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もう1枚、液晶ディスプレイが欲しい
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。 |
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■ もう1枚、液晶ディスプレイが欲しい
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NECディスプレイソリューションズ MultiSync LCD2190UXi(BK)。21.3インチ・1,600×1,200ドット表示のプロ向け液晶ディスプレイで、メーカー希望小売価格は207,900円(税込)となっている
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拙者の周囲のプロカメラマンの間でプチ話題になっている液晶ディスプレイ、NECディスプレイソリューションズのMultiSync LCD2190UXi(BK)を試用してみた。ら、コレが思いの外、非常に良かったのであり、俺の手持ちの古め小さめの液晶ディスプレイが悲しい存在に見えてきたっていうか、このMultiSync LCD2190UXi(BK)がヒッジョーに良いと思えたので、ちょいとレポートしてみたい。
ちなみに、コトの発端はこんな感じである。
現在、俺が使っているメインマシン(デスクトップ機)以外のサブ機は、どれもノートPCだ。例えばDELLのInspiron 9300を多用中だが、コレ、液晶パネルが大型で高精細。17インチで1920×1200ドット(UXGA)表示だ。デスクトップと変わらない情報量を一望できて快適ではあるが、室内で腰を据えてこの液晶を見るとなると、やっぱり少々“高精細過ぎ”である。文字やアイコンが小さく、長時間使い続けると目が疲れちゃう(年齢の俺である)。
ので、室内でInspiron 9300を使うとき、快適&場合によってはデュアルディスプレイ環境で使えるように、ノートPCの外付け用液晶ディスプレイが欲しいなぁ、と考えていた。他のノートPCも同様、室内で使う場合、やはりより大きく見やすい表示が可能なように、外付けディスプレイの必要性を感じていた。
デスクトップ機に接続しているディスプレイにノートPCを接続すれば良い、のではあるが、デスクトップPCと違う場所で使うケースが多かったりする。それと、デスクトップPCの場所でノートPCを使う場合、双方を連携っつーか家庭内LAN環境を使いつつ併用するので、やはり新たに一枚、液晶ディスプレイが必要なキモチであった。
もうひとつ、単なる大型の液晶ディスプレイではなく、表示品質が高いものが欲しかった。ノートPCをデジカメ母艦とすることが少なくなく、その母艦の中の画像を、手っ取り早く高品位──正しい明暗階調・発色で見たかったからだ。ノートPC側の液晶に対して、一応キャリブレーションはかけているものの、デスクトップ機側に接続しているディスプレイで同じ画像を見ると、デスクトップ側の液晶のほーが色にも明るさにも違和感がないと感じる。
ちなみに、デスクトップ機に接続している液晶は、ナナオのFlexScan S2410WとColorEdge CG210で、こちらは完全にキャリブレーション済みだ。
拙者のメインデスクトップPCに接続された2枚の液晶ディスプレイ。手前から、ナナオFlexScan S2410W、同ColorEdge CG210。キャリブレータを使用して調整・色合わせ済みだ
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ともあれ、要は「ノートPCの液晶が小さめ・高精細で目が疲れがちっす。色はまあまあだけどColorEdge CG210と比べると……。なんかこう、デカくて高精細で発色とかも良くて、さらに高くナイお値段で買える液晶ないすかねえ」と相談したら、「ならNECのがいいヨ」とMultiSync LCD2190UXi(BK)情報を得た。ので試したら、コレがかなり良かったってワケですな。なお、MultiSync LCD2190UXi(BK)の詳細についてはNECディスプレイソリューションズの製品紹介ページにてご覧いただきたい。
■ シンプルで扱いやすい21.3型液晶
MultiSync LCD2190UXi(BK)(以下、LCD2190UXi)を借りた瞬間開梱して速攻で設置してみたところ、まだ電源入れてないのにナイス感が漂ったりした。
ひとつは、液晶ディスプレイとしてはあまり重視すべき点ではないのかもしれないが、持ち運びやすい=設置時の移動がラクであること。液晶パネル裏面上部に、ちょうど手を入れられる窪みがあり、ここに指の先を引っかけるとサクッと移動できる。
LCD2190UXi背面。軸の背部にケーブルを通すカバーが付いている。NECロゴの上に見えるのが、液晶ディスプレイを持ち運ぶための取っ手。これがあるため、スッと持ち上げて移動できる。ただし、このまま持ち上げると台座・軸部分が下に伸びてしまう
