阿部統
阿部 統(あべ おさむ[1]、1974年[2][3] - )は日本のデザイナー、イラストレーター。東京都出身。株式会社プレックス所属。
来歴・人物
[編集]中学生の頃から特撮作品の怪人デザイナーを志し、1993年、高校卒業と前後して雨宮慶太が主宰する有限会社クラウドにアルバイトとして参加[2][3][1]。1994年に『忍者戦隊カクレンジャー』で19歳にしてキャラクターデザイナーとしてデビューするが、それ以前にも『五星戦隊ダイレンジャー』にゴーマ怪人のギミックのデザインという形で携わっている[2][1]。続く『超力戦隊オーレンジャー』では、雨宮の推薦によりメインデザイナーをつとめ[注釈 1]、以降も1990年代後半のスーパー戦隊シリーズのキャラクターデザインに多く携わった[3][4][5]。
クラウドの規模縮小に伴い同社を退社後、株式会社プレックスに所属していた新田康弘の誘いで2002年に同社へ入社[2][5][1]。以降はゲスト怪人などを手がけていた1990年代とは反対に、玩具・ヒーローサイドから東映特撮のデザインワークに複数関与[5]。プレックスにおける代表的な仕事としては、『仮面ライダー電王』のソードフォーム[6]や『仮面ライダーキバ』のキバフォーム[7][8][注釈 2]などが挙げられる。後年のインタビューにおいて、阿部は怪人デザインの場合、自分の名前も出ることから自分の一番やりたい部分を出していくのに対して、仮面ライダーの場合はあまり自分の線が出ないよう、極力プレーンな線や、正統派もしくは見ていて安心する形などといった、公約数や清潔感みたいな部分に気を遣うと、デザイン作業における両者の違いを語っている[9]。
この他、阿部と同様にスーパー戦隊シリーズのデザインワークにも多数関与した、企画者104の松井大を同社社長の横田誠に紹介したのも阿部である[10][注釈 3]。
活動
[編集]特撮
[編集]- スーパー戦隊シリーズ
- 忍者戦隊カクレンジャー(1994年)[2]
- 超力戦隊オーレンジャー(1995年)[3]
- 激走戦隊カーレンジャー(1996年)[3]
- 電磁戦隊メガレンジャー(1997年)[3]
- 星獣戦隊ギンガマン(1998年)[3]
- 救急戦隊ゴーゴーファイブ(1999年)[5][注釈 4]
- 未来戦隊タイムレンジャー(2000年)[3]
- 天装戦隊ゴセイジャー(2010年)[注釈 5][11][注釈 6]
- 動物戦隊ジュウオウジャー(2016年)[注釈 5][13]
- 鉄甲機ミカヅキ(2000年)[1]
- ウルトラシリーズ
- ウルトラマンネクサス(2004年)[注釈 5]
- ウルトラマンマックス(2005年)[注釈 5]
- ウルトラマンメビウス(2006年)[注釈 5][9]
- 仮面ライダーシリーズ
アニメ
[編集]- 奇鋼仙女ロウラン(2002年)
- 出撃!マシンロボレスキュー(2003年)[注釈 5]
ゲーム
[編集]- PAL 神犬伝説(1997年)
玩具
[編集]舞台
[編集]- TEAM 発砲・B・ZIN 「ジャスキス トリロジー」(2000年)
雑誌連載
[編集]- 阿部統の怪人進化論(特撮雑誌『宇宙船』、朝日ソノラマ) - 古今東西の怪人や怪獣のデザインを研究し、オリジナル怪人を進化させていこうという企画。1997年夏号(81号)より開始。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ これについては当初、同作品では大畑晃一がメインデザイナーを務める予定であったが、急な仕事により大畑が渡米せざるをえなくなったことも、阿部の起用に関係しているという。阿部は後年のインタビューにて、大畑の方からも「阿部くんでいいんじゃないか」との後押しがあった旨を述懐している[3]。
- ^ 石森プロの企画スタッフらのアイディアを盛り込みつつ、阿部がフィニッシュを担当している[7]。
- ^ 元々松井は、フリーランスのイラストレーターとして活動していた折に舞台関係の衣装・美術のデザインにも携わっており、その仕事が縁で阿部とも面識があった[10]。
- ^ 災魔カードのデザインを担当[5]。
- ^ a b c d e f g h i j k l m プレックスのデザイナーとして参加。
- ^ データスハイパーのデザインを担当[12]。
- ^ 前出の仮面ライダー電王 ソードフォームの他、ロッド[14]・アックス・ガン[15]・クライマックス・ライナー[9]・ウイング[16]の各フォーム、仮面ライダーゼロノスのアルタイル・ベガの各フォーム[17]、仮面ライダーガオウ[16]なども担当。
- ^ 前出の仮面ライダーキバ キバフォームの他、ガルル・バッシャー・ドッガ[7]・ドガバキ・エンペラー[18]の各フォーム、仮面ライダーイクサのボディ部[19]、仮面ライダーサガ、仮面ライダーダークキバ[20]、それにドッガ関連(素案、彫像態、ドッガハンマー)[8]やザンバットソード[21]なども担当。
- ^ 同作品では開発の初期及び末期に関与し[11]、ガイアメモリのデザインを小林大祐と共同で担当[22]。
