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2015年6月14日 (日)

鎌田實の一日一冊(237)

「家族シネマ」(柳美里著、講談社文庫)
代表作「命」三部作を読んで、すごい作家がいるなと思った。
これは、1997年の芥川賞受賞作品。
家族から解き放たれようと思う主人公は、おそらく著者自身だろう。
壊れてしまった家族と、元に戻そうとする父親。
家族というやっかいな病気の、いいことも悪いこともこの作品に描かれている。

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自由に生きるということはどういうことか、考えさせられる作品である。
最後の母の言葉が胸に迫ってくる。
「これであんたも一人になれたわね。家を抜けられたのよ」
人間はさびしい生き物である。
だから、だれかと一緒にいたいと思う一方で、一人でいたいという思いもせめぎ合う。
縛り合わないような家族でいたいと思いながら、そう簡単なものでもない。
それそれがまず自立することが、大事なのだろう。
柳美里の作家魂が見事に現れている。
柳さんは鎌倉の家を売り、南相馬に引っ越しをしたという。
南相馬に行ったときには、会いたいなと何となく思っている。

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