警察は電話会社やインターネットプロバイダに顧客情報や通信記録の開示を求めることができるため、匿名で書いたり、ネットカフェなどで書いたりしても、書き込みをした人物の身元は簡単に特定できてしまう。
同時に、実際は犯行を犯す意図はなくても、犯行予告は必ず、以下のずれかの罪に問われることになる。たとえ冗談としか思えない内容でも、実行に移される可能性がある以上、警察は警備に当たらねばならず、通常業務を阻害されてしまうからだ。
2013年2月、アルバイト男性(20)が、「ネタツイいきます」とことわった上で、「明日の13時に名古屋駅にいる人間を片っ端からナイフで切りつけます。身体にダイナマイトを巻き付け、いつでも爆発を起こせます」とTwitterに書き込んだ。「ネタツイ」とは、作り話やネタ、ギャグとして投稿されるツイートを指す。
ところが、ツイートは瞬く間にリツイートされ、男性は元のツイートを削除したがスクリーンショットが拡散されてしまい、「通報した」という声が殺到した。
男性は、「犯罪予告は完全なネタです 繰り返します 犯罪予告はネタです。明日名古屋駅に行かれる方を不安にさせてしまったことをお詫びいたします。二度とこのような軽率なツイートはしません 本当に申し訳ありませんでした」と釈明したが、その後のツイートを見ると、偽計業務妨害罪で書類送検されたようだ。このように、文脈上明らかに危害を加えるつもりがなくても、犯行予告は投稿した時点で罪に問われることは忘れてはならない。
誰でも自分を認められたい気持ちはあり、ネットなら手っ取り早くかなうと感じる若者もいるだろう。しかし、その代償は大きく、その後の人生にもついてまわることになる。保護者や周囲の大人は、若者たちが安易にそのような行為に走ることがないよう注意して見守ってあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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