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濱野彰親

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『さしゑ』第3号(1956年)

濱野 彰親(はまの あきちか、1926年〈大正15年〉5月8日 - 2020年〈令和2年〉8月3日)は、日本の挿絵画家。本名政雄(まさお)。1968年(昭和43年)、彰親(あきちか)に改名。日本出版美術家連盟 元会長、現名誉会員。

その作風は、「鋭い感受性と深い観察眼から生れたモノクロームの世界は、そこに生きる人間の本性を暴き出し、小説の世界観を鮮やかに印象付けている」とされる[1]

略歴

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  • 1926年(大正15年) 5月8日東京都足立区千住に、父・亀太郎と母・なみの長男・政雄(まさお)として生まれる。祖父・三蔵は千住で大きく紙問屋を営み、父は職人数人を使い掛け軸を製作していた。
  • 1931年(昭和6年) 父死去。
  • 1942年(昭和17年) 青山学院高等科を卒業。鉄道省へ入省。
  • 1943年(昭和18年) 日本美術学校油絵科(夜学部)に入学。
  • 1945年(昭和20年) 日本美術学校油絵科卒業。4月赤坂歩兵第三連隊に入隊、8月終戦。
  • 1946年(昭和21年) 推理小説雑誌『トップ』にて挿絵画家デビュー。以後、新聞小説や大衆文芸雑誌の挿絵を手がける。
  • 1950年(昭和25年) 日本出版美術家連盟(1948(昭和23年)創設)に最年少(24歳)で参加。
  • 1954年(昭和29年) 若手挿絵画家たちと「挿美会」を結成し、翌年には『さしゑ』を創刊するなど挿絵の発展に尽力。
  • 1961年(昭和36年) 濱野政雄画集『B5の絵』を刊行。
  • 1964年(昭和39年) シェル美術賞展佳作賞受賞。
  • 1968年(昭和43年)「彰親(あきちか)」に改名。松本清張山崎豊子火野葦平川上宗薫菊村到近藤啓太郎黒岩重吾三好徹森村誠一深田祐介山村美紗ねじめ正一逢坂剛津本陽和久峻三田辺聖子など、数多くの著名小説家の作品の挿絵を手がけるようになり、週刊誌や新聞などに多数連載。
  • 1974年(昭和49年) 第二回『噂』さし絵賞、日本作家クラブ絵画賞受賞。
  • 1975年(昭和50年) 第六回講談社出版文化賞(さしえ賞)受賞。
  • 2001年(平成13年)〜2006(平成18年)、2008(平成20年)〜2017(平成29年)3月まで日本出版美術家連盟会長に就任。
  • 2012年(平成24年) 画集『濱野彰親挿絵原画集 モノクロームへの眼差し』刊行。
  • 2013年(平成25年) 弥生美術館にて濱野彰親展「モノクロームへの眼差し -人間の本性を暴く-」開催。
  • 2017年(平成29年) 日本出版美術家連盟の一般社団法人に伴い、名誉会員となる。
  • 2020年(令和2年)8月3日午後1時55分 誤嚥性肺炎により東京都の自宅で死去[2]。94歳没。

主な挿絵

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  • 松本清張「」「清張短篇新集」「天才画の女」「黒革の手帖」「十万分の一の偶然」「迷走地図」「昇る足音」「幻華」「紙碑」「数の風景
  • 山崎豊子「二つの祖国」「大地の子
  • 火野葦平「街の灯」「魔女宣言」「花の座」
  • 池波正太郎「青空の街」
  • 川上宗薫「色道まつり」「おんなの教室」「好色涙あり」「好色流転」「熟れる」「昼と夜と」「開く花」「女体読本」「色めぐり」ほか多数
  • 菊村到「狼は迷路を走る」「夜明けに花を撃て」「夜はさすらいの時」
  • 梶山季之「やめてよ、あなた」
  • 近藤啓太郎「微笑」
  • 黒岩重吾「老城の恋」「太陽を這う」
  • 三好徹「帰らざる夜」「賭ける」「暁に帰る」
  • 森村誠一「青春の源流」「棟居刑事ラブアフェア」
  • 深田祐介「神鷲(ガルーダ)商人」「暗闇商人」「赤道奔流」
  • 山村美紗「京都西大路通り殺人事件」
  • ねじめ正一「荒地の恋」
  • 逢坂剛「禿鷹の夜」など「禿鷹」シリーズ
  • 津本陽「孤塁の名人」「幕末の七人の侍」「紀伊徳川家を支えた家臣」「信長影絵」
  • 和久峻三「妖精の指輪」「共犯者の自白」「一億分の一の侵入者」「教唆する弁護人」「死刑台の女」
  • 田辺聖子「愛してよろしいですか?」「風をください」
  • 夏樹静子「死の谷から来た女」

出典

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  1. ^ 松本品子編『濱野彰親挿絵原画集 モノクロームへの眼差し』ラピュータ、2012年12月
  2. ^ 挿絵画家の濱野彰親さん死去”. 時事ドットコムニュース (2020年8月14日). 2020年8月14日閲覧。

参考文献

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松本品子編(弥生美術館)『濱野彰親挿絵原画集 モノクロームへの眼差し』ラピュータ 2012年12月 ISBN 9784905055112