本から始まることもある

読書に関わるエッセイです

小説のみならず~忘れながら生きる~



「忘れながら生きる」

「老いと収納」


        群ようこ



「忘れながら生きる」


❜❜読書日記❜❜で検索したら出てきたので、早速手に入れた。(いつもの古本屋で)


2000年に刊行されたものを改題して文庫化したものと記されている。


とにかく選択の幅が広いと感心する。そうだよな。本って、小説ばかりでは無いし、とあらためて思う。


この方は編み物をやり、縫い物も苦でなく、それ関連の本を収集、愛読しているらしい。私ときたら、唐突に興味を持ったかぎ編みのやりかたを、たいそうな道具を揃えても続くかわからんしな、と適当にネットを漁り、ダイソーで揃えた道具を構えて何となく編み方を見て、何故1段ごとに目が増えるんだ?と首を傾げ、程なくしてフェイドアウトしていた。


きちんとした本を手元に持っていれば、今もせっせと真っ直ぐ位は編めるようになっていたかも知れない。初心者用のカバン1つくらいは作ろうとしたかもしれない。


……もう暫くは興味が持てないけど。編み物は、認知症予防や鬱予防にいいらしい。


万が一、編まれたカバンか何かが欲しくなったら、ミンネでプロ級の誰かから有難く買わせて頂くことにした。


写真集や画集、実用書を買うことはめったにない。夜、寝る前に手に取るのも当然小説となってしまう訳だけど、幸せを感じられそうな写真集やそれこそこの方のように作りたくなるレシピ本もアリなのかもしれない。


読んでいる小説の内容を引きずってなのか、たまに逃げまくる(でも足が動かなくて逃げられない)という夢を見る。眠ったのに目覚めから疲労感しかない。幸せを呼び寄せる本は考えようかと思う。例え、夢の中だけでも。


夜寝る前に眺めると幸せになる、もしくは幸せな夢を見ることが出来る写真集などありそうだけど……あるのか。


少し前に子供がヴェルサイユ宮殿の写真集を買っていた。高かったそうだから、見たいとは言えずにページを捲る子供の横でチラ見するのが精一杯。なんでも、ヴェルサイユ宮殿専属カメラマンが撮影したものらしい。宮殿を知り尽くしたカメラマンだから、とても美しくて細かい。ドアの取っ手のドアップがあり、こんなの宮殿を見に行ったとしてもじっくりは見ないよな、な場所が(多分)満載。


欲しい本が買える幸せについての話もあったけど、私には欲しい本がホイホイ買える日は来ない気がする。買えたらいいなぁとは思うけど。買える日が来たらいいなぁと願うのも幸せだと不意に思った。


後半は、普通のエッセイになっていて当然愉快。しかし、本は登場してこない。前半は、その月に買った本が載っている。やっぱり人が買った本を知るのは楽しい。



「老いと収納」


ついでに同じ作者の本を、と思って買ったのが運の尽き、またミニマル心に火がついて、チョイチョイと手放しを実施した。


まずショートブーツ。ここ10年以上は、スニーカー一辺倒だったのだけど、3 年程前に子供が履くブーツを見て、いいなあ、と思い、つい出来心で自分も短い物を買った。ワンシーズンは履いたのだけど、遠出をした際の帰りに電車の中で何度も足首をグルグルしたくなる程度には疲れる気がして翌年には履かなくなった。


車の免許を持たない自分にとっては歩く足しか武器がないから、履きやすくかつ安全第一の傾向は今後も強まるばかりと思われて手放した。


あとは、かぶりタイプの下着。洗い過ぎて伸びたものと思われ、バンザイするとズリっと上がってしまうから、別のものに買い換えたのだけど、もしかしたら何かに使うかも知れない。(何にだよ)


と引き出しの中で丸められていた物2枚も紙に包んで手放した。


周りを見渡せば、家族の物がウジャウジャとあるけれども、それはそれで目をつぶる。


服に関しては作中にも書かれている通りに、重い物や着づらい物は選ばなくなった。それに気付いて振り切れた時点でかなりの物を減らせた。


今時期で例えるなら、ハイネックの下着とその上に着るカットソーがそれぞれ3組あって、それを回すのみ。下はデニムパンツを全て手放して、スウエットパンツのみ。お出かけの時には、レッグウォーマーを重ねる。


ファッション自体は好きだから、色々見てしまうけど、持ちたいとは思わない、買いたいとは思わない。特に冬物は嵩張る。


いつもこれから運動をするような格好をしているから、運動神経が良さげな印象を周りに与えるらしいけど、歩くことしかできません、とその都度訂正をしている。


そういえば、期間は半年程だけどlivedoorのブログを使って手放しを行ったことがある。毎日毎日何かしら捨てて、写真を撮り、コメント書いて、みたいなことをしていた。


ある程度物を減らすことが出来たから、そのブログは消してしまったけど。


物価が高くなっているから、なんでもかんでも捨てていいとは全く思わないけど、自分の身動きの為や周りへの配慮の為に大規模な棚卸しをする時って人生に何度かあるよね、とは考える。


