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第259回:A2DP とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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P902iではA2DPがサポートされている
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「A2DP」は、ケーブルの代わりに無線通信を活用するBluetoothのAVプロファイルの1つです。
有線のケーブルでも、「これはヘッドフォンのケーブル」「これはプリンターのケーブル」と用途によって、用いるケーブルが異なり、機器によって、どのケーブルを装着できるか違います。
Bluetoothでは、接続したい機械がお互いに同じプロファイルに対応していれば、その2台を無線で接続することができます。この接続のことをペアリングと言います。
A2DPは、“進化した音楽配信”を意味する「Advanced Audio Distribution Profile」の略で、Bluetoothの中でも「ハイクオリティオーディオ」のためのプロファイルとされています。モノラル、またはステレオでの音楽を、どのように送り、ヘッドセットやスピーカーに届けるかを規定しています。つまり、A2DP対応の携帯電話やオーディオプレーヤーと、同じくA2DP対応のワイヤレスヘッドセットやスピーカーをペアリングすると、ワイヤレスで互いの機器を接続して音楽を楽しめるというわけです。
既に発売されている日本国内の携帯電話では、NTTドコモのFOMA端末「P902i」がA2DPに対応しています。P902iは、SD-Audio対応で、MOOCSなどインターネット上のサービスで購入したり、CDからパソコンに取り込んだ音楽データを再生できますが、A2DP対応のワイヤレスヘッドセットを別途用意することで、この音楽をワイヤレスヘッドセットなどで再生することができることになります。
Bluetoothのヘッドセット用のプロファイルとしては他にはHSP(HeadSet Profile)なども存在していますが、A2DPでは、HSPの同期型音声パケット通信ではなく、さらに高音質であるように非同期でデータ転送を行なっています。これにより、データ転送効率を上げて音質の向上を目指しているのです。
P902iの場合は、A2DPとHSPに対応していますので、同じくA2DP/HSP両対応のヘッドセットを購入すれば、1つのヘッドセットでワイヤレスヘッドフォンとして音楽を楽しみ、携帯電話用ワイヤレスヘッドセットとして通話する、ということもできることになります。
■ A2DPの技術仕様
A2DPは、技術的には、BluetoothのACL(Asynchronous Connectionless link・非同期接続)チャネルで、音楽データをBluetoothの無線通信で送受信するためのプロファイル、ということになります。
Bluetoothのプロファイル群には、いくつかの種類がありますが、A2DPは、車載機器向けやAV機器向けに定められたプロファイルの1つです。Bluetooth 1.0では13種類のプロファイルが用意されていましたが、それらではカバーできない仕様を追加するために、バージョン1.1のプロファイルが2001年から順次リリースされました。
その中でもA2DPは、Audio/Videoプロファイル群に含まれます。他のAudio/Videoプロファイルとしては、AV機器のリモートコントロール用の「AVRCP」、テレビ電話や音声付画像のストリーミング配信用の「GAVDP」なども含まれています。
A2DPプロファイルは、基本プロファイルであるSPP(シリアルポートプロファイル)などの上に作られるプロファイルで、音声データはコーデックを利用して圧縮転送されます。コーデックとしては、「SBC(SubBand Codec)」が必須とされ、そのほかに「MPEG-1 オーディオ」「MPEG-2/4 AAC」「ATRAC」もオプションとして利用できます。
つまり、SBC対応のワイヤレスヘッドセットが、オプションでMPEG-1 オーディオに対応していれば、MPEG-1規格の1つであるMP3をそのまま無線で受信して再生できる、ということになります。これらのオープンになっているコーデックのほかにも、メーカー独自のコーデックも使用可能と、A2DPは柔軟な構造になっています。
標準コーデックである「SBC」は、オランダのフィリップス社が開発した方式です。伝送環境の悪化に強く、計算量が少ない圧縮・再生方式であり、またロイヤリティーフリーのオープンな規格である、という特徴があります。
なお、auから発表されたばかりの「W41T」でもBluetooth機能が搭載されています。ただし、サポートされているプロファイルは、SPP/HFP/DUN/BIP/OPP/AVRCP/GAVBPとなっており、A2DPはサポートされていません。同時に発表されたスピーカーなどの周辺機器とは、「A2DPによく似た独自プロファイル」で音楽データを伝送しています。ちなみに周辺機器側では、SBCがサポートされていないためA2DP非対応である、と案内されています。
■ URL
Bluetooth SIG A2DP仕様書(PDF、英文)
http://www.bluetooth.com/NR/rdonlyres/800D10CD-DE3D-4D51-ABC0-726C8DF26151/921/A2DPspecv10.pdf
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(大和 哲)
2006/01/24 14:02
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ケータイWatch編集部 [email protected]
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