福島だけでなく山形も負けず劣らず純喫茶が少ない。
これから紹介する「COFFEE ラヴ」は、山形においては貴重な朝から営業する純喫茶で、駅からも近い。
奥羽本線で米沢8:02着、米沢名物 牛丼弁当「牛肉どまん中」を横目にホームを移動、8:06発の電車に乗り換え、山形駅に8:51到着。真っ先に向かった。
山形県山形市香澄町3-6-4
純喫茶ばかりこだわっているように見えるかもしれないが(事実そうだが)、実際旅先の満足度は必ずしも純喫茶の充実具合で決まるものではないと気付かされたのが、この福島&山形旅行だった。
福島から米沢にかけては、間近を通り過ぎる背の高い木々の緑、遠目にもそれと分かる清冽な沢等、車窓から流れていく景色を楽しんだ。
今回の南東北の旅では純喫茶単独の満足度はそれほど高くなかったが、それを補ってくれたのが旅情だった。
口に出すのは気恥ずかしいが、この旅情という曖昧なとらえどころのない言葉は、食べ物の存在も大きい。米沢では牛肉だったが、山形はサクランボ。山形駅改札から出ると大々的に佐藤錦の販売をしていた。またもや旅情が掻き立てられた。
そして、喫茶店。
太陽にさらされ色褪せてしまったのか、白い壁と一体化した真っ白けな「COFFEE ラヴ」の看板は、間近で見ると、コーヒーカップからCOFFEEに向かって流れる煙のイラストがモダンでオシャレ。ラヴの字体もセンスあるよね。
こちらも色が抜けていて砂漠化している。SANYOという聞き慣れないコーヒー会社が読み取れた。
結構いいかも!
人けのないわき道にある目立たない立地、色褪せた看板などからやさぐれた印象を受けたが、想像に反して正統派の純喫茶だった。
店内入ると目に留まるのは、立派なカウンター。
中には高齢のマスターがいて、私の姿を見て戸惑っているように見えた。常連のお客さん以外はほとんど入ってこないに違いない。
もしかしてカウンターだけの店? 緊張し逃げ出したい気分になったが、一歩踏み進みその奥の隠れたテーブル席を見付けた。パーテーションの陰になり、少し段差もあって、ひっそりとした良い雰囲気。
迷わずテーブル席へ。
この日一軒目でもあるし、まずは朝食を。メニューも見ずにモーニングを注文すると、「700円です」との返事。
700円? ちょっと(というか結構)高いというのが偽らざる本音。注文したのを少し後悔した。
15分位は待ったかな? 結構時間がかかっていた。
マスターがよろよろとおぼつかない足取りで運んできたモーニングを目の前にしてビックリ。なんとサクランボ付!
なるほど! 700円は高いが、サクランボが付いてるんじゃ仕方ないよね。このとき私の顔は絶対ニンマリしていたはず。
(一粒あたりの値段を冷静に考えると現実に引き戻されるので、虚しい計算はやめた)
佐藤錦だったりして?
4粒のサクランボから、山形を感じる極上のモーニングとなった。これもまた旅情と言える。
BGMはイージーリスニング。他のお客さんはなく、静かな空間を贅沢にもひとり占めした。
特に派手さはないものの、風格のある家具類、統一感のある繊細かつロマンチックな壁の照明など純喫茶的なみどころは充分あった。古い純喫茶でたまに見られる“ほったらかしてる感”は少しもなく、掃除も手入れも行き届いており、とても気持ちが良い空間で、いつまでもここにいたいと思った。
山形県内で入った5軒の純喫茶の中で、一番好きな純喫茶となった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
あかりのまま
さくらんぼがモーニングにつくなんて、山形を感じました。芋煮がランチにあったらいいなあ。
2016/10/19 URL 編集
エムケイ
内装は、自分で言うのもなんですが、このブログで見るより実際の方がずっと良いです。
芋煮、いいですね!
どこか山形の喫茶店のモーニングで出てきたらテンション上がります(ランチでもいいですが)。
2016/10/23 URL 編集