日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど

日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
5月15日、日銀は総額2.8兆円を市場に資金供給すると発表。通常より供給額を2兆円増やし、国債市場で1年物や2年物などの流通利回りが急ピッチで上昇したことに対応する。写真は日銀本店。昨年12月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 15日 ロイター] 日銀は2営業日先となる17日付で総額2.8兆円を市場に資金供給すると発表した。共通担保方式で4月16日以来1カ月ぶりに供給額を2兆円追加し、急ピッチな国債利回りの上昇に対応する狙い。
市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが、これらをけん制する政策当局の姿勢が伝わり、安心感から長期金利の指標10年物利回りは低下に転じた。
15日午後の金融調節で日銀が市場参加者に通知した。通知したのは6月19日までの1カ月物8000億円と、来年5月16日までの1年物2兆円の計2.8兆円。2営業日先の資金は、全店経由の共通担保方式で8000億円程度を供給するのが一般的だが、長めの資金を2兆円追加し、市場の沈静化を図る狙いからだ。
1カ月物への応募は2080億円にとどまったが、1年物には2兆3174億円の応札があり、日銀は2兆0012億円を落札した。この結果、実際の資金供給額は2.2兆円余りとなった。資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。
国債市場をめぐっては、14日の閣議後会見で麻生太郎財務相が金利上昇を容認したことをきっかけに地方銀行などから国債を売る動きが強まった影響で、指標10年債利回りが急上昇。財務省がこの日実施した1年物の国庫短期証券の落札水準は、最高利回りが節目の0.1%台に乗せるなどの動揺が走っていた。
市場では、こうしたオペを過度な金利上昇を容認しない「シグナルオペ」と呼んでおり、実際、通告後は、東京証券取引所の長期国債先物が一転してプラス圏に浮上。朝方、前日終値より96銭安い141円15銭まで下落していた中心限月6月限は、オペ通告後は一時、前日より37銭高い142円48銭まで買われた。
一方、長期金利の指標10年物も朝方の0.920%から0.820%と、逆に前日より0.035%低下し、市場では「日銀の姿勢がひとまずの安心感につながった」(東短リサーチの寺田寿明研究員)との声が出ている。
(ロイターニュース 山口貴也:編集 内田慎一)
*内容を追加します。

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