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飛騨川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
飛騨川
飛騨川
岐阜県加茂郡七宗町上麻生付近
(2013年(平成25年)5月)
水系 一級水系 木曽川
種別 一級河川
延長 136.8[1] km
平均流量 56.66 m3/s
(白川口観測所 2008年[2]
流域面積 2,176.5[1] km2
水源 乗鞍岳(岐阜県)
水源の標高 3,026 m
河口・合流先 木曽川(岐阜県)
流域 岐阜県
地図
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下呂市萩原町地内
東濃五色川とその周辺の地理

飛騨川(ひだがわ)は、木曽川水系の一級河川岐阜県高山市下呂市加茂郡白川町・加茂郡八百津町・加茂郡七宗町・加茂郡川辺町美濃加茂市を流れる。木曽川本川に合流する1次支川[3][4]

概要

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地理

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飛騨川・概略図
J000s
乗鞍岳南麓の谷川
jbkoku
国道361号(南嶺大橋)
AffluentL
日和田川
LakeStartDam
高根第一ダム(高根乗鞍湖)
AffluentR
黍生川
AffluentR
塩蔵川
AffluentL
道後谷川
LakeStartDam
高根第二ダム
jbkoku
国道361号(下之向橋)
jbkoku
国道361号
jbkoku
国道361号(中洞大橋)
LakeStartDam
朝日ダム(朝日貯水池)
LakeStartDam
久々野ダム(久々野貯水池)
AffluentL
秋神川
jbkoku
国道361号(龍宮橋)
jbkoku
国道361号(御前大橋)
AffluentR
青屋川
AffluentR
八尺川
jb002
JR高山本線
AffluentR
無数河川
LakeStartDam
小坂ダム
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jbkoku
国道41号(長淀橋)
jbkoku
国道41号(小原橋)
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jbkoku
国道41号
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国道41号(門坂大橋)
jb002
JR高山本線
jbkoku
国道41号
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
AffluentL
小坂川
LakeStartDam
東上田ダム
jb002
JR高山本線
AffluentR
大ヶ洞川
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
AffluentR
山之口川
jbken
岐阜県道98号(浅水大橋)
jbippan
飛騨川大橋
jbkoku
国道257号はぎわら大橋
jb002
JR高山本線
LakeStartDam
瀬戸ダム
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jbken
岐阜県道440号六ツ見橋
jbkoku
国道41号(帯雲橋)
AffluentL
竹原川
jbkoku
国道41号(不動橋)
jb002
JR高山本線
jbkoku
国道41号(七里橋)
j005
中山七里
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jbken
岐阜県道432号(中原大橋)
AffluentL
門和佐川
LakeStartDam
下原ダム
j005
飛騨木曽川国定公園
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
Weir
大船渡ダム
jbken
岐阜県道438号(金山橋)
AffluentR
馬瀬川
Weir
七宗ダム
AffluentR
菅田川
AffluentL
佐見川
jbkoku
国道256号
Weir
名倉ダム
jb002
JR高山本線
jb002
JR高山本線
jbkoku
国道41号(鷲原橋)
jbkoku
国道41号(七曲橋)
jb002
JR高山本線(第1飛騨川橋梁)
jb006
白川橋
AffluentL
白川
jbkoku
国道41号(飛泉橋)
Weir
上麻生ダム
j005
飛水峡
j005
飛水峡の甌穴
jbken
岐阜県道354号
AffluentR
神淵川
jbkoku
国道41号(七宗橋)
jbken
岐阜県道64号川辺大橋
AffluentL
尾賀野川
AffluentR
水無瀬川
jbkoku
国道418号新山川橋
AffluentL
飯田川
LakeStartDam
川辺ダム
jbkousoku
東海環状自動車道国道475号飛騨川大橋
AffluentR
雄鳥川
jbippan
青柳大橋
AffluentL
深渡川
jbken
岐阜県道350号青柳橋
Island
小山観音
j009
木曽川

