Salesforceは7月28日、同社PaaS「Salesforce1」を拡張する「Salesforce1 Lightning Components」の一般提供を発表した。コードを書かないユーザー向けに、高速にアプリを構築できるという「App Builder」が追加されたほか、アプリマーケットプレイスの「Salesforce Marketplace」にもコンポーネントのセクションとして「AppExchange for Components」が加わった。
これまでのターゲットだったコードを書く開発者から、「かなりテクニカル」だがプログラミングのスキルはないというユーザーに拡大することから、App BuilderはSalesforce1プラットフォームにとって大きな進化となる。Saleforceの解釈では管理者がこれに該当する。App Builderと土台のコンポーネントは、これらのプログラミングスキルのないユーザーが開発者に頼らずに済むようにする可能性がある。アプリケーション構築の技術的ハードルを下げることで、「要件定義で欠落」というITプロジェクトのリスクを削減できる。管理者が構築したアプリは、管理者の知識とエンドユーザーの要件を反映したものとなり、これまで以上に機能するアプリ、機能するエンタープライズが実現するだろう。
新しいアプリケーションを構築するのに必要な技術スキルを低くすることにより、アプリケーションの課題が緩和される。エンドユーザーがLightning App Builderを学習し始めると一部の反発が予想されるが、最終的にはユーザーを支援することこそ、将来の業務アプリケーション開発に向かう方法といえる。
多くのユーザー向けにアプリケーション開発を容易にすることは、PaaS事業とその顧客にとってよいことだ。一方、これが進むと「クラップウェア」やエンドユーザーによるプログラミングのエラーについて不満が出てくることだろう。
懸念は、Salesforceは(いまだに)エンドユーザーコミュニティー関連での進展について何も触れていないことだ。Lightning App Builderを使って開発したアプリを実際に利用するのがエンドユーザーだ。モバイルアプリ開発では、Oracle、IBM、SAPなどの競合がコミュニティーに取り組んでいる。これは妥当なステップであり、もう少し辛抱強く待つ必要がある。
Salesforceはまた、エコシステムへの影響に対処する必要も出てくるだろう。価値の低い容易なカスタム作業は無くしていくべきだからだ。しかし、これはパートナー企業(と多くのフリーランス)の事業拡大にはつながらず、顧客のTCOを下げることが実際の効果になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。