この方は、マンションの大規模修繕工事がきっかけだったそうだ。

嘘な作り話、でしょ~フェイクフィクション~




2日に買った本の第2弾は誉田哲也「フェイクフィクション」。


久しぶりに作者の本を読む。

ほーんと久しぶり。「ストロベリーナイト」から始まり、姫川シリーズは「ブルーマーダー」まで読んだ。

「ドルチェ」を読んで、しばらくあいて、「あなたが愛した記憶」を読んで、時間潰しで入った古本屋で「ジウⅠ」を買ってホテルで読んだ…以来だ。


あれほどグロ系が好きだったのにいつからか、手が伸びない。腰が引けるようになった。子どもが年頃になった頃からか。痛い思いなどせずに平和に、普通に生きていければと願うからか。


……いや、ただ単に飽きただけだ。少し前まで推理小説全般に飽きた。殺されて犯人探して…全部同じじゃないか、と。


原因はわかっている。シリーズをつい一気読みしてしまうからだ。


グロ話しに戻すと、ジェフリー・ディーヴァーの「ボーン・コレクター」から始まるリンカーン・ライムシリーズは飛び飛びながら読んだし、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」のハンニバルシリーズは特に大好物。


違う、訂正。上記2つはグロではなく、猟奇的表現かも。


どっちにしても、誉田哲也は別格だ。ストロベリーナイトの何がすごいって残虐シーンが容易に想像できるところだ。バッドに釘を刺したようなものを振り回して鼻をもいでいるな、とか。


最後に読んだブルーマーダーは(マイルドに言ったとしても)トンカチみたいなもので人を叩きまくって、コンパクトにして遺棄するとかではなかったかな。かなり前に読んだから記憶が怪しいけど。


グロい描写が上手いなと思う作家は他にもいるけれど、プロの作家たるもの書こうと思えば誰でも書けるのかも知れない。ただ書かないだけで。



このお話、画像にある帯の通りのお話なのだけど、主軸は、訳ありの警察官、「チャンピオン」の見習い餡子職人、漢なヤクザの3人である。


餡子職人とヤクザはいいキャラクター。特に餡子職人のブタゴリラ、もとい、猿豚顔は応援したくなる。ヤクザは私のような凡人が理想とするヤクザ。そして、警察官には最後に...騙される。見られているようで見ていた…な。



一気読みをした。一時、誉田哲也から離れたのは、姫川シリーズに満腹感を得ていたからなのかも知れない。


たまたま同じ集英社文庫から出ていたから思い出したのだけど、「あなたが愛した記憶」に作者らしからぬ意外性を感じて、調べて、なるほどと納得をしたことがある。


冒頭書き出しは、凌辱シーンでしかも女性の親指がない、最終的に絞め殺す。というような、この方の真骨頂的にグロいのだけど、目の前の女を妊娠させたい。それが自分が生き続ける術だから、というホラーというか伝奇というかの内容だった気がする。最後は少し切ない終わり方だったような。


警察メインの現代推理小説しかイメージしていなかった作者なのに、予想外の非現実的な設定だったから、作者の経歴を確認したら、伝奇・ホラーデビューということだった。


青春ものもかなり以前から書いているらしいから、次の誉田哲也作品はそちらにしてみようと考える。

世田谷文学館に行く ~世界でいちばん孤独な夜に~



7日に世田谷文学館に行った。開催している寺山修司展に誘われたからだ。詩人だよ、と聞いていたけれど、それのみならず映画制作や劇団の立ち上げもしている。しかも先駆的な内容で興奮した。


今の若者にも人気があるという。同じ時代に生きて生で舞台を観たかったと望む人が多いらしい。


有名な方のはず。年齢的に少し上ではあるけれど、知っていておかしくない。でも、知らなかった。


私にとってアルアルの1つが、わーすごい。好きかも。と知った時にはもうすでに解散していたり亡くなっていたりすることが多々ある。


若い頃は特にそうだった。オフコースだったり、BOOWYだったり。要は、私の感度は世の中のアンテナと周波数が大幅にズレているのだ。


ポスターが今でも通用する程オシャレ。確かに、これは生で見たいかも。


美輪明宏さんが主演のものもある。「毛皮のマリー」は聞いたことがある。内容は知らなかったけど。男娼のお話のようだ。


この本は館内ショップで記念に買ってみた。人気のある言葉を抜粋したもののようだ。物語であったり、詩であったり。


詩は何を楽しむものなのだろう。詩というジャンルは普段は手に取らない。何も考えずに文字を追いたい時にいいかも。


「ことばは老いないが、すぐに亡びるよ」とあったり「一行のことばが、ほかの一行のことばの母になる」とあったり。(本内引用)


文字が好きだから、そんな言葉に目が留まる。







しかし、もっともーっと未知との出会いがあった。それは「ムットーニ」。


一言で述べるのならば「カラクリ立体芝居ミュージックボックス」かな。


こちらも知っている人は知っているのだろう。CMに使われたこともあるようだし。


私は知らなかったけど。


私と同様に知らない人がいたならば、是非YouTubeで観て欲しい。一部の短いものならあったので。


この文学館にはライブラリーがあって、そこにはムットーニの書籍があったから、館内ショップにも置いてあるかと思ったら、なかった。子供はDVDを買っていた。


世田谷文学館では10の作品を所蔵していて、定期的に内容を変えて上演しているようだ。他の作品も見たい。是非、ナマで!!