岐阜県高山市高根町の飛騨山脈乗鞍岳南麓を水源とし、美濃加茂市川合町付近で木曽川に合流する[5][1]。幹線流路延長147.5キロメートル、うち河川法区域は136.8キロメートル[1]。木曽川最大の支流である[1]。支流を含めた流域圏域の年平均降水量は2000㎜-2500㎜、人口は約11万人(2000年)である[6]

上流部では高根第一ダム日和田川、高山市朝日町黒川付近で秋神川下呂市小坂町付近で小坂川、下呂市萩原町四美付近で山之口川、下呂市三原付近で竹原川など大小多数の支流を合流させながら流れる[1]。下呂中心部を過ぎると、馬瀬川が合流する下呂市金山町付近までの28キロメートルは中山七里の峡谷を通る[1]

美濃に入り、白川が合流する加茂郡白川町河岐付近から、神淵川が合流する加茂郡七宗町上麻生付近までの区間は飛水峡に相当する[1]。加茂郡川辺町付近からは谷の幅が広がり、河岸段丘の発達もみられる[1]。その後、太田盆地へと出て木曽川合流点に至る[1]

なお、「飛騨川」の名称は古くは主に馬瀬川との合流点以下の美濃国の地域で用いられた言葉で、国境から下呂市小坂町付近までの地域では「益田川(ましたがわ)」、さらに上流側では「阿多野川(あだのがわ)」と呼ばれた[1]。現在では国土地理院および河川法においても、全区間が「飛騨川」に統一されている[1]

景勝地

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飛騨川には前述したように中山七里・飛水峡の他に藤倉峡が存在しており、下呂市から美濃加茂市までの区間の大部分が飛騨木曽川国定公園に指定されている[1]。飛水峡の岩場にある甌穴群は、国の天然記念物に指定されている。また、上麻生駅1キロメートルほど下流では、川岸の岩場の礫から「上麻生礫岩」と呼ばれる日本最古の石が発見されており、日本最古の石博物館で常設展示されている。

また流域には、下呂温泉湯屋温泉白川温泉などの温泉郷が点在している[1]

交通網

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飛騨川に沿って国道41号が美濃加茂市から高山市久々野町まで通過しているが、異常気象時には通行止めになる区間が多い。1968年(昭和43年)8月、乗鞍岳登山に向かう観光バス15台中2台が折からの昭和43年台風第7号による豪雨で発生したがけ崩れの直撃を受け、上麻生ダム直下流地点の飛騨川に転落した。この飛騨川バス転落事故は日本のバス事故史上最悪の惨事となり、乗員・乗客107人中104人が死亡した。現在事故地点には「天心白菊の塔」という慰霊碑が建立され、上麻生ダム管理所の職員によって清掃・献花が行われている。

歴史

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江戸時代には飛騨地方の木材の運搬に飛騨川が利用された[1]。『濃州徇行記』には

船もこれより下へは往来する也,上は激湍多く処々に巌石水中に欹ち,筏・船共に往来する事かたく,材木は一本づつ,流れ下しにし,偶平流には渡筏・渡航あるのみ,此湊は川幅広く平流にして材木を留るによき処也,筏乗の株は五十六前あり,船は大廿艘・小十艘あり,是は岡荷物又は炭・薪・葺板・挽板類をあづかり
『濃州徇行記』

とあり、比較的流れの緩やかな上麻生湊まで川船が往来していたことがうかがえる[1]

災害

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人家や事業所が集まる旧萩原町や旧下呂町の川沿いの地域は飛騨川の氾濫原にあたり、たびたび洪水被害に見舞われてきた[6]1958年7月、総雨量700㎜に達する豪雨により、下呂大橋下流左岸が破堤、益田橋・朝霧橋・円通橋が流失、死者1人・家屋流失28件などの被害があった[6]1983年9月、昭和58年台風第10号にともなう豪雨で溢水や破堤が発生、旧下呂町で床上浸水36戸・床下浸水173戸などの被害が出た[6]2020年7月8日、下呂市萩原町中呂(左岸)付近で氾濫した。氾濫の数時間前に岐阜県と長野県に大雨特別警報が発表されていた[7]

