知らない間に手持ちのポータブルな電子機器が増えまくりの俺。今時的なポータブルな機器──iPodとかケータイとかゲーム機とかって、みんなUSB充電対応なんですな。じゃあ、てなわけで、これらに共通して充電できる装置を使い始めた。
ここしばらくの間、なんかドドドッと“ポータブルUSB機器に充電可能なポータブルな電源”系の製品が出てきた。具体的には、ソニーのEnergyLINK、パナソニックのポケパワー、サンヨーのeneloop mobile boosterあたり。どれも、給電可能なUSBポートを持つ予備電源で、多くのUSB充電対応機器対して充電を行なえる。
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ソニーの多機能ポータブル充電器ことEnergyLINK(CP-3H2K)。USB対応予備電源、ニッケル水素電池の充電器、USB出力可能なACアダプタとして使える、一台三役の多機能製品だ
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ナショナル改めパナソニックのポケパワー(BQ-600K/F)。小型の予備電源部分と、実用上便利な充電用クレイドル(左)から成る製品である
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サンヨーのeneloop mobile booster各種。用途や機能に応じて選べる3機種がラインナップされている
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頻繁に、ではナイんですけど、時々、自宅での充電とか忘れて出かけて、iPodやケータイが電池残量ギリギリ状態になったりする。そーゆー時に限って、これら機器を使いたいモードになりがちだったりしますな。マーフィーの法則!? ともあれ、そういう状況で、電池残量不足を解消したいゼ、と。この要望を満たすのが、上記の製品群である。要は、USB充電対応機器に対し、緊急的に充電を行なえる、携帯OK&単独で機能する電源ってわけですな。
てコトで今回は、これら各種のポータブル予備電源の機能や使用感についてレポートしてみたい。
■ ソニー EnergyLINK CP-3H2K
まずはソニーのEnergyLINK(CP-3H2K)。一台三役の製品で、ニッケル水素電池用の急速充電器となり、USB給電OKな予備電源となり、USB給電可能なACアダプタとしても使える。
給電時間は約60分で、適合電池はサイクルエナジーブルー(NH-AA;eneloopのOEM品?)。充電器・ACアダプタとしての入力対応電圧はAC100~240ボルト・50~60Hzで、適合電池1~2本の充電時間は約3時間となっている。
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小型の手帳程度のサイズだが、他の予備電源と比べると大きめのサイズだ。電源としては単三形ニッケル水素電池(サイクルエナジーブルー)×2本を採用。USB給電時間は約60分となる
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本体裏側に電池を入れる。本体をコンセントに挿せば急速充電器になる。コンセントに挿した状態なら、電池を入れなくてもUSBポート出力を使える=USB給電用のACアダプタとしても機能する。なお、コンセントに挿すプラグは本体に格納される
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差し替え式のcdmaOne、FOMA、PDCに対応したプラグと、専用USBケーブルが付属する。全キャリア対応のケータイ充電用アダプタ付きってわけですな。USBポートから給電する場合は、写真に見えるスライドスイッチを操作する
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使っていて便利なのは、常時何だかんだで役立つこと。いつもは単三ニッケル水素電池用(適合電池はサイクルエナジーブルーですけど)の急速充電器として、あるいは、コンセントからUSB電源を確保できるACアダプタとして使える。で、電池入れて持ち出せば、出先でのUSB充電機器用の予備電源としても役立つ。
このテの予備電源を試しに使ってみたい、てな人にはオススメできますな。やっぱ予備電源いらねーや、ってコトになっても、USB給電用ACアダプタになるし、単純に急速充電池にもなるし。
しかし、ポータブル予備電源として常用するにはデカいですな。パナソニックやサンヨーの製品と比べちゃうと、ん~、EnergyLINKは持ち歩きに不利ですのう、という結論に至りがち。
ただし、本体そのものがフツーのコンセントに挿せる充電器として機能するので、旅行・出張時にはEnergyLINKがナイスな選択になる可能性もある。予備電源として使えればいいだけでなく、予備電源そのものの再充電が必要になった場合、パナソニックやサンヨーの製品だと専用クレイドルが必要だったり、あるいはUSB給電可能なACアダプタ等が別途必要になるからだ。