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ま、移動できると言っても、質量が約10.9kg(スタンド含む)あるので、女性にとっては重いハードウェアとはなる。が、このテの大型液晶ディスプレイで、これほど持ち運びしやすい機種って……非常に少ないのではないだろうか? 拙者の目的である、臨時的にいろいろな場所でノートPCと液晶ディスプレイをつないで使うという点では、利便性が高いギミックだ。
ってイキナリ寄り道したが、LCD2190UXiのスペックを少々ご紹介。コレ、液晶パネルサイズが21.3型(対角54センチ・横縦比4:3)で、表示画素数が1,600×1,200の液晶ディスプレイである。21.3型のUXGA表示で、画素ピッチが0.270ミリあるので、高精細とは言ってもドット自体は小さくない=文字やアイコンの表示サイズは(拙者観点において)ちょうどよく見やすい。
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アスペクト比は4:3。UXGA表示なのでウィンドウを多数開いても表示エリアが手狭にならない
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SA-SFTを採用しているため、左右178度・上下178度の視野角がある
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入力系統は3系統で、DVI-D、DVI-I、ミニD-SUB15ピンの3つのコネクタを持つ。例えば最大3台のPCと同時に接続し、表示を切り替えつつ使える。アナログ接続にもデジタル接続にも対応するDVI-I端子をひとつ持つので、デジタル接続2系統+アナログ接続1系統というパターンでも、デジタル接続1系統+アナログ接続2系統というパターンでも同時接続が可能だ。
実際に使ってみて便利だと感じるのは、前述の“取っ手”に加え、本体背面支柱部にあるケーブルカバーだ。って表示以外の部分にばかり興味を示す俺だが、このケーブルカバーがあるので、電源ケーブルやDVIケーブル類をスッキリと束ねて配線できてキモチイイのだ。
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入力系統は3系統と豊富。左からそれぞれ、DVI-D(デジタル入力専用)、DVI-I(デジタル・アナログ入力両対応)、D-SUB(アナログ入力専用)となる
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背面のケーブルカバーを外したところ。内部にケーブルを整理しつつ収納できる
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チルトおよびスイーベル機構を持つ。スイーベル時は、台座ごと回転する──台座の下にスイーベル機構が内蔵されていて、Y型の台座ごと液晶の向きに合わせて動く
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今時的液晶ディスプレイとして当然的機能である、液晶面のチルト・スイーベル機構も備える。上に30度、下に5度画面が傾き、さらに左右方向340度に首振りする。高さ調節は約15cmの範囲で行なえて、液晶面下部と机面の間は7cm~約22cmで調節可能だ。額縁部分は上下左右とも約15ミリ程度で、十分狭額縁と言えますな。他、画面を90度回転させてのポートレイト表示に対応し、VESA準拠規格100ミリピッチのアーム台座を取り付けることもできる。
てなわけで、ザッと設置してみた感触から言えば、外見は非常にシンプルながらも、スペック的にもハードウェア的にもキッチリ作られているというイメージだ。それと、21.3型・UXGAという大型・高精細液晶ディスプレイではあるが、なんかこう、設置感・存在感において威圧感っつーかデーンとした感じがしない。狭額縁であり、かつ、他多くの大型液晶ディスプレイと比べてより低い位置に画面をもってこられるからかもしれない。ともあれ、なんかこう、省スペースなイメージのLCD2190UXiである。
■ 画質的コストパフォーマンス
早速LCD2190UXiを使い始めた俺の血圧を高めたのは、LCD2190UXiの表示品質であった。これが、なんか、かなり、ヒジョーに高いと感じられた。
ていうか結論から言えば、LCD2190UXiって、メーカーの希望小売価格は207,900円(税込)だが、実勢価格16万円前後って感じであり、表示性能価格比が高いと感じる。NECディスプレイソリューションズ的には“プロ向け”であり“ハイスペックディスプレイ”だが、21インチくらいの液晶ディスプレイとしては、平均的な実勢価格だ。