主な支流

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主な河川施設

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ダム

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名称 ダム形式 事業者 所在地
飛騨川本川 高根第一ダム アーチ式コンクリートダム 中部電力株式会社 高山市
高根第二ダム 中空重力式コンクリートダム 中部電力株式会社

朝日ダム

重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
久々野ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
小坂ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
東上田ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社 下呂市
瀬戸ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
下原ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
大船渡ダム[注 1] 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
七宗ダム[注 1] 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
名倉ダム[注 1] 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社 加茂郡白川町
上麻生ダム[注 1] 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
川辺ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社 加茂郡川辺町
秋神川 秋神ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社 高山市
大ヶ洞川 大ヶ洞ダム 重力式コンクリートダム 岐阜県 下呂市
馬瀬川 西村ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
岩屋ダム ロックフィルダム 独立行政法人水資源機構
中部電力株式会社
馬瀬川第二ダム 重力式コンクリートダム 中部電力株式会社
北緯35度26分46秒 東経137度03分09秒 / 北緯35.446241度 東経137.052444度 / 35.446241; 137.052444座標: 北緯35度26分46秒 東経137度03分09秒 / 北緯35.446241度 東経137.052444度 / 35.446241; 137.052444

主な橋

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上流部で並行する国道361号は御前大橋・龍宮橋・中洞大橋・下之向橋・南嶺大橋など、中流部以下で並行する国道41号は七宗橋・飛泉橋・七曲橋・鷲原橋・七里橋・不動橋・帯雲橋・門坂大橋・小原橋・長淀橋などが架かる。

鉄道撮影地

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美濃太田駅から久々野駅までの高山本線は、飛騨川に沿って走っており、多くの鉄道撮影スポットが書籍などで紹介されている。

  • 上麻生駅 - 飛水峡信号場 飛水峡
  • 白川口駅 - 鷲原信号場 第一飛騨川橋梁(白川口駅前の国道41号線を高山市方面へ2キロほど行った地点にある鉄橋)
  • 福来信号場 - 焼石駅 下原ダム湖畔
  • 焼石駅 - 少ヶ野信号場 中山七里、益田川第五橋梁(下呂市中心部にある国道41号線と国道257号線が分かれる帯雲橋交差点を国道41号沿いに約2キロほど美濃加茂市方面へ行った地点にある鉄橋。周辺には桜の木が多く、春、桜満開の時期には多くのファンが撮影に訪れる。かつてはNHK(愛知県・岐阜県・三重県のみ)の天気予報のバックとして採用されていた。)
  • 下呂駅 - 禅昌寺駅 温泉街をバックに撮影できる。
  • 上呂駅 - 飛騨宮田駅 益田川第十橋梁(オレンジカード等では撮影されているものの書籍ではなかなか紹介されない撮影スポットである。橋梁をバックにして、あらゆる角度から飛騨地域らしい写真が撮影できる。)
  • 飛騨小坂駅 - 久々野駅 飛騨小坂駅の俯瞰、多くの鉄橋が撮影できる。

脚注

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注釈
  1. ^ a b c d 大船渡ダム・七宗ダム・名倉ダム・上麻生ダムはダムの高さが15m以下であるため、河川法上ではの扱い。
出典
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 角川日本地名大辞典「飛騨川【ひだがわ】」”. JLogos. 2022年11月16日閲覧。
  2. ^ 流況表/白川口(しらかわぐち)”. 水文水質データベース. 国土交通省水管理・国土保全局. 2016年1月10日閲覧。
  3. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2022年11月16日閲覧。
  4. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2022年11月16日閲覧。
  5. ^ 岐阜県 (2021年4月1日). “河川調書” (PDF). 2022年11月16日閲覧。
  6. ^ a b c d 木曽川水系飛騨川圏域河川整備計画” (PDF). 岐阜県. p. 1-3 (2000年12月). 2018年7月7日閲覧。
  7. ^ 気象庁. “岐阜県と長野県に大雨特別警報を発表(報道発表)” (PDF). 2022年11月16日閲覧。

関連項目

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