個人的にはけっこー好きかもEnergyLINK。シンプルだし実用的な多機能さがあるし。ニッケル水素電池×2本でUSBポート出力(5ボルト・500mA)が得られるって点が、恐らく技術的なトレンドなんだと思うが、ニッケル水素電池×4本を充電したり電源として使える仕様にしてくれたほーが(どーせこのサイズなら)嬉しいような気分でもある。
■ パナソニック ポケパワー BQ-600K/F
続いてパナソニックのポケパワー。予備電源部と充電器から成る製品で、ケータイを充電できるコードが付属する。ちなみに、BQ-600K/FとBQ-600K/Aの2種類があり、末尾にFが付く製品にFOMAとソフトバンク3G対応のコードが、Aが付く製品にau CDMA 1X/1X WIN対応のものが付属する。
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十分にポケッタブルと言える本体。右側面下にUSBポートがある。電源としては、付属のニッケル水素電池の他、アルカリ乾電池やオキシライド乾電池も使える
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付属のケータイ充電用コード(FOMA/ソフトバンク3G用)のUSBコネクタ部は標準的な形状だが、特異な出っ張りがあるので他のUSB式予備電源に挿せないケースも多い。なお、本体の電池蓋は取り外し式。わりと扱いやすい
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ニッケル水素電池に対する充電は付属のクレイドルを経由して行なう。クレイドルも小型で持ち運び可能なサイズだが、ACケーブルが長めなので携帯時は嵩張るかも
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ポケパワーの特徴は、本体が比較的に小型であることと、電源としてニッケル水素電池に加えてアルカリ乾電池やオキシライド乾電池が使えるということ。専用の充電クレイドルが付属しているのも特徴ですな。
ちなみに、給電時間等は、ニッケル水素電池使用時は5ボルト・500mAで約70分、オキシライド乾電池なら5ボルト・250mAで約80分、アルカリ乾電池なら5ボルト・250mAで約50分。また、付属のニッケル水素電池(HHR-3MPS)への充電時間は約240分となっている。
大雑把な言い方をすれば、ポケパワーは、ソニーのとサンヨーのとの中間に位置する製品って感じかも。ソニーのはデカいけどけっこーな汎用性があり、サンヨーのは小さい(モノによっては少し大きめ)だけど充電に関する面倒(後述)がある。
ポケパワーは、携帯するに好ましいサイズだし、ニッケル水素電池用充電器にもなるし、モノとしてシンプルで扱いやすい。電源として使える電池の種類が多いって点では、予備電源としての汎用性が非常に高い。わりと多くの人が違和感なく使える予備電源かもしんない、と思ったりする拙者だ。
ただ、なんか、付属のケータイ接続ケーブルの取っ手部分が妙なカタチで、他のUSB給電機器との接続性が低めなところが残念である。また、せっかくクレイドルがあるなら、クレイドルからUSBポート出力が取り出せたら(つまりUSB給電用ACアダプタとしても機能したら)良かったのに、とか思った。
■ サンヨー eneloop mobile booster
最後に、サンヨーのeneloop mobile booster。3種類あって、電源としてeneloopを使うKBC-E1S、電源に内蔵のリチウムイオン電池を使うKBC-L2SとKBC-L3Sがある。
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eneloop mobile boosterのKBC-E1S。単三形eneloop×2本を電源として利用する予備電源だ。本体上面に給電用USBポートおよび充電用USBポート(USBミニ)がある
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電源として内蔵リチウムイオンバッテリーを採用している2機種。大きい方がKBC-L2S、小さい方がKBC-L3Sとなる。サイズ以外に、電池容量、USBポート数、充電方式が若干異なる
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まず、電源としてリチウムイオン電池を内蔵するKBC-L2SとKBC-L3Sから。似たよーな機能で電池容量違い!? とか思ったが、そうなんですけど、使い勝手に若干の違いがある。
KBC-L2Sには、5000mAhのリチウムイオン電池が内蔵されている。給電用のUSB端子がふたつあり、ふたつの機器を同時に充電することができる。出力時間は、1端子のみ出力した場合は約240分で、2端子同時に出力した場合は約120分となる。また、本体の充電はUSB給電可能な他の機器とUSB接続するか、付属のACアダプタを接続して行なう。
KBC-L3Sは、容量2500mAhのリチウムイオン電池を内蔵する。USBポートはひとつで、出力時間は約120分。前述のKBC-L2Sの予備電源としての機能を半分にした、てなイメージですな。なお、充電は他のUSB給電可能な機器と接続して行なうことになる。
これら2機種、大きいほーの重さは約130gで、小さいほーは約70g。上記のスペックの違いと、この重さ的ポータビリティを考えて、さぁどっち!? とかなるわけだが、購入時はさらによく考えるべき点が。それは充電の手間である。