んで、この実勢価格と表示品質を天秤にかけたりすると、これはもうちょいと奥さん、一見の価値アリですヨ!! と。表示クオリティ追求派にとって要チェックの一枚ですゼ旦那さん!! と。つーか、21.3型でUXGA表示で画質もキてる液晶ディスプレイがこのよーな価格で買えるってのは、俺にとってちょっとしたカルチャーショックと言えよう。
表示の良さに関しては、まあ見る人の価値基準にもあると思うので、実際に実機を見ていただくのが良いと思う。のだが、ご参考までに拙者的衝撃点を挙げるとすれば、何しろ明らか&一発で見える階調の豊かさだ。
例えばオレンジ~青~黒へと向かう夕景画像をジックリ見ていくと、とりわけ暗い部分の階調が滑らかかつ潤沢に表示されることがわかる。これまでは黒く潰れていたと思われたデジカメ画像とかだと、黒い部分は、実は超黒いトコロと黒いトコロとやや黒いところとプチ黒いところが集まるハーモニーであることがわかる。もちろん、黒や白、あるいは赤とか緑とか、そういう発色も(デフォルトで何ら設定をイジっていない状態で)正しく設定されていると感じる。
使っていく途中、前述の正しくキャリブレーション済みの拙者所有ディスプレイ(のスゲー高い方)と比べても、工場出荷状態で既に清く正しく美しい表示クオリティを持つと感じられるLCD2190UXi。コレをですね、手持ちのノートPCの表示とかと比較するとですね、アータ、これはもーある種の落胆ですよ哀しみですよ。
一応キャリブレーションしたと思っていた機種の表示が、微妙に青かった!! と同時に明るい部分も暗い部分も、表示される階調がずいぶん大雑把だった!! そしてコチラの超軽量ノートPCの表示におかれましては……なんじゃコリャ!? 故障だ故障!! とか取り乱すほど、清くも正しくも美しくもない表示がなされていたので世も末だなぁと思った。ていうか、プロカメラマンの人が「ならNECのがいいヨ」とLCD2190UXiを薦めたワケを理解した俺なのであった。
あ、それとこのLCD2190UXi、機能設定をディープに行えたりもする。LCD2190UXiの機能設定はOSD表示およびボタン操作により行うが、前述のとおり、工場出荷状態で十分にハイクオリティな表示をなす。ので、通常は単にOSDからブライトネス、コントラスト、色温度設定等々の基本的な項目をイジれば微調整を行える。さらに高度な設定を行えるアドバンストメニューも用意されており、これを使うと色温度やR、G、B、Y、M、Cのそれぞれの色相・彩度等を始めとしたすげー多彩な項目を細かく調整していける。
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OSD表示と操作ボタン類。直感的に扱いやすくデザインされている
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より高度な設定を行なうためのアドバンストメニュー。INPUTボタン右のボタンを押しつつ電源を入れることでアクセスできる
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なお、これらを調整する場合、LCD2190UXi前面右下のボタン類を操作するが(Visual Controllerを使えばPCから操作可能)、このボタン類およびOSDの使い勝手が非常に良かった。液晶ディスプレイのOSDって、多くの機種にてヤケに使いづれぇと感じる俺だが、LCD2190UXiのソレは、基本的な操作性が良い。これに加え、項目毎の初期値リセット機能なんかもサクッと使えるようなクイック感が好印象。たびたびOSD操作を行うユーザーでもイラつかない液晶ディスプレイだと思う。
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OSDを使っての設定。必要に応じて新たなウィンドウが開く。階層メニューとなっているが、表示がシンプルで見やすく、理解しやすい
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パネル右下にあるOSD操作ボタン。個々のボタンの機能は、その都度OSD表示される。パネル面をシンプルなデザインにしつつ実用性も高めたという、ちょいと斬新なギミックだ
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ディスプレイをポートレイト表示、つまり90度回転させた時のOSD操作ボタンとその表示。ボタン位置は右下から左下に移動するが、ボタンの操作性は変わらず扱いやすい
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■ 高性能を使い回してモトを取る、みたいな
LCD2190UXiを使ってみて思うに、きっとたぶん、フツーならばLCD2190UXiをデザイナーや写真家向きのプロ指向液晶ディスプレイだと考えるような気がする。てのは前述のとおり、表示品質が非常に高いからだ。
