『小学5-2社会』分析
歴史教育連帯会議中間発表
高句麗卑沙城の位置が誤っており
奴婢の身分を解説する文書写真を
『奴婢文書』と誤って説明
「貴族の反対で試験を受けられず」部分では
新羅史研究者までが「初めて聞く話」
ト・ジョンファン議員、文法誤り・誤字脱字など指摘
「教学社版教科書の問題もあったため『小学5年2学期社会(歴史)』はすんなりと発行されると期待したが正反対だった。専攻者である私ですら知らない内容が歴史的事実であるかのように叙述されている」(ハ・イルシク延世大史学科教授)
歴史関連7団体の集いである「歴史教育連帯会議」が7日、ソウル鍾路(チョンノ)区大学路(テハンノ)の興士団講堂で「『小学5-2社会』教科書分析結果中間発表」記者会見を行った。 この教科書は朴槿恵(パク・クネ)政権になって初の国定教科書で、今年2学期から全国のすべての5年児童が使っている。 朴槿恵政権が「歴史的事実に立った誤りのない教科書」を標ぼうして、中学・高校の韓国史教科書を国定化すると明らかにしたが、その最初の作品から“誤りだらけ”であることが分かった。 新政治民主連合「韓国史教科書国定化阻止特別委員会」のト・ジョンファン委員長もこの日、同教科書の校閲・校正を専門家に依頼した結果、数十個の文法の誤りと誤字脱字、分かち書きエラーが発見されたと明らかにした。 このような事情のため『小学5-2社会』は政府が掲げた韓国史教科書国定化論理の虚構性を暴く“生きた証拠”という指摘が出ている。
連帯会議は「(小学国定教科書の)衝撃的な実状にみじめさを禁じえない」として「政府と与党があれほど国定教科書を主張したが、実際には教科書の体裁をきちんと備えるための最小限の責任感もシステムも欠如していると見ざるをえない」と指摘した。 パン・ジウォン新羅大歴史教育科教授は「小学教科書を読んで、子供たちが言うところの“メンブン”(メンタル崩壊)に襲われた。 5行以上を安心して読むことができない教科書だった」と話した。
この教科書には明白な誤りすら直されないままに堂々と載っている。 152ページには「奴婢は主人の所有物や財産として扱われ、売買や相続の対象になった」という説明と共に『奴婢文書』資料写真が載せられた。 しかし、この写真は身代金を出せば奴婢の身分を解いて良民になれるようにするという『奴婢贖良文書』だ。 教科書の最後の章にある「文化財地図」では、高句麗卑沙城の位置を中国の錦州に印を付けていた。専門家らは卑沙城はそれより南の現在の大連に表示しなければならないと指摘した。
不正確な歴史理解による誤りも多い。 89ページには「(新羅の時)国家は国学で勉強した学生たちの中から試験により官吏を選ぼうとしたが、貴族の反対で試験を受けられなかった」と書いている。 歴史教育連帯会議は「統一新羅の読書三品科(読書出身科)は、中下級の実務者を選抜する程度であり、高い位は真骨以上が独占していたという点をきちんと叙述しなければならない。 貴族の反対で試験を受けられなかったということは新羅史研究者も初めて聞く理解しがたい叙述」と批判した。
歴史認識の歪曲と言える“過度な縮約”も問題点として指摘された。扶余と三韓に対する説明がなく、古朝鮮からすぐに三国時代に飛び越えているのが代表的事例だ。 歴史教育連帯会議は「古朝鮮の単元の次ぎにいきなり三国と伽耶が登場する。高句麗・百済の起源になり、5世紀後半まで存続した扶余に対する叙述が全くない」と指摘した。 ハ・イルシク教授は「この教科書だけ見れば、児童たちは古朝鮮に続きすぐに三国時代が始まったと理解することになる」として「いくら小学生用の教科書だと言っても妥当でない」と指摘した。
ト・ジョンファン議員室は21ページ「木で城壁を作った」(城壁ではなく垣根が正しい表現)、55ページ「前回、高句麗から被った恥辱を」部分で文法エラーを見つけた。ト議員は「朴槿恵政権は大統領任期内の2017年から国定教科書を適用すると言っているが、1年半にも満たない期間で拙速に作る教科書がどういうものになるかは火を見るより明らかだ」として、国定化推進を中断すべきだと話した。