出典
[編集]- ^ a b c d e 20th98 2019, pp. 32, スーパー戦隊制作の裏舞台 阿部統
- ^ a b c d e 百化上 2011, pp. 365, DESIGNER'S INTERVIEW18 阿部統
- ^ a b c d e f g h i 百化下 2012, pp. 94, DESIGNER'S INTERVIEW01 阿部統
- ^ 百化下 2012, pp. 95, DESIGNER'S INTERVIEW01 阿部統
- ^ a b c d e 百化下 2012, pp. 96, DESIGNER'S INTERVIEW01 阿部統
- ^ Imagine 2008, pp. 21, 2007年、仮面ライダーはいかにして電車に乗ったのか 01
- ^ a b c CREST 2009, pp. 72, 仮面ライダーキバ デザインワークス 仮面ライダーキバ
- ^ a b CREST 2009, pp. 74, 仮面ライダーキバ デザインワークス フエッスル/アームズモンスター/タツロット
- ^ a b c Imagine 2008, pp. 63, 2007年、仮面ライダーはいかにして電車に乗ったのか 05
- ^ a b 百化下 2012, pp. 221, DESIGNER'S INTERVIEW10 松井大
- ^ a b c KIRIFUDA 2011, pp. 85, 仮面ライダーWデザインワークス (Dの記憶)MEMORIES of DESIGN インタビュー:小林大祐(バンダイ)/高木義弘(プレックス)
- ^ TOYHISTORY40 2016, pp. 157, DESIGNERS COMMENTS 戦隊ロボ証言集~デザイン現場からのメッセージ~
- ^ 公式完全読本 2017, pp. 86, 『動物戦隊ジュウオウジャー』キャラクター/メカニックデザインの世界 植田真弘✕阿部 統
- ^ Imagine 2008, pp. 31, 2007年、仮面ライダーはいかにして電車に乗ったのか 02
- ^ Imagine 2008, pp. 51, 2007年、仮面ライダーはいかにして電車に乗ったのか 04
- ^ a b Imagine 2008, pp. 65, DESIGN WORKS FOR MOVIE/仮面ライダーガオウ
- ^ Imagine 2008, pp. 79, MASKED RIDER ZERONOS DESIGN WORKS ALTAIR FORM/VEGA FORM/ZERO FORM
- ^ a b CREST 2009, pp. 73, 仮面ライダーキバ デザインワークス 仮面ライダーキバ
- ^ CREST 2009, pp. 76, 仮面ライダーキバ デザインワークス 仮面ライダーイクサ
- ^ CREST 2009, pp. 77, 仮面ライダーキバ デザインワークス 仮面ライダーサガ/仮面ライダーダークキバ
- ^ CREST 2009, pp. 75, 仮面ライダーキバ デザインワークス キャッスルドラン/ザンバットソード/バイク
- ^ KIRIFUDA 2011, pp. 80, 仮面ライダーWデザインワークス (Sの記憶)MEMORIES of SKETCH
参考文献
[編集]- 『仮面ライダー電王特写写真集 IMAGINE』ホビージャパン〈DETAIL OF HEROES〉、2008年1月19日。ISBN 978-4894256552。
- 『仮面ライダーキバ特写写真集 CREST of KIVA』ホビージャパン〈DETAIL OF HEROES〉、2009年1月24日。ISBN 978-4894256552。
- 『仮面ライダーW特写写真集 KIRIFUDA』ホビージャパン〈DETAIL OF HEROES〉、2011年3月26日。ISBN 978-4798602059。
- 『東映スーパー戦隊シリーズ35作品記念公式図録 百化繚乱 [上之巻] 戦隊怪人デザイン大鑑 1975-1995』グライドメディア、2011年12月15日。ISBN 978-4-8130-2163-6。
- 『東映スーパー戦隊シリーズ35作品記念公式図録 百化繚乱 [下之巻] 戦隊怪人デザイン大鑑 1995-2012』グライドメディア、2012年10月16日。ISBN 978-4-8130-2180-3。
- 『スーパー戦隊 TOY HISTORY 40 1975-2016』ホビージャパン、2016年11月30日。ISBN 978-4-7986-1338-3。
- 『動物戦隊ジュウオウジャー公式完全読本』ホビージャパン、2017年6月24日。ISBN 978-4-7986-1472-4。
- 『スーパー戦隊 Official Mook 20世紀』《1998 星獣戦隊ギンガマン》講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2019年2月8日。ISBN 978-4-06-513647-8。