ブログ:原発事故から30年、チェルノブイリは今

ブログ:原発事故から30年、チェルノブイリは今
 3月24日、来月で30年の節目を迎える史上最悪の原発事故となったチェルノブイリ原発事故は、人間に与えた長期的影響について改めて注目を集めている。写真は同原発近くにある廃墟と化したウクライナのプリピャチ市。23日撮影(2016年 ロイター/Gleb Garanich)
Gleb Garanich and Alessandra Prentice
[プリピャチ(ウクライナ) 24日 ロイター] - 1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原発事故は、欧州の広範囲に放射性物質をまき散らし、5万人以上が避難を余儀なくされた。事故処理に当たり、被ばくした作業員は数知れない。
ルクセンブルクとほぼ同じ大きさである2600平方キロメートルに及ぶ周辺地域の大部分は、いまだに居住不可能で、立ち入りが制限されている。
放射能の放出を封じ込めるため、事故後急いで原子炉を覆うコンクリートの石棺が築かれた。しかし2010年後半以降、より恒久的な解決策が進められている。
今年後半には、事故現場を覆うアーチ型の新しいシェルターが完成する予定だ。数キロ先からも容易に見えるこの新シェルターの重さは約3万トンで、放射性物質の放出を防ぎ、安全に廃炉作業を行うため、鋼材などで造られている。
来月で30年の節目を迎える史上最悪の原発事故は、人間に与えた長期的影響について改めて注目を集めている。
同事故による公式の死亡者数は31人とされているが、さらに多くの人が、被ばくに関連したがんなどの病気で命を落とした。事故を原因とする死亡者の合計数と健康への長期的影響は、今も大きな議論の的となっている。
「清算人(liquidators)」と呼ばれる事故処理を行った作業員たちは今週、ウクライナの首都キエフで抗議活動を行い、彼らが払った犠牲を認めて社会保障を改善するよう政府に訴えた。
「若かりし30年前、私たちは核爆発から地球全体を救った。だが今は誰一人、私たちを必要としていない。ただ一人もだ」と、抗議活動に参加した元作業員の女性は語った。

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