小さいほーはUSB機器からしか充電できない。大きいほーはUSB機器からでも専用ACアダプタ(付属品)からでも充電できる。充電時間は、小さいほーは(USB経由のみ)で約7時間かかる。大きいほーはUSB経由だと約14時間かかり、ACアダプタを使っても約7時間かかる。ま、両方とも共通して(空の状態から満充電に至るまで)最大約7時間かかるってわけですな。
少なからぬケースで、充電がタルいかもしれない。約7時間、とはいかないまでも、サクッと過ぎる充電時間ではないので、使用目的・頻度に合わせてよーく考えないと、みたいな。
ちなみに、ソニーのが最大約3時間で、パナソニックのが最大約4時間って感じ。これらはコンセントから充電できる(ていうかコンセントからしか充電できない)わけだが、ま、挿しっぱなしで充電完了という気楽さがある。
一方、eneloop mobile boosterの場合、KBC-L2Sなら付属ACアダプタでコンセント挿しっぱなし感覚で充電が済むものの、KBC-L3Sは充電中パソコン等をオンにしっぱなしorUSB給電用ACアダプタor常時バスパワー給電するUSBハブ等がないと……、というわけだ。
KBC-L2SやKBC-L3Sは、小型・軽量・大容量のリチウムイオン電池を電源として使うナイスな予備電源であり、タフな予備電源としてイイ感じなのだが、充電時のプチ不便さを考慮しないとヤバげかもしれない。
同じくeneloop mobile booster仲間であるKBC-E1Sは、電源として単三形eneloop×2本使う。本体は充電器としても機能するが、充電時の電源はUSBバスパワー。急速充電器的な動作はしてくれないため、充電時間はeneloop×1本の時は約140分、2本の時は約280分かかる。が、本体内からeneloopを取り出して、適宜急速充電を行なえたりする利便があるので、実質、さほど充電の手間(っていうか、かかる時間)を考慮しなくても良いKBC-E1Sかもしんない。
■ 結局、どれがいいの?
ソニーのとパナソニックのとサンヨーのを全部買った俺の場合、気分次第でテキトーに使い分けたり予備電源を持て余したりしているが、普通一般平均的にオススメできるのは、やっぱ電源としてニッケル水素電池を採用しているタイプかなぁ、と。
eneloopが登場した現在、「予備電源用の電源もなくなった」という状態でも、代替えのeneloop買えば(製造後2年以内のパッケージであれば電池残量が十分あるので)、即、電源として使えるからだ。出先ですぐ電源が手に入る、という意味ではパナソニックのポケパワーがイイ感じ──ニッケル水素電池にもアルカリ乾電池にもオキシライド乾電池にも対応しているので緊急時に幅広く対応できる。
なら、パナソニックのかナ!? と思ったりもするわけだが、なーんかですね、そうとも言い切れないトコロがあったりもする。特に拙者環境の場合では。
てのは、前述の各種予備電源を、手持ちの各種機器で使っている時のこと。よく使う(充電される側の)機器は、ケータイ、iPod classic、gigabeat MES60Vあたり。
で、まずeneloop mobile booster各機の場合、これらどの機器に対して充電してもヘンなコトは起きない。フツーに充電されているようで、充電される側の機器の表示等状態も問題ない。
が、パナソニックのポケパワーを使った場合、ポケパワー側電源の充電状態によって、gigabeatの充電表示に妙なコトが起きる。充電中マークが点滅したりするんですな。また、その時、ポケパワーのLEDも点滅してたりする。
それから、ソニーのEnergyLINKを使った場合、iPod充電時にややヘンな現象が。iPod側は一応充電されつつあるようなのだが、通常表示される小さな電池アイコン上の稲妻マークが出ないのだ。ちょっと気持ち悪い現象っス。
ちなみに、今回挙げている全製品について、ケータイへの充電でヘンなコトが起きた経験はない。あるいは、ポータブルオーディオプレイヤーって、給電のしきい値とかがけっこー違って、充電器との相性があったりするんだろうか?
まあ、そこまで細かいコトをグジャグジャ考えて使うモンじゃないんでしょうけどネ。動作面での細かいコト考えまくると、なんか、サンヨーのeneloop mobile boosterのKBC-E1Sがいいのかもしれない、とか思ったりする。ただ、用途や目的や、求める使用感によっては、そーゆー結論に至らないケースも多いと思われるので、やはり読者様各位、それぞれジックリ吟味して欲しいと思う拙者である。
■ URL
ソニーの「EnergyLINK」製品情報
http://www.ecat.sony.co.jp/battery/charger/acc/index.cfm?PD=27454&KM=CP-3H2K
パナソニックの「ポケパワー」製品情報
http://ctlg.national.jp/product/lineup.do?pg=03&scd=00005544
サンヨーの「eneloop mobile booster」製品情報
http://www.e-life-sanyo.com/list/upn10.html
2008/01/28 12:03
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