が、価格的には普通一般の21インチクラスの液晶ディスプレイとそーんなに変わらない。また、いわゆるプロ指向ディスプレイのように、ドーンとデカかったりゴツかったりするって印象もない。てなわけで、拙者はこのLCD2190UXiを汎用の液晶ディスプレイとして使ったり考えたりしている。
とですね、イイんですよコレが。ま、液晶ディスプレイとして肝心要の表示品位が超高いってコトで、どう使っても悪くはならないと思う。が、単純に大型・高精細液晶ディスプレイとして見ても、いろいろな点で便利に使える。
そのいくつかは前述した──取っ手が付いてるとか入力系統が豊富だとか、けっこー低い位置に画面をセットできるとか、いろいろある。これらに加え、やはり21.3インチで1,600×1,200ドット表示って、多くの用途でバランスの良い表示サイズ(ドットサイズと画面サイズ)だと感じる。文字やアイコンの表示が小さすぎるということも感じられないし、縦が1,200ドットあるので、テキスト系のアプリケーションを使う場合の同時に表示できる情報量も十分豊富だ。また横が1,600ドットあると、タイムラインやトラックがあるアプリ、つまり時間軸に沿ってデータを操作するビデオ編集ソフトや音楽ソフトを使っても快適。Webページの同時2枚表示なんかやってもイイですしネ。
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多数の時間軸トラックを扱う音楽ソフト(ACID PRO)の表示。縦にも横にも十分な表示領域があるので、こういった統合的ソフトも快適に使える
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Webページを2枚並べて表示することができるが、Watchの場合はバナー部分が切れますな。ちなみに、Yahoo! JAPAN(←Webページの左右幅の基準となったりしている)ならバナー等が切れることなく2ページ同時表示が可能だ
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つまりデジカメ画像やコンピュータグラフィックだけでなく、他のコトも快適に行えるサイズ・表示画素を持ち、しかもその表示が超美麗であり、さらにハンドリングがイージーってコトで、拙者は多目的液晶ディスプレイとしてのLCD2190UXiに魅力を感じている。
俺の場合、このLCD2190UXiをノートPCと接続しがち。前述のDELL Inspiron 9300にはDVI出力端子があり、LCD2190UXiとデジタル接続できる。で、LCD2190UXiをInspiron 9300用のデュアルディスプレイ用液晶としたりすると、何をするにも非常に快適になる。LCD2190UXiにはアナログ入力時の表示補正機能もあり、また前述のような画質調整用の多彩な機能を持つので、ノートPCとアナログ接続してのデュアルディスプレイ環境構築もけっこー現実的だと感じる。実際、アナログ出力しか持たない小型ノートPCをLCD2190UXiと接続するケースも多い拙者だが、LCD2190UXi側の設定をしっかり行なえば「アナログ接続だとこんなに表示がショボくなる」てなストレスはさほど感じない。
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Inspiron 9300と組み合わせてデュアルディスプレイ環境を構築。調べ物をしつつテキスト書いたりするには、こういうスタイルがラクだったりする
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Inspiron 9300と組み合わせてデュアルディスプレイ画像処理環境、みたいな。ファイルの処理はノートPC側の液晶で、レタッチや拡大表示はLCD2190UXiで、とするとより正しい色で画像を処理していける
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ただ、マルチメディアな感じのメインディスプレイとしてLCD2190UXiを考えると、ビミョーな部分もある。機能や画質は十分OKだと思うのだが、例えばUSBハブ機能がないとか、ワイド表示じゃないとか。いわゆるホームエンタテインメントPCに接続する液晶ディスプレイとしては、機能的にシンプル過ぎるのかもしれない。とは言っても、やはりその画質、サイズ、そして価格は魅力なんですけどね。
■ URL
NECディスプレイソリューションズ「MultiSync LCD2190UXi」製品情報
http://www.nec-display.com/products/model/lcd2190uxi/
2006/09/25 17:38
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ケータイWatch編集部 [email protected]
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