共鳴

Acrobats, India, Tamil Nadu, Thanjavur, Los Angeles County Museum of Art
長年の訓練なしでは、驚くような曲芸ができるようにはならない。何の予兆もなく、突然幻聴が聞こえてきたら、戸惑わないわけにはいかないだろう。統合失調症はおそらく出生前に始まっているが、通常は思春期後期または若年成人期になるまで症状は現れない。症状としての幻聴は大変厄介だ。患者は、自分に向けて厳しく批判する声、ときにはののしるような声を聞く。患者は、テレビやラジオから自分だけが特別なメッセージを受け取っていると感じたり、他人に自分の心をコントロールされていると感じたりすることがある。社会的な交流から遠ざかり、何かをしようという動機が欠如するようになることもある、とされる。
前コロンビア大学教授エリック・R・カンデル著「脳科学で解く心の病」(築地書館)によれば、統合失調症はおそらく出生前に始まっているが、通常は思春期後期または若年成人期になるまで症状は現れない。統合失調症には、脳の異なる領域の異常に起因する三つのタイプの症状がある。「陽性症状」は、患者が最初に認識することが多く、統合失調症の典型的な症状と見なされることが多い。「陽性」と呼ばれるのは「よい」という意味ではなく、患者にとって新しい行動であるという意味だ。幻覚症状は最も一般的な陽性症状で、視覚的にも聴覚的にも現れる。幻聴は大変厄介だ。患者は、自分に向けて厳しく批判する声、ときにはののしるような声を聞く。よくある妄想のもう一つのタイプは、指示や支配を伴う。患者は、テレビやラジオから自分だけが特別なメッセージを受け取っていると感じたり、他人に自分の心をコントロールされていると感じたりすることがある。統合失調症の「陰性症状」が現れると、社会的な交流から遠ざかり、何かをしようという動機が欠如するようになる。動機の欠如は、元気がなくぼんやりした状態や、何事にも無関心な状態から明らかになる。「認知機能に関連した症状」は、思考をまとめたり、思考の流れを追ったりすることができなくなる。また、仕事や他の人との関係を継続するために必要な、日常的な行動ができなくなることがある。その結果、仕事を続けたり、結婚したり、子育てしたりするのが困難になる、という。
統合失調症は、通常は思春期後期または若年成人期になるまで症状は現れない。その「陽性症状」で、典型的なのは視覚的または聴覚的幻覚症状だ。若者が、神から自分だけが特別のメッセージを受け取ったと感じたとしたら、それは栄光の証ではなく、単に統合失調症の陽性症状だということになるだろう。13歳の少女が、「フランスを救うのは、お前だ」という神の言葉を聞いたとしたら、それは、やはり陽性症状だという可能性が濃厚だ。つまり、外部からの情報入力は事実としては何もないにもかかわらず、外部から特別の情報が入ったかのように脳内で勝手に情報を再構成してしまったということだ。客観的には嘘に他ならない。しかし、そうではあっても、彼女の登場とその言葉がフランス軍に共鳴し彼らの士気を高め、イングランド軍によるオルレアンの包囲を解くに至らせたという15世紀の劇的事実そのものが、否定されるわけではない。それは、嘘にまみれたトランプの言葉や歪んだ世界像が、どのようなものであっても、トランプ支持者に響いてしまうのと同じだ。