“日本の田舎”を最新技術で描く『NOSTALGIC TRAIN』ついにSteamで発売。コンパクトでどこか懐かしいオープンワールドアドベンチャー
ナラティブ&環境アーティストの個人クリエイター畳部屋氏は本日6月14日、『NOSTALGIC TRAIN』をSteamにて発売した。価格は2000円で、日本語に対応している。『NOSTALGIC TRAIN』は、「日本の田舎」を舞台にした一人称視点のオープンワールドアドベンチャーゲームだ。畳部屋氏は同作をウォーキングシミュレーターと位置づけており、マップの広さについては「鉄道模型のレイアウトに入り込むようなもの」とコンパクトであることを強調している。本作の開発にはUnreal Engine 4が使用されている。
舞台となるのは、郊外に位置する自然豊かな夏霧町だ。木造駅舎、郊外の土地を覆う水田、駅前にある駄菓子屋、古びた喫茶店といったどこか懐かしい風景が並ぶ町で、本作は展開される。メインモードとしては、ナラティブな体験を特色とするストーリーモード「旅の終わりに二つのゆらめき」。そして、自由に町を散策できるフリーモードが用意されている。夏霧町を歩き、資料を集めていくのが両モードともに共通する目的だ。
ストーリーモードでは、記憶をなくした状態で駅舎にて目覚めた主人公となり、自分が何者なのかを探っていく。フリーモードでは、駅舎、水田のあぜ道、浜辺、校庭、神社、山道などを自由に歩き回り、走る列車に乗って車窓をながめたり、簡単な列車の運転操作が楽しめる。町に散らばるメモを読むことで、舞台となる「夏霧」に関する設定への理解が深めるといったストーリーモードを補完する要素も用意されている。プレイ時間については「映画を見る程度の長さ」としつつ、一方で「濃厚な体験が味わえる」ともコメントしている。
早速筆者もプレイしてみたが、『NOSTALGIC TRAIN』ではやはり、「日本の田舎」を舞台としたUE4を使用したグラフィック表現が光る。確かにフィールド自体はかなりコンパクトであるが、どの場所でもディテールにこだわりが見られる。蝉の鳴き声を中心にサウンドエフェクトもアクセントを生み出しており、没入感を高める。プレイ中は天候が変化したり、電車が一定時間で走ることもあり、“動的な世界”を楽しめる。
それぞれの環境によって田舎の定義は異なるので、再現度については言及しかねるが、少なくとも日本の郊外にいるような感覚はしっかりと感じられるだろう。畳部屋氏は業界にて10年以上背景のモデリングを担当してきており、そうしたキャリアと技術力がしっかりと反映されている印象だ。気になった点としては、ストーリーモードのテキストがややウェットであるので好みが分かれるかもしれない。ただ、フリーモードも存在するので、その点は心配いらないだろう。
なお畳部屋氏はTwitter上にて、これまでに多く寄せられてきた質問について答えている。「実はホラー要素があるのではないか」という声について、はっきりと否定。ミステリーや和の要素を取り入れたストーリーになると回答している。コンソール版については、個人開発という点で開発機の入手などのハードルが高いながら、要望次第では検討するとコメント。VR対応については、最適化がネックになるのではないかと予想しつつも、こちらも要望次第では検討するとしている。
コンソールの予定について。
開発機は法人しか入手できないという規定があるなど個人でやるには少しハードルが高く思っています。ご要望が強ければ方法を考えてみます。— Tatamibeya 畳部屋@ゲーム個人開発者 Solo Indie Game Dev (@TatamibeyaGames) June 5, 2018
CAMPFIREなどクラウドファンディングサイトで資金を集めつつ制作を進め、ついに完成へと至った『NOSTALGIC TRAIN』。何度も繰り返すように、スケールはコンパクトで、町を歩くことを目的とするシンプルなゲームであるが、美麗なグラフィックが生み出す田舎の世界は特筆すべきものがある。定期的になんとなく起動したくなるような、光る魅力を持つ作品に仕上げられているだろう。