白話字
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白話字(はくわじ、台湾語白話字:Pe̍h-ōe-jī、POJ、客家語白話字:Pha̍k-fa-sṳ)または教会ローマ字は、ローマ字による台湾語や客家語の正書法である。
19世紀にキリスト教の長老派教会(現在の台湾基督長老教会)により開発され、民間まで普及してきた。
台湾語の表記
[編集]子音
[編集]両唇音 | 歯茎音 | 歯茎硬口蓋音 | 軟口蓋音 | 声門音 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
無声音 | 有声音 | 無声音 | 有声音 | 無声音 | 有声音 | 無声音 | 有声音 | 無声音 | ||
鼻音 | m [m] 毛(mo͘) |
n [n] 耐(nāi) |
ng [ŋ] 雅(ngá) |
|||||||
破裂音 | 無気音 | p [p] 邊(pian) |
b [b] 文(bûn) |
t [t] 地(tē) |
k [k] 求(kiû) |
g [ɡ] 語(gí) |
(無) [ʔ] 英(eng) | |||
有気音 | ph [pʰ] 頗(phó͘) |
th [tʰ] 他(thaⁿ) |
kh [kʰ] 去(khì) |
|||||||
破擦音 | 無気音 | ch [ʦ] 曾(chan) |
j [ʣ] 熱(jo̍ah) |
ch(i) [ʨ] 尖(chiam) |
j(i) [ʥ] 入(ji̍p) |
|||||
有気音 | chh [ʦʰ] 出(chhut) |
chh(i) [ʨʰ] 手(chhiú) |
||||||||
摩擦音 | s [s] 衫(saⁿ) |
s(i) [ɕ] 寫(siá) |
h [h] 喜(hí) | |||||||
接近音 | l [l] 柳(liú) |
- /i/の前に/dzi/、/tsi/、/tsʰi/、/si/は/dʑi/、/tɕi/、/tɕʰi/、/ɕi/に変わる。
- 語尾の-hは無気声門破裂音/ʔ/をあらわす。
- 一部の過去の文書ではiとeの前にchのかわりにtsを使用する。
母音
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- 成節子音は頭子音なしでも音節が成立する。例:n̂g(黄色)
- 鼻母音は「-n」のように、音節の最後に上付きのnをつけて表記する。ただし、頭子音がmとnの場合はつけない。例:mî(夜)、nî(年)
声調
[編集]声調は7つある。伝統的に1~8と数字で表されるが、第2声と第6声とは同じ声調なので白話字の表記法は第6声を第2声に合併する。
声調番号 | 声調名 | 白話字(aを例として) | 声調値(台北) | 声調値(台南) |
---|---|---|---|---|
1 | 陰平 | a | 55 | 44 |
2 (6) | 陰上 | á | 51 | 53 |
3 | 陰去 | à | 31 | 11 |
4 | 陰入 | ap/at/ak/ah | 32 | 21 |
5 | 陽平 | â | 14 | 25 |
7 | 陽去 | ā | 33 | 22 |
8 | 陽入 | a̍p/a̍t/a̍k/a̍h | 4 | 5 |
- 声調を表記するときは連続変調をつけなく原声調で綴る。
- 二重母音や三重母音の場合、ダイアクリティカルマークは基本的に「a>o·>o>e>u>i」という順で綴る。(「台湾閩南語ローマ字ピンイン方案」の順とは若干の相違点がある)
- 成節子音mとngの場合は、mとnにダイアクリティカルマークをつける。例:khǹg(置く)。
ハイフン
[編集]語と語の間にはスペースで区切りを表すが、語中にはハイフンで各音節をつなげる。例:Tâi-oân(台湾)。また、方向補語、可能補語、程度補語、結果補語、動作量補語、代名詞の目的語、語尾、助詞など軽声で読むときは、その音節の直前に二つのハイフンをつける。例:loh--lâi(降りてくる)。
実例
[編集]ボイジャーのゴールデンレコードに搭載された厦門語の挨拶:
Thài khong pêng iú, lí hó! Lí chia̍h pá ·bōe? Ū êng, tiō lāi gún chia chē o͘h.
