MS、新興企業にソフトウェアとクラウドサービスを(ほとんど)無料で提供

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子

2008-11-06 07:36

 Microsoftは米国時間11月5日に発表された新しい「BizSpark」プログラムを通して、新興企業に同社の多岐にわたる製品や技術を無償で提供する予定である。

 Microsoftは本プログラムをサンフランシスコで開催中のWeb 2.0カンファレンスの初日に発表した。

 MicrosoftのStrategic and Emerging Business Developmentのコーポレートバイスプレジデントを務めるDan’l Lewin氏は、BizSparkは事業を営むためのインフラを立ち上げようとする新興企業の「全体的なアクセスしやすさやコストを含む障壁を取り除く」ことを意図したグローバルプログラムであることを強調した。

 (あの「G」のつく言葉――Google――はMicrosoftによるBizSparkの文献または情報のいずれにも言及されていない。しかし本プログラムのもうひとつの目標は、シリコンバレーの資金繰りが苦しい新興企業のなかにGoogleが進出するかもしれないホステッドアプリケーションやサービスを食い止めることではないかと筆者は推測している。)

 参加企業は「Microsoft Developer Network(MSDN)」のサブスクリプション、「Visual Studio」のツール、「Windows SQL Server」「SharePoint Server」「Exchange Server」「System Center」などへのアクセスを取得する。(BizSparkerたちに提供される製品とサービスの全リストはProgram Guideのなかにある。)彼らはまた技術サポート、マーケティングやアドバイスのサポートも受けることができると、Lewin氏は述べている。

 Microsoftは参加新興企業に新しく発表した「Azure」クラウドサービス、「Live Mesh/Mesh Framework」そして成長中のMicrosoftによるホステッドサービスのライン(「Exchange Online」「SharePoint Online」「Communications Server Online」)のベータ版を使用するためには登録することを要求していない。しかし参加者に対して、これらの駆け出しのサービスを使うことを検討するように奨励している。同社はまた参加者が、Microsoftが管理していないホステッドサービスを使いたいと思っているなら、事前選定された第3者ホスティングパートナー企業を使うというオプションを与える計画である。

 (Microsoftは制御されたCommunity Technology Previewプログラムを通してAzureをチェックする機会をテスターに提供し始めたところだ。Azureの最終版リリースは2009年後半と予想されている。MicrosoftがホストするOnlineサービスは現在ベータの段階にあるが、ある報道によると、最終版は2009年春に予定されているという。)

 BizSparkに参加するためには、新興企業は創業3年未満で年間収益が100万ドル(あるいは一定のわずかな事前指定された国についてはそれより少ない額)を下回る民間企業でなければならない。Microsoftは参加企業を指名する200の「ネットワークパートナー」――エンジェルインベスター、政府機関、そしてその他の事業組織――と協力している。

 参加企業がプログラムを「卒業」したときか、あるいは3年経過したときの、いずれか先に到達した時点で、100ドルのプログラム料金を支払うことが求められるようになる。参加企業がひとたびBizSparkプログラムの参加を終了すると、彼らは自分で使用することを選んだMicrosoftのソフトウェアとサービスの料金を払い始め、彼らが選んだホスティングの契約を再交渉しなければならない。

 「われわれはこれに長いこと取り組んできたが、現在の経済状況は、これをする(BizSparkをローンチする)には最適なタイミングであることを示している」とLevin氏は述べた。

 BizSparkは、もっと若い開発者を引きつけて、Microsoftの技術に関心をもたせたいというさらに広範なビジョンの一環であると、同社のDeveloper & Platform Evangelism Groupのコーポレートバイスプレジデントを務めるWalid Abu-Habda氏は述べている。最終的な目標は、DreamSpark(MicrosoftのBizSparkの学生を対象としたバージョン)を高校生にまで拡大することである。これによりMicrosoftは高校、大学、新興企業という広範に及ぶ開発者に同社の技術の種をまくことができる。

 BizSparkの細則は「BizSpark Program Guide」から見つけることができる。誰か問題点を発見した人はいますか?あるいはこれは新興企業にとって魅力的に思えるか?

アップデート:読者がもしニューヨークシティ近辺にいるなら、11月11日のBizSpark Ignition New Yorkイベントにおいて、さらに詳しい情報を得るほか、地元の新興企業とネットワーキングすることができる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. 運用管理

    IT管理者ほど見落としがちな「Chrome」設定--ニーズに沿った更新制御も可能に

  4. セキュリティ

    シャドーITも見逃さない!複雑化する企業資産をさまざまな脅威から守る新たなアプローチ「EASM」とは

  5. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]