足音の音響科学
「東京芸大 Art Pass」の話の続きになりますが、面白い研究がありましたので議論が盛り上がりました。
研究は「足音の特性解析に基づく巨人の足音予測」という内容です。
研究手法としては実際の人間の足音を測定収録し、それをスペクトルグラム解析を行い、次に各個人の身長・体重・足長を線形回帰モデルによって分類し、その延長線上に巨人(身長6m、体重600kg、足長50cm)の足音を再現してみようというものです。
この研究の内容はざっくり言うと、進撃の巨人やゴジラの足音を映画で再現するにはどのようにするかということになります。
実際の人間の足音の計測には、床面に下向きに向けたマイクを使い、ノイズを抑えるために靴下を履いて吸音マットの上で歩いてもらいます。
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ただこの方法は少し難がある気がする。
ここでゴジラ-1.0の映画を振り返ってみよう。
銀座で典子(浜辺美波さんが演じてました)のすぐそばにゴジラがいるのに、典子は位置を見失っています。
ゴジラはズンズンと足音を響かせています。
これはゴジラの足音には方向性が無い。無指向性だということになります。
音は中高域1000Hz以上では指向性があります。無指向性ということは60Hz以下の重低音だということになります。
ここで足音というのは、床と足の接地によって生じるのですが、この時、足音は空気の分子の粗密によって聞こえてきます。
それと同時に、床を伝わる固体振動によっても伝わります。
その2つの波は空気と床の密度差による時間的なタイムラグが生じ、地面の方が早く伝わります。
忍者が直接耳で聞くよりも、地面に耳を当てた方が早く敵の襲来を察知するという方法です。
さて周波数は高いほど空気振動によって伝わり、低周波ほど床振動によって伝わります。
アパートで隣の部屋の声はよく聴こえるけど、ドスドスという足音は隣りなのか上の階なのかよくわからない。場合によっては2軒先の部屋から天井の梁を伝わっていることもある。ということからも分かります。
つまりゴジラの足音は高域成分よりも重低音が強調されているので、ゴジラの足音を再現するためには、ヒトの足音を身長・体重に沿って数倍しただけではダメであるということになります。
JIMMY
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