太空朋友、汝好!汝食飽未?有閒着來阮者坐嗚。
(宇宙の友達、こんにちは!ご飯は食べましたか?もし暇だったら、どうぞ私たちのところへ来てくださいね)
台湾語ラテン文字表記法との相違点
[編集]2006年10月14日に中華民国教育部により台湾語のローマ字表記正書法として台湾語ローマ字方案(繁体字: 臺灣台語羅馬字拼音方案; 白話字: Tâi-oân Tâi-gí Lô-má-jī Pheng-im Hong-àn)が公布された。これは台湾語白話字を元とした表記法ではあるが、以下のような相違点が存在する[1]。
- 白話字で「ch chh」と書かれる声母を、台湾語ラテン文字表記法では「ts tsh」のように表記する。
- 白話字で「ek eng」と書かれる韻母を、台湾語ラテン文字表記法では「ik ing」のように表記する。
- 白話字で「o」と書かれる介音を、台湾語ラテン文字表記法では「u」と表記する(例:oan → uan)。
- 白話字で「o͘」と書かれる主母音を、台湾語ラテン文字表記法では「oo」と表記するのが正式となる。ただし白話字同様「o͘」と表記してもよい。
- 白話字で鼻母音を表記する場合は母音の末尾に「ⁿ」を付加したが、台湾語ラテン文字表記法では「nn」を付加するのが正式となる。ただし白話字同様「ⁿ」を付加してもよい。
- 声調表記は白話字同様のものを正式とするが、これに加えて声調番号を末尾に添える表記も可とする。
客家語の表記
[編集]以下、特に断りがない場合は客家語での表記法について記す。
子音
[編集]両唇音 | 唇歯音 | 歯茎音 | 歯茎硬口蓋音 | 硬口蓋音 | 軟口蓋音 | 声門音 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鼻音 | m [m] 美(mî) |
n [n] 泥(nài) |
ng(i) [ɲ][注 1] 牛(ngiù) |
ng [ŋ][注 1] |
||||
破裂音 | 無気音 | p [p] 伯(pak) |
t [t] 肚(tú) |
k [k][注 2] 家(kâ) |
(無) [ʔ] | |||
有気音 | ph [pʰ] 白(pha̍k) |
th [tʰ] 大(thai) |
kh [kʰ][注 3] 共(khiung) |
|||||
破擦音 | 無気音 | ch [ʦ][注 4] 做(cho) |
ch(i) [ʨ][注 4] |
|||||
有気音 | chh [ʦʰ][注 5] 車(chhâ) |
chh(i) [ʨʰ][注 5] |
||||||
摩擦音 | f [f] 飛(fî) |
s [s][注 6] 細(se) |
s(i) [ɕ] | h [h] 後(heu) | ||||
接近音 | v [ʋ] 文(vùn) |
l [l] 鯉(lî) |
- /i/の前に/tsi/、/tsʰi/、/si/、/ŋi/は/dʑi/、/tɕi/、/tɕʰi/、/ɕi/、/ɲi/に変わる。
母音
[編集]前舌母音 | 中舌母音 | 後舌母音 | |
---|---|---|---|
狭母音 | i [i] | ṳ [ɨ] | u [u] |
中央母音 | e [e] | er [ə] | o [ɔ] |
広母音 | a [a] |
声調
[編集]声調は6つあるいは7つ。
声調名 | 白話字(aを例として) | 単語の例 | 声調値(苗栗腔) | 声調値(新竹腔) |
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陰平 | â | 夫 fû | 24 | 53 |
陽平 | à | 扶 fù | 11 | 55 |
上声 | á | 府 fú | 31 | 24 |
陰去 | a | 富 fu | 55 | 11 |
陽去 | å | 護 få | 33 | |
陰入 | ap/at/ak | 福 fuk | 2 | 5 |
陽入 | a̍p/a̍t/a̍k | 服 fu̍k | 5 | 2 |