初めて使う場合、まずは本体の内蔵電池に充電する。この充電にも東芝燃料カートリッジを使用するしくみだ。本体底面のスライドカバーを開けると燃料注入口が現われる。そこに東芝燃料カートリッジをセットし、カートリッジ内に入っている高濃度メタノールを注入する。
Dynarioの内蔵燃料タンク容量は14ml。東芝燃料カートリッジの容量は50mlのため、1回で使い切るようなことはない。スライドカバーを閉じて、底面のスタンドを回転させて回路スイッチを爪楊枝などでONに切り替える。出力スイッチを押すと内蔵電池に充電開始。本体に青と赤のモニターランプが付いており、内蔵電池への充電中はその両方が同時に点灯する。注入した高濃度メタノールを半分ぐらいの使用すると、本体の内蔵電池への充電が終わり、モニターランプが消灯する。これで準備完了だ。
本体への充電はPCなどのUSB端子からも可能。この場合は高濃度メタノールを使わずに充電できる。
iPod touchに充電してみよう。充電用のUSBケーブルとDynarioの出力ケーブルを接続する。出力スイッチを押すと、モニターランプの青だけが点灯した。iPod touchへの充電が終わると、青と赤の両方のモニターランプが点灯し、Dynarioの内蔵電池への充電が始まる。両方消灯すれば、充電作業が完了だ。
かなり使い込んでいるためバッテリが磨耗していることも考えられるが、電源が入らないくらいバッテリを消耗した状態からフル充電まで約2時間50分かかった。仕様を確認すると、USB経由でのフル充電なら約4時間とのことなので充電時間は十分使用に耐えられるレベルと考えられる。高濃度メタノールの使用量は、Dynarioの燃料ゲージで3メモリ分となっているため約5.3ml強程度だろう。さらにDynarioの内蔵電池の充電のために3メモリ分の高濃度メタノールが使われた。充電中は本体の温度が上昇するので、低温やけどなどの注意が必要かもしれない。
引き続き、ソフトバンクモバイルの携帯電話「931SH」の充電にトライ。この端末はバッテリ残量を「%」で表示しているため、ちょうど50%のところから充電を開始してみた。電源はONのままだが液晶のバックライトは消えている状態だ。
931SHの搭載バッテリは3.7V 800mAhだが、こちらも使い込んでいるため多少は疲弊している可能性がある。フル充電までの時間は約1時間。燃料ゲージの1メモリ分の高濃度メタノールが減っているため、1.8ml強程度を使用したことになる。Dynarioの出力は400mA(内蔵電池の出力込み)のため、800mAhの50%という状態でのバッテリ充電で、約1時間というのは妥当なところ。931SHの充電が終わるとDynarioの内蔵電池の充電が始まり、さらに高濃度メタノール約2.6mlを使用したため、結局4.4ml程度の高濃度メタノールが使われた。
最後に、ニンテンドーDSiを充電。電源をONできない状態で充電開始。フル充電までは約2時間。約2メモリ分、およそ3.5ml程度、高濃度メタノールを使用。ニンテンドーDSiは、裏蓋を外すとバッテリが現れる。容量は840mAhのため、Dynarioの出力400mAを考えると、充電時間は妥当なところとなった。
3機種で充電を試したが、充電したい機器のバッテリ容量が何mAhかが分かれば、Dynarioの出力、DC5V、400mAからおおよその充電時間が予想できる。また、1時間の充電で約1.7〜1.8ml程度の高濃度メタノールを消費する。ただし、実際はあらかじめ充電している内蔵電池と、高濃度メタノールでの発電を併用するため、実際に消費量を割り出すのは難しい。しかし、充電テストの結果から見ると、発電と内蔵電池は同程度使用しているように思える。つまり、携帯電話で平均的な800mAhのバッテリなら、充電時間は約2時間、高濃度メタノールを約7ml使っている計算だ。高濃度メタノール東芝燃料カートリッジは5本セットで3150円、50ml入りで1本あたり630円だ。1回の充電量を約7mlとすると、1本の東芝燃料カートリッジで7回の充電ができ、1回約90円程度と予想できる。
現在は限定生産だが、大量生産が進めば価格は下がりそうだ。今でも十分に使える製品だが、今後のさらなるコンパクト化や、ソーラーバッテリとのハイブリッド化など、これからの進化にも期待したい。
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