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何でそんなに売れる?--急成長を遂げるモバイルコマース市場の現状

深田浩嗣(ゆめみ)2006年10月26日 14時54分
特集

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 モバイルビジネスの始まりはiモードのサービスが始まった1999年からで、以後7年間、毎年成長を続けている。モバイルコンテンツフォーラムの発表によると、2005年度のモバイルコンテンツ関連市場は合計7224億円モバイルコマースの市場は4074億円となり、モバイル業界の牽引役だったモバイルコンテンツ市場の3150億円という規模を上回った。

 拡大の一途をたどるモバイルコマース市場だが、PCを普段使いこなしている人にとってモバイルコマースという世界が縁遠いことを日々強く感じている。そこで、ここでは「そもそもモバイルコマースの市場ってどうなのか」「PCコマースと何が違うのか」「なんでそんなに売れているのか」「どうすれば、モバイルコマースを始められるのか」という疑問に対して答えてきたい。

成長し続けるモバイル業界市場

 1999年2月のiモードサービス開始以来、モバイルビジネスをまず盛り上げたのは着メロサイトや待ち受けサイトなどの公式サイトによるユーザー課金型のコンテンツ市場だった。総務省の発表によれば、モバイルコンテンツ市場は1999年からわずか3年で約2000億円の市場に成長したが、その後の伸び率は20%前後と少し鈍化し、2005年度は3150億円という規模にとどまっている。一方、モバイルコマース市場が本格的に伸び始めたのは2003年頃からだ。2003年度に1709億円だった市場はその後前年比50%増を越える成長を続け、2005年度には4074億円の市場規模となった。経済産業省の発表では、日本のEC市場全体のうち、BtoCの市場規模は2005年度で3兆5000億円になるという。異なる調査の結果ではあるが、BtoCの市場規模においてもモバイルコマースの割合は決して小さなものではないと言えるのではないだろうか。

 この背景としては、2003年の後半から始まったパケット料金定額制や回線速度の速い第3世代(3G)端末の普及、QVGA液晶搭載端末の普及による画像精度の向上などが挙げられる。こうしてケータイでのネット利用の環境が整うことで全体的にユーザーのモバイルインターネットのリテラシーが向上し、モバイルコマース市場が拡大していった。さらに、昨今注目されている検索エンジン各社のケータイ対応、第3.5世代(3.5G)端末の登場、FeliCa機能や電子マネーの普及など、市場拡大をさらに推し進めることになるであろう芽がいくつも現れ始めている。

モバイルコマースのプレーヤー

 こうした活況状態にあるモバイルコマース市場だが、実際のプレーヤーにはどういう企業があるのだろうか。ジャンルを大別すると以下のとおりとなる。

  • 大手カタログ通販系事業者(ニッセン、千趣会、セシールなど)
  • モバイルコマース特化型事業者(インデックス、シーエー・モバイル、ゼイヴェル、ネットプライスなど)
  • PCコマース事業者(楽天、アマゾン ジャパンなど)
  • 流通系事業者(ファーストリテイリング、良品計画、紀伊国屋書店など)
  • テレビ通販系事業者(ディノス、ジャパネットたかたなど)

 大手カタログ通販系事業者は既存の顧客基盤を有効活用して売り上げを伸ばしている。はじめは、注文手段を既存の電話やFAXからケータイへと切り替え、紙のカタログの「注文端末」としてケータイを活用してきた。しかし最近では、徐々にカタログ不要のケータイだけの購買による売上比率が増えてきているようだ。

 モバイルコマース特化型事業者は、一般サイト(勝手サイトとも呼ばれる)でサービスを開始し、そこで多くのユーザーを集めた後にコマースを始めることで売り上げを伸ばしているところが多く見られる。一般サイトでユーザーへのアプローチの仕方や受け入れられる見せ方を熟知している事業者が多く、うまくケータイの特徴を活かした販売方法を駆使して売り上げを伸ばしている。

 楽天やアマゾン ジャパンといったPCコマース事業者は、PCでの知名度を生かして信頼感を早期から獲得することで集客につなげることができている。さらに、PCサイトとの連動性をうまく活かしている事業者も多い。しかしその一方で、ケータイとPCの違いをあまり意識せずに展開しているために、ケータイでは苦戦を強いられている事業者も少なくない。

 流通系事業者はPCコマース事業者同様、知名度を活かせる企業は集客で大きなアドバンテージを持っている。また、実店舗を持っている企業では、店舗からの集客経路をうまく作っているところもある。今後、FeliCaを初めとする非接触型のICカードがケータイで普及すれば、より力を発揮する可能性を秘めている。

 テレビ通販系事業者は「テレビ」という非常に強力な集客源をもっている。また、最近ではテレビ通販事業者だけでなく、テレビ局側も番組連動型のケータイサービスを始めるなど、積極的な取り組みが増えてきている。ワンセグ端末が今後普及していくことで、大きな伸びを示すことになるだろう。

PCでのコマース以上に重要になるモバイルコマースの集客

 過去の事例では、すでに抱えている顧客へのアプローチや、既存の知名度を生かすという手法をとることで集客コストを低く抑えることができた企業が成功している。ケータイのサービスにおいては依然として集客コストの高さが問題となっており、そのハードルをクリアできるかどうかが現時点では勝負の分かれ目となっている。

 集客が勝負の分かれ目となるという点においてはPCでのコマースも変わらないが、PCではGoogleをはじめとする検索エンジンや比較サイトが充実していることから、ネット上にさまざまな集客経路が用意されている。さらにブログやアフィリエイトといった集客経路も大きくなってきている。ブログに書かれることで検索エンジンからも引っかかりやすくなるなど、経路同士の相乗効果が生まれている。

 それに比べるとケータイにおける集客経路はまだまだ貧弱であると言わざるを得ない。コンテンツビジネス黎明期は公式サイトになることが集客の解だったが、今や公式サイトも増加し、たとえばNTTドコモでは7000サイト以上もの公式サイトが存在している。そんな中で新規に公式サイトになっても、メニューの中に埋もれてしまい集客効果を上げにくい状況だ。

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