントのあと、ずっとソルトレイクにいてオリンピックを堪能して閉会式も出たよ。」
「ええ!いいなあ!僕らは予算がないからとイベント翌日、エコノミークラスで帰国したよ。」
「閉会式後はロサンゼルスで遊んで、そのあとワイキキで遊んでそれから札幌入りしたんだよ。」
「おまえら金持ちだなあ」
「いやいや、スウェーデンオリンピック委員会のスポンサーのボルボがご褒美に全額出してくれたよ。」
「へえすごいなあ。僕らは全日本のスポンサーのANAに乗れず、日本オリンピック委員会のメインキャリアJALのエコノミーにすし詰めで帰ってきたよ。ANAだったらがんばった選手ぐらいビジネスにしてくれただろうになあ。」

※引用元
http://homepage.mac.com/dorichan/iblog/B967545526/C1452158473/E20100212144856/index.html


‥‥そんなワケで、あたしは、昨日の日記で、江川紹子さんのツイッターのつぶやきを紹介して、その中に、スキー連盟の市原則之専務理事の無責任な発言も含まれてたけど、この元コーチの文章を読んだら、こんな最悪な理事がふんぞり返ってるようなスキー連盟が牛耳ってるオリンピックチームなんて、すでに終わってるって感じた。だって、この人たちの目的は、素晴らしい選手を育成することでも何でもなくて、お国のために1つでも多くメダルを獲ることだけで、選手なんてガスが切れたらポイ捨てする100円ライターくらいにしか思ってないってことが分かったからだ。さらに言えば、国民にカビの生えたナショナリズムを植えつけるための道具として、スポーツを政治利用してるようにも思えて来る。だから、あたしは、もう一度言う。がんばれ!国母選手!こんなファッキンなヤツラなんか、実力で見返してやれ!メダルを獲って、市原理事の鼻の穴に中指を突っ込んでやれ!‥‥って思った今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いしま~す♪
  ↓




|

« ミニーときっこの冬季オリンピック(笑) | トップページ | 克服手袋 »